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稀代のスラッガー・阿部慎之助が引退 今なお輝きを放つ5名の2000年ドラフト戦士たち

2019.09.24

 9月23日、読売ジャイアンツの阿部慎之助が現役引退することがわかった。捕手出身選手としては野村克也氏以来、史上二人目となる通算2000安打、400本塁打を放った稀代のスラッガーは、20世紀最後となった2000年のドラフト会議で、中央大から1位指名(逆指名)でプロ入りを果たした。

 今回は、現役選手は残りわずかとなった2000年のドラフトを振り返りたい。

今季現役はわずか5名

稀代のスラッガー・阿部慎之助が引退 今なお輝きを放つ5名の2000年ドラフト戦士たち | 高校野球ドットコム
内川聖一(ソフトバンク)

 2000年のドラフト会議から19年が経った今シーズン。86名が指名され、84名がプロの世界へと飛び込んだが、今季を現役で迎えられたのは阿部を含めてたったの5名だ。

 大分工から横浜ベイスターズに1位で入団した内川聖一は、37歳を迎えた今季も134試合に出場し、126安打、12本塁打とバリバリのレギュラーとして活躍を続けている。打率こそ全盛期より落としてはいるものの、優勝争いを繰り広げるチームにとって欠かせない存在だ。

 現在、巨人で阿部とチームメイトの中島裕之は、伊丹北から5位で西武ライオンズに入団。2年目から徐々に頭角を現すと、4年目にレギュラーに定着し、ブレイク。強打の遊撃手として活躍し、2013年にはアメリカに挑戦。故障もありMLB出場はなかったが、2015年に帰国し、オリックス、巨人と活躍の場を移している。

 その中島と小学校時代にバッテリーを組んでいた山崎勝己も現役を続けている。報徳学園から4位でソフトバンク入りし、2014年にはFA移籍でオリックスへ。経験豊富なベテラン捕手として、チームを支え続けている。

 阿部同様、今季限りでの現役引退を表明した畠山和洋も、この年のドラフト5位で、専大北上からヤクルトに入団。期待されながらもレギュラーに定着できない時代が続いたが、2015年には打点王に輝き、主砲としてチームをセ・リーグ優勝に導いた。

 今季までユニフォームを着続けた5名の中で、阿部は唯一の大卒選手だ。他の選手よりも4歳年上ながらも長く現役を続けられたのは、ひとえに阿部が誰よりも努力を重ねてきたことに他ならない。

[page_break: 初のプロアマ混成チームとなったシドニー五輪戦士たちも同期入団]

初のプロアマ混成チームとなったシドニー五輪戦士たちも同期入団

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阿部慎之助と渡辺俊介

 また、この年のオリックス1位は内海哲也(現・埼玉西武)である。結果的に指名を拒否し東京ガス入りを決めたため、同期入団とはならなかったが、3年後に自由獲得枠での巨人入りを果たし、阿部とはチームメイトとなった。

 この年のドラフトは、初めてプロアマ混成チームでの出場となったシドニー五輪のアマチュア選手たちが指名された年でもある。阿部を始め、新日本製鉄・渡辺俊介(ロッテ4位)や、法政大・広瀬純(広島2位)、立命館大・山田秋親(ダイエー2位)らが、アマチュア選手として世界と戦い、プロ入りを果たしている。

 それまでの野球オリンピック日本代表はアマチュア選手で構成されており、シドニー五輪の代表もプロからは各球団1名までと制限するなど(結果的に8名選出)、プロ野球選手が出場するにはハードルがあった。しかし現在は各年代から女子まで、「侍ジャパン」の名で代表チームが一つのブランドとなっていることを考えると、19年という時を経て、代表チームへの考え方も変わってきたと言えるだろう。

 また、阿部と同世代ということで言うと、中日の山井大介ただ一人である。神戸弘陵から奈良産大、河合楽器を経て18年目を迎えたベテランは、今季も13試合に先発し3勝を挙げ、65回を投げるなどまだまだチームにとって必要な存在だ。

 この時期はドラフトに向けて期待の選手たちの話題で持ち切りになるが、一方でこういった引退の報道に胸が寂しくなる時期でもある。5年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた巨人で、あとのことは後輩たちに任せて身を引く覚悟を決めた阿部。最後の戦いを見守りつつ、阿部に代わるニュースターたちのプロ入りを楽しみに待ちたい。

※数時は全て9/23時点

(文・林 龍也

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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