ソフトバンク、広島、日本ハムは全員現役!過去10年間のドラフト1位生存率を探る!
10月17日に行われた2019年プロ野球ドラフト会議では、総勢107名(支配下74名、育成33名)の選手たちが指名を受け、プロ野球への第一歩を踏み出した。中でも注目が集まったのはやはり、佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)ら、「ドラフト1位」の選手たちだ。
今回は、過去10年間の12球団ドラフト1位の選手たちを振り返り、その「生存率」を見ていきたい。
近年強さを誇るソフトバンク、広島が生存率トップ
ソフトバンクホークスにドラフト1位で指名された佐藤直樹(JR西日本)
まず、この10年間でドラフト1位指名を受けた選手は120名(東海大・菅野智之が2年連続で1位指名を受けているが、数字の上では2名分として扱う)いるが、このコラムでは、現在も指名を受けた球団に所属する選手、MLBを含む他球団に移籍した選手、育成契約、引退の4つに分けて考えていく。
2019年シーズンが終わり、今もなお現役のプロ野球選手として活躍しているのは109名。約1割の11名が引退しているのだ。さらに、現在も指名を受けた球団で活躍している選手は92名。約1/4が10年以内に所属を離れている計算だ。内訳としては移籍が15名、育成契約が2名に、上記の引退が11名となっている。
この数字をさらに球団ごとに観ていくと、興味深いことが分かった。ソフトバンク、広島、日本ハムが指名した10名は全員、プロ野球界で戦い続けているのだ。指名後すぐに一軍の戦力になっている選手、時間をかけてから戦力になる選手と様々だが、近年特に強さを示しているソフトバンク、広島は、それぞれのドラフト1位戦略がある程度当たっていると言えるだろう。
逆に、長く低迷を続けてきたDeNAは筒香嘉智のメジャー移籍により、2009~2013年までのドラフト1位選手5名がチームから姿を消すことになる。12球団で残っている選手の平均が約7.7名ということを考えると、ひときわ低い数字だ。2014年以降に指名した大卒投手全員が1年目から一軍の戦力になっていることが、低迷から脱却し、近年は躍進している大きな要因と言える。
ドラ1生存率から見た「次に強くなる球団」は中日?
今季ついに開花した高橋周平※写真は東海大甲府時代
また、7年連続Bクラスと低迷はしているが、中日も2014年の野村亮介以外の9名が所属し続けている。今季ついに開花した高橋周平や、故障から復活した小笠原慎之介、自己最多の11勝を挙げた柳裕也など、芽が出てきた。昨年の根尾昂、今年の石川昂弥なども含め、抽選にことごとく勝っており、近い将来の巻き返しが期待される。
プロ年数が長くなればそれだけ移籍や引退の選手が増えるのは当然のことだが、2015年ドラフト以降の選手は、全選手が今も指名球団に所属している。例外もあるが、やはり期待されて入団してきたドラフト1位選手なら、戦力になるまで3~5年は見るということだろう。
しかし、今回の調査対象の中に今オフ、ユニフォームを脱ぐ決意を固めた選手がいる。6球団から1巡目指名を受け西武に入団した大石達也や、2球団から指名を受けロッテに入団した伊志嶺翔大がそうだ。
「入団してしまえば順位は関係ない」とはよく聞く言葉だが、やはり「ドラフト1位」という肩書はずっとついて回るもの。名誉なことでありながら、時に重いものでもあるのだろう。
それでもやはり、その年で12名しか生まれないドラフト1位という存在は、特別な存在なのだ。球団が一番欲しいと考えた選手であり、その後の球団運営にも大きく関わってくる。そんな特別な存在でもある彼らを、今後も追いかけ、見守っていきたい。
※現在はNPBを去ったあとも、社会人野球は独立リーグなどでプレイを続ける選手が多いため、「引退」の定義が難しいところだが、今回は便宜上、下記にて定義した。
北方悠誠(ドジャース傘下):移籍
菅野智之(巨人):日本ハムとしては他球団で活躍しているとみなし「移籍」、巨人としては「所属」
須田幸太、武藤好貴:引退
また、筒香嘉智は移籍見込み、森雄大は育成見込み、中村勝・戸村健次らは移籍見込みとして集計した。
記事=林 龍也