Column

感染症対策と免疫力

2014.12.15

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 本格的なオフシーズンに入り、手もかじかむほどの寒さが身にしみる季節となってきました。この時期は空気が乾燥し、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスをはじめとする胃腸炎など、感染症に対する備えも必要となってきます。感染症に対する備えや予防策、またこうしたウイルスなどに対抗するだけの免疫力を上げることもアスリートとしては意識して行いたいところです。
今回はアスリートとして知っておきたい感染症対策や、免疫力を上げる生活習慣についてお話をしたいと思います。

感染症が発症する3つの原因

風邪をひくとトレーニング効果も半減

 感染症にかかる原因は大きく3つにわけて考えることができます。「ウイルス・細菌などの病原体」「感染経路」「個体条件」の3つです。この3つがそろうと感染症を発症します。

1)ウイルス・細菌などの病原体
 感染症を引き起こすウイルス・細菌などから身を守ることで、感染症にかかるリスクを軽減します。

実際には病原体を持つ人を別室に移動させたり、嘔吐物をビニール袋などに入れて広がらないようにする隔離対策や、病原体が付着していると思われるものを洗浄すること、さらには病原体が存在していると思われるところを熱湯やアルコールなどで消毒することなどが病原体への対策として挙げられます。

2)感染経路
 病原体が体内に入る感染経路を断つことで、感染症を予防することができます。感染経路には、感染している人が咳やくしゃみをして病原体を周囲にまき散らす「飛沫感染」、空気中の病原体を吸い込むことで起こる「空気感染」、食べものなどから感染する「経口感染」、感染している人が触れたものに他の人が触れることで起こる「接触感染」の4つの経路が考えられます。

 皆さんが普段から心がけている「手洗い」「うがい」といった予防策は、主に病原体が感染経路から体内に入ることを防ぐ効果があります。またマスクは病原体が体内に入らないようにするだけではなく、感染の疑いがある場合に病原体を拡散させないことにつながります。

3)個体条件
 たとえ病原体が体に侵入したとしても、自分自身の持つ抵抗力があれば、感染・発症を防ぐことが可能です。インフルエンザによる学級閉鎖などが起こっても、クラス全員が感染するわけではありませんよね。これは一人一人の抵抗力には個人差があり、個人個人の持つコンディションが違っているためなのです。個体条件を変える要因としては「予防接種」や「免疫力を高めるための生活習慣」が挙げられます。

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[page_break:アスリートは免疫力が低下しやすい? / ストレスを一人で抱えていませんか?]

アスリートは免疫力が低下しやすい?

アスリートは極限まで体を追い込むので免疫力も低下しやすい

 毎日練習をしているアスリートは病原体に対する免疫力が高く、感染症に対する抵抗力も高いと思われがちですが、実は激しい運動後は免疫力が低下してしまうことが知られています。
筋肉などを酷使し、筋線維が傷んでしまうとその部位を修復しようと炎症反応が起きます。こうした炎症反応の繰り返しや体力的な疲労の蓄積は免疫力を下げると言われています。

 練習量が多くなったときや、いつもよりも疲れていると感じるときは、ケガ予防のためのセルフケアとともに免疫力を上げる生活習慣を心がけましょう。キーポイントは「体を冷やさない」こと。食べもの、飲み物はなるべく温かいものをとるようにし、入浴もシャワーで済ますのではなく、湯船につかって体の芯から温まるようにします。

 また睡眠不足はあらゆる体調不良の元となりますので、睡眠時間の確保とともに熟睡できるような工夫が必要です(参考コラム「第28回 良い睡眠を心がけよう」)。

ストレスを一人で抱えていませんか?

 免疫力を上げるためにはストレスを上手に解消することも大切です。一人で悩みや不安などを抱え込んでいると、体のコンディションにまで影響が及んでしまうことがあります。仲間や先生、両親など身近な人に話を聞いてもらうことも一つの方法です。

 また「笑い」は免疫力アップにとても効果があると言われていますので、みんなで楽しく話をしたり、面白いテレビ番組を見たりといったこともオススメです。

 野球が上手くなるためには、体のコンディションだけではなく、心もリフレッシュして元気に過ごしたいものですよね。

【感染症対策と免疫力】
感染症が発症する原因は「ウイルス・細菌などの病原体」「感染経路」「個体条件」
●手洗い・うがいといった予防策は主に感染経路を遮断する
●激しい運動を繰り返すアスリートは免疫力が低下しやすい
●免疫力を高めるためには「体を温めること」を意識しよう
●「笑い」も免疫力アップには効果あり

(文=西村 典子

次回コラム公開は12月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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