第96回 絶対に諦めない戦闘集団へ変貌した帝京!復活へのプロセスを探る2019年11月07日
【目次】
[1]打撃の帝京と守備の帝京の融合
[2]戦闘集団に育てた主将・加田の存在
この秋、4強入りした帝京。選抜が大きく前進する都大会制覇まであと2勝。特に強豪・日大三に競り勝ったことで、10年ぶりの優勝の期待も高くなっている。それが狙える位置がきたのは近年の取り組みと今年のチーム作りが生きている。
打撃の帝京と守備の帝京の融合

攻守の要・小松涼馬(帝京)
帝京といえば強打。今年のチームはその路線を引き継ぎ、夏場から徹底的に打撃を強化し、都大会ではチーム打率.327、5本塁打、33得点と強打を発揮している。
打線の中心は夏の東東京大会、秋季都大会でも本塁打を放っている加田 拓哉、強打のセカンド・小松 涼馬が控え、隙の無い打線となった。
ただこのチーム、本質的には守備のチームだといえる。守備の中心は強肩で粘り強いリードを見せる2年生捕手・新垣 煕博、投手ながら粘っこい守備を見せる武者 倫太郎、二塁・小松、遊撃・武藤 闘夢、センター・加田とセンターラインを中心とした守備は鉄壁だ。
前田監督は「打線を強化したといっても、やはり波がありますから、そこは前チームを経験している選手たちが良く守っていると思います」と語るように、前チームは打撃より守備を強化していたチームで「守備の帝京」といわれていたほどだ。
だから前チームから二遊間を組んでいた小松、武藤の守備は洗練されている。そして話題となった日大三戦で光る動きを見せたのは、センターの加田。初回、4回のセンター併殺、5回の二死から中飛と再三にわたってファインプレー。日大三の攻撃の勢いを阻止した大きなプレーだった。
加田は神宮第二の人工芝に大きく滑り、左腕が擦れて、傷ができるほどの気迫あふれるプレーだった。このプレーも前チーム主将の大内 智貴から学んだことが大きい。大内は守備範囲、ポジショニングが優れたセンターだったが、加田は大内から前方への打球処理の追い方を学び、それが日大三戦のダイビングキャッチにつながったのだ。
つまり打撃強化した今年のチームの取り組み、守備を強化してきた昨年のチームの取り組みが上手く融合して、攻守ともに隙の無いチームへ成長したのだ。前田監督はいう。
「もう今は140キロ、150キロを投げて、ガンガン三振を奪える投手はいないからね。確かに力強いピッチングは求めているけど、強い攻めの中で内野ゴロを生んでいるから良く守っている」と技巧派の左腕・田代 涼太、右腕・柳沼 勇輝を盛り立てた守備ができている。

- 編集長 河嶋 宗一
- 出身地:千葉県
- ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
- ■ 編集長であり、ドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
- ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
- ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
久しぶりにしぶとくて強い帝京が観れていて嬉しいです。
必ず甲子園に出て、優勝争いをして下さい
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