第116回 豊岡は17人の3年生の意識をまとめて、前へ進んでいく2020年06月18日

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 「厳しい状況ですね。なかなか動きが取れない中で、どう向かっていくのがいいのかということで悩んだ」

 そう言うのは、飯能南で指導していた時代には現横浜DeNAの武藤 祐太を育てて、無名校をベスト16まで導いたという実績もある豊岡の北能徳監督である。

 北監督は指導方針として、日頃から野球の技術だけではなく野球を通じて幅広く色々なことを学んでいくようにということを自分自身のテーマとしている。例年、オフの時期などには部員たちには、「積極的に本を読んで、自分の知らない世界や知らないことを学んでいくようにしなさい」という指導はしていた。だから、今回のコロナ騒動での練習自粛となった時にも、むしろ読書の機会だということで、積極的に勧めていた。

 「読みたい本があったら、(自分の持っている本を)どんどん持っていってもいいぞ。野球関連のDVDもあるから、持っていって勉強していいぞ」ということで、いろいろな学びの機会を与えていた。

 現実には、期末試験前の2月14日に試験準備期間となって以降、ユニフォームを着ての練習はやれていないという。
 「県内のほとんどの公立校はそうだったと思うんですけれども、4カ月くらい何もやれていませんね。選手たちは、それでも身体を動かしたり、何かやりたいですから、近くの公園を見つけたり、中学時代の仲間と場所を見つけてやったりというところもあったようです。ただ、それでも周囲の目もあってなかなかやれてはいません」

 これが本音のようだ。それでも、北監督はいいトレーニングメニューが見つかれば、その動画を送ったり、普段のトレーニングメニューの確認などはしていた。学校で作ったメールサービスのグループを通じて学校からの課題も出された。そこに部活のグループを一つのクラスのようにして、情報交換や読書感想文もどんなジャンルでもいいから3冊以上ということにしていた。

 「このシステムは、今後にも使えるのではないかと思っている。それぞれの生き方や、どんな風に将来のことを考えているのかとか、生徒たちのいろんな考え方がわかってきた」
 読書の効果は、そんなところにもあったようだ。

 4月になって、季節外れの雪が降ったこともあって、グラウンドの天蓋が落ちてしまうというアクシデントもあったという。その修復作業もあったようだ。

 そのものは6月1日から再開されてきたのだが当初は、午前中に半分、午後からは半分という分散登校となっていた。それぞれ実質3時間くらいしか滞在はしていないという状況だった。さらには、10日から20日までは前半は出席番号1~20番の生徒が1日授業。後半は21番以降の生徒たちが1日授業という形で組まれている。そんな状況なので、部活動までは、まだなかなか復活は出来ない状況だ。

 22日からようやく通常授業に戻ることが予定されているので、部活動としてもその週からの復活ということになりそうだ。とは言うものの、当初は1日1時間程度で週3回という形になりそうだという。だから、実質は整備して、アップしたら、キャッチボール程度ですぐに終わりということになってしまいそうだ。

 学校としての再開スケジュールは出ても、今のところはまだどうにもならないというところも現実だ。現在のチーム構成は3年生が17人に対して2年生は5人というアンバランスなところもある。

 ただ、今は3年生17人の気持ちをまとめて、「1回1回(の練習)が、それぞれの発表会だ」という意識を育んでいる。そんな状況下で、新入生に関しては、6月の学校再開から、やっと入部説明会が出来て目途が立ってきたという。

 埼玉県の場合は、夏の独自県大会が8月になってからの開催ということになったので、調整期間は他の都県よりは多少はある。したがって、7月いっぱいを準備期間として捉えている。ただ、学校の試験もずれ込んでくるので、熱中症対策も含めて、練習日程も考慮していかなくてはならない。

 3年生の中には、受験勉強の立ち遅れを心配している生徒もいるという。そのあたりは、本人の意思優先で行くが、「何とか、気持ちをまとめて挑みたい」という思いで臨んでいくつもりだ。

(記事=手束 仁

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
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