第108回 広島新庄を4度の甲子園に導いた名将・迫田守昭監督が退任の経緯・後継者育成の重要性を語る2020年04月02日
【目次】
[1]指導者を育てることも指導者の役目
[2]広島商と真逆の環境で甲子園に出場したことは感慨深いものがある
新年度を迎えた1日、広島新庄で指揮を執る名将・迫田守昭監督が退任することが報じられた。2007年秋に監督に就任した迫田監督は2014年春、2015年夏、2016年夏、そして中止となった2020年春と計4回の甲子園出場に導いた。母校・広島商時代も計2回の甲子園出場しているが、就任時期は広島商の7年を超える、12年半と長い時間をかけて広島新庄を全国レベルの強豪に育て上げた。
そんな迫田監督に電話取材で直接お話を聞かせていただき、現在の心境や退任の経緯などを語っていただいた。
指導者を育てることも指導者の役目

広島新庄・迫田守昭監督
今回の退任は最近ではなく、早い時期から考えていた。
「前から考えていまして、1人が長くやるものではないと考えながら12年間と長く勤めてしまいました。ですので、タイミングが良ければ次に譲らないといけない。後継者ができれば次に譲るのが宿命だと思っていましたので、そのタイミングが来たということなんです」
次期監督となるのは、現在コーチを務められていた宇多村聡氏が就任する予定だ。迫田監督は後継者作りとして、宇多村コーチに5、6年前から1年生大会の全権を与え、バトンタッチできる準備を行っていた。 「1年生大会も5、6年以上前から全権を与えてずっとやってもらっていました。そうやって意識を持たせるのが大事だと思うんです。こちらがはっきりとメッセージを送れば高い意識で取り組めますが、それがない中で頑張るのは難しいですので」
宇多村コーチは、1年生大会で監督をすることで、選手の指導・マネジメントを実行し、指揮官としての技量を磨いてきたのだ。
迫田監督は選手だけではなく、指導者育成も仕事だと考えている。その1つがコーチに1年生大会のような小さい大会から全権を与えることである。
「指導者は僕に限らず、次に譲ったときにチームが弱くならないように、指導者を育てるのが役目だと思います。監督してチームを強くするのは当たり前ですが、辞めた後のチームの指導者がはっきりしない。そういう指導者が育っていないのは指導者として失格だと思うんです。だから常に意識を持たせてあげるんです」
宇多村コーチが迫田監督のもとで指導者として着任した時は、まだ物足りなさを感じていたが、だが、12年間ともにチームを強くしていく中で苦難にぶつかりながら成長してきた姿を見て、「もう大丈夫だ。渡しても良い、渡すべきだ」と直感し、退任のタイミングとなった。
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長い間新庄野球部を強豪校に引き上げてくださった監督には感謝しかありません。まだまだユニホ-ム姿が見たかったです。お疲れ様でした
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