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足首を柔らかくするためのエクササイズ

2015.10.17

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 野球選手にはさまざまな体力要素が求められますが、体の柔軟性もその一つです。筋肉が硬くなってしまうとどうしても動作がぎこちなくなってしまいますし、低い捕球姿勢をとりづらくなります。また当然のことですがケガをしやすくなることも指摘されています。ここ最近では西洋式の生活スタイルが定着したことにより、股関節や足関節が硬い選手も多くなってきました。今回は特に足首に関する柔軟性について、チェック方法や自分でできるストレッチなどをご紹介したいと思います。

足首の柔軟性をチェックしよう

膝を抱えてしゃがむことができますか

 現在の生活スタイルでは食事や勉強などで椅子に座っていることが多く、直接地べたに座っての正座やあぐらなどの姿勢をとることが少なくなりました。またトイレも洋式トイレが主流になり、深くしゃがみ込む和式トイレは使いづらいという人も増えてきました。こうしたことが柔軟性低下の背景にあると考えられています。

 まずは自分の足首の柔軟性をチェックしてみましょう。両足をそろえて立ち、その状態からしゃがみこんで膝を抱えます。かかとが浮かず、後ろに体勢を崩すことなく保持できますか? かかとが浮いてしまうという場合は足首の柔軟性が低下していることが考えられます。ケガをしないよう十分に気をつけてチェックしてみてください。

足首の硬さは全身に影響する

 足首の硬さは足関節捻挫など直接的なスポーツ傷害のリスクが高まるだけではなく、体全体に大きな影響を及ぼします。以前にもお話した足首の「免震」構造は、柔軟性があることによって地面からの反力を分散させることが可能になるのですが、柔軟性の低い「耐震」構造の足首では、地面から受けるストレスを直接膝や腰などに伝達してしまうからです(参考ページ「腰痛対策のコンディショニング2」)。

 また足はあの小さい面積であなたの体重を一手に引き受けています。足首が硬い状態で少しでもバランスが崩れたりすると、筋力の弱い部分に大きな負荷がかかりケガを誘発してしまうことになるでしょう。


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[page_break:足首を曲げるストレッチ]

 足関節の動きをよくするために行いたいストレッチやエクササイズをご紹介します。

足首を曲げるストレッチ

体重をかけながら足首を深く曲げよう

 片膝を立てて前足に体重をかけるようにします。ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が伸ばされていることを確認しながら、足関節を背屈(足指が脛に近づき、深く曲がった状態)させます。このとき踵が浮かないようにすることが大切。

 踵がどうしても浮いてしまう人は浮かないポジションでキープするようにしましょう。10秒程度伸ばしたら元の状態に戻ります。これを左右行いましょう。

足首を伸ばすストレッチ

 足首の動きは背屈だけではなく底屈(足指を前方に伸ばした状態)も柔軟性アップに不可欠です。一番簡単にできる方法が正座をすること。足首が横に曲がらないように注意して伸ばします。特にオススメの方法が入浴時の正座です。浮力の影響で全体重が足首にかかることがなくなり、しばらくその状態をキープして足の甲や脛の前の部分を伸ばすことが出来ます。温熱効果もあるので筋肉などの柔軟性も改善しやすくなります。

足指と手指で握手をした状態で足首を回す

足指と手指で握手して足首を回す

 足首を回すというと立ってつま先を地面につけて左右に回すことが多いと思いますが、足首の動きをよりよくするためにはしっかり抱えて回すようにしましょう。具体的には座った状態で足を組み、足首を同じ側の手で抑え、反対側の手でつま先を保持して左右にゆっくり回します。

 また足指の動きを意識させるためには足指と手指を組み、握手した状態で回すとより効果的。左右10回程度まわして、反対側の足首も同様に行いましょう。

 足首の柔軟性を改善させるストレッチやエクササイズは意外と簡単ですよね。これを続けて行うことで少しずつ足首の柔軟性も良くなってくると思います。練習後のクールダウンなどにチームで取り入れてみたり、個人で入浴や入浴後に行ったりするようにしてみましょう。足首の動きがよくなるとケガが少なくなるだけではなく、普段のプレーにもいい変化が見られるかもしれませんよ。

【足首を柔らかくするためのエクササイズ】
・西洋式の生活スタイルは股関節や足関節の柔軟性低下をもたらす
・立った状態から膝を抱えてしゃがみ込み、自分の柔軟性をチェックする
・足首が柔らかいと地面からの反力を分散させることができる
・正座を行うことによっても足首の柔軟性は改善する
・足と手で握手した状態でゆっくりと足首を動かそう

(文=西村 典子

次回コラム公開は10月30日を予定しております。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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