目次

[1]選手がノートに綴った、甲子園中止に対する想い
[2]記憶に残る代と共に集大成の夏へ

 2017年の夏の甲子園に北北海道代表として、19年ぶり3度目の出場を果たした滝川西。鮮やかな水色のユニフォームと、グラウンドを常に全力疾走で走る姿を今も覚えている人が多いのではないだろうか。20日に夏の甲子園が中止となったが、北海道では6月2日に独自の大会を開催することが発表された。独自の大会を前に指揮官の小野寺大樹監督は何を感じているのか。チームの今を語っていただいた。

選手がノートに綴った、甲子園中止に対する想い



滝川西3年生の集合写真 ※写真提供=滝川西野球部

 本校は2月下旬から休校が続いておりましたが、5月19日から分散登校が始まりまして、そこで選手たちと久々に再開して、顔を見ることができました。20日に甲子園の中止が決まりましたが、翌日の21日が3年生の登校日だったんです。

 ですので、私自身会うのが辛かったです。どんな顔で何を語ってあげればいいのかと思いました。ただ、考え方によっては良いタイミングとは同時に感じていましたので、20日の夜に主将へ「ミーティングをしたいから、3年生の方に連絡してくれないか」と連絡をしました。

 すると電話越しでしたが、「涙が止まらないです」と話してきたんです。それに対して「何泣いているんだ」と言えるわけもなく、もらい泣きをしてしまいました。

 戦わずして目標を失う経験などしたことのない自分にとって、「気持ちはわかるぞ」と軽い言葉はミーティングで言えないので、どんな言葉をかけて話せばいいのか。自分の中で整理してまとめようとしましたが、何もできずに21日を迎えてしまいました。

 ですが、3年生は自分の姿を見ると、近寄って元気に笑顔で「おはようございます!」とあいさつをしてくれたんです。それで逆に元気をもらいました。「しっかり前を見て、現実を突き付けられても、今できることを精一杯やるしかない。いつも通りやろう」と思ったんです。

 後々野球ノートを見ると、『下を向くことなく、前を向いて1日を乗り越えよう』と書いていたり、4月から甲子園の中止が決まるまでの間、日々の取り組みや心の動きを野球ノートに書き、甲子園までのカウントダウンも一緒に書いているものもいました。ただ、20日の中止を受けてバツ印で上書きしているのを見て、選手たちの気持ちを考えると、『きついな』と思ったんですよ。

 けど『自分から野球を取った時、何も残らない人になるな、という先生の言葉を胸に、ここまでやってきました。だから心配しないでください、ここからが見せ場です』と書いているんです。そういったところからも元気はもらいました。

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。