現在、わずかに残るクライマックスシリーズ出場へ向けて一丸の戦いを繰り広げている阪神タイガース。現在、その絶対的守護神として君臨しているのが「松坂世代」39歳の藤川 球児投手です。今季はシーズン途中から7年ぶりに慣れ親しんだクローザーへ本格復帰すると、9月22日現在で53試合に登板し4勝1敗13セーブ23ホールド・53回を投げて76奪三振をマークし防御率はこれも7年ぶりの1点台「1.36」。NPB通算の防御率も909回を投げ自責点204で「1.997」と夢の1点台に突入しています。

 では、MLBでの2セーブを合わせ日米通算242セーブ。名球会条件の「250セーブ」を来季早々にも達成しそうな藤川投手はなぜ、ここまでの復活を遂げたのでしょうか?もちろん、2016年に阪神タイガース復帰を遂げてからはじめは先発、次に中継ぎ、そして抑えと徐々に本職復帰への手順を踏んできたこともよかったのでしょう。

 が、もう1つ推察できることもあります。藤川投手自身の口から当時を振り返る発言はほとんどありませんが、2015年、テキサス・レンジャーズ(MLB)を自由契約となった後、故郷の高知県にある四国アイランドリーグplus所属・高知ファイティングドッグスでプレーした約3ヶ月間が大きく影響していると筆者は考えます。

 

 理由の第一は「心と身体をリセットする時間が過ごせたこと」。今振り返ると高知ファイティングドッグスでの藤川投手は実にリラックスしていました。報道陣の押し寄せる場では恰好をほとんど崩すことはなかったですが、ホームで出番を待つ間には筆者に向かって母校・高知商の試合結果を聞いたり、坊っちゃんスタジアムでのビジター戦ではキャッチボール中に観客の皆さんと雑談に興じることも。束の間ながら故郷で心と身体を休めることができたことはMLBの激戦を終えた彼にはどうしても必要だったのでしょう。

 もう1つは「日本仕様の確認作業」。マウンドの硬さ、気候、打者の反応。MLBと全く異なる環境にプレシャーのかかるNPBの舞台でいきなり対応するのは難しい。ましては「藤川球児」とというブランドがある以上、NPBでは周囲が「抑えるのが当たり前」と見るのが当然でしょう。

 ならば、四国アイランドリーグplusで投球スタイル含めて一度試行錯誤してみるのも悪くない。そう藤川投手は考えたのではないでしょうか。実際、高知ファイティングドッグスでの藤川投手はツーシームやカーブなど、阪神タイガース時代にはなかった変化球にも取り組んでいました。そして高知ファイティングドッグ退団時の会見ではこんなヒントも残しています。

 「成績はもうまったく興味ないです。自分がどういうふうにやったかっていう内容の方を重視してましたね。どういうふうに自分のやろうとしていることが、次の試合でうまく、少しでも野球がうまくなれたかなっていう」

 そう考えると、四国アイランドリーグplusと高知ファイティングドッグスでは藤川球児投手にとって再生「リ・ボーン」の場所だった。そう考えます。
 ただ最後に、もう一度言います。これはあくまでも「推察」。筆者はこの文章を書きながら藤川 球児投手に笑みを浮かべながらこう返されることを想像しています。

「そんなこと、ないですよ」と。

記事=寺下 友徳

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