Column

試合に向けた調整法

2013.03.15

いよいよシーズンイン。公式戦も始まります

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

練習試合も解禁となり、いよいよ野球シーズンが近づいてきました。春のセンバツ大会開催ももうまもなく。皆さんのチームでも公式戦を控えていることと思います。さて今回は試合に向けた調整法について、特に試合一週間前から意識したいことなどについてお話をしたいと思います。

ピリオダイゼーションという期分けの概念によると、試合前から大会開催時期については調整をメインとするコンディショニング時期となります(参考コラム:シーズンに合せた練習計画)。

オフシーズンは体力強化や基本的な技術の習得を目的とした練習がメインでしたが、試合が始まる前からは「強化」よりも今までのコンディションを維持してベストな状態で試合に臨むための「調整」が必要となってきます。

【疲労のマネジメント】
調整期ではまず疲労を蓄積させないことを考えながら練習計画を立てるようにしましょう。練習量を増やせば増やすほど疲労の度合いも増してくるため、この時期に必要な練習内容を確認し、効率よく練習を行うことが理想的です。「質より量で勝負」といった練習方法も時には必要ですが、この時期は技術面や体力面を強化するのではなく、今現在のチーム・選手のコンディションを良い状態で維持することをまず考えましょう。練習後のクールダウンに十分な時間をかけ、疲労が残らないような生活を心がけるようにします。練習後などにアミノ酸(特にBCAA)を含む食品を摂取すると筋肉痛の軽減が期待できます。

【身体面でのコンディション調整】
身体のコンディションについては、あらかじめ不安に思っていることをなるべく早く対応するようにします。花粉症で鼻や目がつらくてプレーに集中できない選手は前もって病院や薬局などで薬を処方してもらう、歯痛に悩む選手は前もって治療をすませておく等、試合当日に起こっては困ることについてなるべく早めに対応し、身体に対する不安を取り除くようにします。歯の痛みは意外と忘れやすいものなので、以前に歯の痛みで悩まされたことのある選手は、検診を兼ねて歯科医を受診することをオススメします。風邪などの感染症にかからないように帰宅後に手洗い・うがいを行う、お腹を壊さないように冷たいものを摂りすぎないようにするといったことも普段から意識して行いましょう。


球場の大きさなどもあらかじめ確認しよう

【生活リズムを整える】
試合の日程・時間などが決まっている場合は、試合当日と同じようなリズムで過ごせるよう、起床時間や就寝時間を調整するようにしましょう。早朝の試合であれば、試合開始時間から逆算し、準備や移動時間を考慮して起床時間を設定します。朝起きる時間が決まると必然的に就寝時間も決まってきます。体調や個人差にもよりますが、しっかりと睡眠時間を確保することが大切です。夜型の生活リズムを朝型にして、試合が始まる時間に身体が十分に力を発揮できるようにしましょう。

【心理的な準備】
対戦相手に対する情報収集や分析だけではなく、当日行われる球場の大きさや特徴などもあらかじめ頭に入れておくと、当日の試合で動揺することなくプレーできるようになります。天候などもあらかじめ念頭に入れ、雨天時には気温が下がるから厚手のウォームアップジャケットを用意しようとか、晴天ならば脱水に気をつけて水分補給をこまめに行おうといったことを想定し、当日「こんなはずではなかった」という想定外のことがなるべく起こらないようにすると、心理的にも安心してプレーに集中することが出来ます。

今まで培ってきた練習の成果が100%出し切れるようにするためには、事前の準備が重要です。疲労のマネジメント、身体面でのコンディション、生活リズム、心理的な準備といったことをぜひ実践して、試合に臨んでくださいね。

【試合に向けた調整法】
●試合前は「強化」ではなく「維持・調整」をメインに考える
●疲労を蓄積させないようクールダウン等は入念に
●花粉症や歯痛など身体のコンディション面での不安をあらかじめ解消する
●試合開始時間にあわせた生活リズムを心がける
●対戦相手・球場・天候等、当日の試合について想定しておく

(文=西村 典子

次回、第65回公開は03月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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