5月20日、第102回全国高等学校野球選手権大会・地方大会の中止が決まり、今、代替大会開催を巡って指導者、また各自治体の首長が開催実現へ向けて声を上げている。その後、日本高野連から開催へ向けてガイドラインが送られた。

 開催をいち早く発表している都道府県は中止発表後、もしくは中止を想定して、独自案を練った大会概要を発表したりと、実行へ向けてのスピードが早い。

 こうした動きから見えるのは、大会実現のために現場の指導者が声をあげ、議論を行い、そして各都道府県の高野連が現場の意見を汲み取り、スピード感を持って実行していることである。そんな一例を紹介をしていきたい。

判断が委ねられるからこそ意見交換がより重要


 三重の強豪・いなべ総合を率いる尾崎英也監督は中止が決まったあと、代替大会開催へ向けて独自の大会案を練り上げた。

 今年の高校3年生にあたる2002年~03年生まれの鎮魂の大会として、「ツースリー レクイエム・コンペティション(23 requiem Competition)」と命名。その内容は感染対策、登録メンバーの人数、使用会場まで踏み込んだ具体的なものだった。

 尾崎監督はこの提案書を三重県高野連に提出し、三重高野連の理事に開催の熱意を語った。
 三重県高野連は開催実現へ向けて、まず加盟校にアンケートを行い、活動状況や、授業期間、考査期間もヒアリング。そして加盟校の9割が大会に参加したい意向があったことを確認し、開催を表明した。

 尾崎監督はこの提案書を作成しただけではなく、若手や40代の中堅指導者の方々と意見交換を行っていた。三重県の理事には、若手の指導者たちから聞いた意見も述べながら、議論を行った。

 現在の代替大会は、地方の高野連に開催判断が委ねられる。だからこそ高野連と現場との意見交換はより重要となるだろう。
 「上から下へのトップダウンではなく、現場の意見を吸い上げるボトムアップも大事になると思うんです」

 尾崎監督はボトムアップの重要性を語る。そして今では尾崎監督作成の大会案を提案の参考になればと思い、他県の知り合いの指導者や、尾崎監督の出身大学である日体大出身の指導者の方に共有している。

 また今後は監督会のように、各県の指導者が交流し、議論する必要性を語った。
 「九州では一部の地域に監督会があるように、この動きが活発なのですが、三重県でも作っていきたいですね」

 今回の一連の流れは一社会人に置き換えても当てはまることだといえる。指導者、そして一社会人を目指す高校球児は、ぜひ開催へ向けて動く大人たちの背中を見ていただきたい。大会開催を実現するまでのプロセスを知ることは、いつか将来の学びになるはずだ。

(記事=河嶋 宗一

関連記事
監督が動く!代替大会開催に向けて現場が生み出した「石川モデル」とは?
第114回 選手、そして周りの人たちの命と未来を考えて。福岡県高校野球連盟が下した、苦渋の決断の裏側
【緊急企画】母校や応援している高校の球児たちに、あなたのエールを届けよう!