目次

【目次】
[1]大飛躍のきっかけとなったフォーム改造
[2]2つのスイッチが入り、全国制覇につながった
[3]仲間の大切さを学んだ3年間

2つのスイッチが入り、全国制覇につながった



斎藤佑樹

 そして夏を迎えて、都立昭和戦で苦しみ、9回まで2対2の同点。9回表、僕は先頭打者としてヒットで出塁します。ランナー二塁の場面で、僕は三盗をしたいジェスチャーをします。OKをもらって、走ると打者は投手ゴロ。投手は打球の処理を誤り、その間に生還することができました。あの試合は僕にとって自分で考えて動くことができた試合で、野球選手としての喜びがありました。

 その後もコールドで勝ち進むのですが、僕も、みんなもスイッチが入った瞬間があります。ある試合で、一塁手が一塁の打球に対して、軽く捕りに行こうとした場面があったんです。この時、3年間やってきた仲間に対して僕たちは強く言うことができませんでした。

 その時、和泉先生がベンチ入り選手を集合させて「そんなんでは全国制覇できないよ!」と叱ってくれて、そして和泉先生はグラブをもって、佐々木先生に「ノックを打って」といいます。その打球は僕たちでもなかなか捕れない打球でした。その打球に対して和泉先生はユニフォームをどろんこにしながらも何度も飛び込んでいきました。これで僕たちは燃えないわけがありません。しっかりとスイッチを入れることができました。

 そして夏の西東京決勝では日大三を破り、夏の甲子園に行くことができました。甲子園では決勝戦に進み、再試合となりました。再試合の前にまたスイッチが入る出来事がありました。再試合の前、僕たちの間ではやりきった。高校最後の試合だから楽しもうという雰囲気があったんです。

 温厚な和泉先生から集められて、そういう話になるのかと思いきや、「明日は絶対に旗を取るぞ!」と強い口調で、やらないといけないと思い気持ちになりました。スイッチが入り、決勝戦に臨むことができました。そして決勝戦、9回二死の場面で打者は田中選手。僕はアウトコースのストレートで三振を奪って試合を締めたいイメージがありました。なぜならばアウトコースストレートは自分が一番練習したコースだからです。そして三振を奪い、ガッツポーズは、松坂さんが後ろを振り向いてガッツポーズしたように、僕もそれをイメージしてガッツポーズしました。本当にうれしかったです。

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