Column

身体を大きくするために

2011.11.07

ウエイトトレーニングだけが必要?

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

野球シーズンも終盤を迎え、残すは明治神宮大会のみとなりました。多くの学校が来春の公式戦を見据え、オフシーズンのトレーニングを開始したことと思います。
この時期は、野球の技術を高める上で欠かせない体力要素を強化する時期。選手からよく「身体を大きくするにはどうしたらいいですか?」といった質問を受けるのですが、今回はこのことについてお話をしたいと思います。

身体を大きくするためにまず思いつくことは何でしょうか? 

バーベルやダンベルを用いたウエイトトレーニングでしょうか。もちろんトレーニングが必要なことは言うまでもありませんが、必ずしもウエイトトレーニングがすべてというわけではありません。身体を大きくするために必要なことは3つ、「トレーニング(練習やランニング等を含む)」「栄養」「休養」です。このバランスが崩れてしまうと、トレーニングをしても身体が大きくならないばかりか、思わぬケガをしてしまうことも考えられます。

トレーニングでは「野球選手に必要な体力要素」を鍛えるためのプログラムを行うことが大切です。筋肉でムキムキの身体になったとしても、野球選手としてのパフォーマンス(投げる・打つ・走る等)が落ちてしまうのであれば、トレーニングを行う意味は薄れてしまいますよね。またトレーニングにはその時期にあったものを行うことも大切です。シーズンオフの始めには基礎体力づくりをメインに、後半にかけては築き上げてきた基礎体力を土台とし、パワーを高めるためのトレーニングへと移行することが一般的です(参考ページ:第11回 シーズンに合わせた練習計画)。

まずは自体重(自分の体重)を利用したグランドでのトレーニング、体幹強化のための腹筋・背筋強化、相手の体重を利用したパートナートレーニングなどから始め、施設や環境が整っている場合は器具などを用いたウエイトトレーニングもあわせて行うと良いでしょう。


食事ノートをつけてみよう。

栄養も身体を大きくするために欠かせない要素です。だからといってただやみくもにプロテインばかりを取り過ぎるのも考えもの。過度なプロテイン摂取は肝臓や腎臓に負担をかけることになります。

まずは自分が毎日食べている食事をノートにつけてみましょう。3日間分もあれば、自分の食事についての栄養バランスや偏り具合などがわかるようになります。そしてつけたノートをもとに自分の食生活を見直していくようにしましょう。

ありがちなのは朝、少しでも寝ていたいと朝食を抜いてしまうこと。このコラムを読んでいる選手の皆さんには関係ないことであってほしいのですが!朝食を抜くことは朝からエネルギー源を取らずに活動することになり、カロリー摂取不足、栄養バランスの偏りにつながります。基本的なことですが朝・昼・晩と三食をきっちり食べること。食事内容もご飯やパンといったエネルギー源である炭水化物、筋肉の源となるたんぱく質、野菜などのビタミン・ミネラル分、また脂肪分も必要です。ただし脂肪に関しては、体重コントロールが必要な選手(とくに減量を目的とする場合)は、過度の摂取には気をつけましょう。

そしてもう一つ重要な要素である休養。これは過度な練習によるオーバートレーニング(疲労が抜けないまま体調を崩してしまうことがある)を予防するためにも、しっかりと休養をとることが大切です。夜更かしをして寝る時間が遅くなり、睡眠時間が短くなって朝起きるのがつらくなり、少しでも寝ていたいので朝食を抜いて学校へ行くといった、もっともありがちなケース!はアスリートとしてはNG。しっかりと睡眠時間を確保して心身ともに休息をとることを心がけましょう(参考ページ:第28回 良い睡眠を心がけよう)。また寝ている間には筋肉の修復・再生には欠かせない成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは22時~2時頃にかけてその分泌のピークがくると言われていますので、なるべくその時間帯に就寝できるよう、遅くとも日付が変わるまでには必ず布団に入るようにしたいものです。

「トレーニング」「栄養」「休養」の3要素を考慮して、日々の練習に参加すること。これが身体を大きくするためには一番の近道かもしれませんよ。

【身体を大きくするために】
●「トレーニング」「栄養」「休養」の3つがそろって初めて身体は大きくなる
●野球選手に必要な体力要素と、その時期にあったトレーニングを行うこと
●三食の食事もバランスよく。朝食の欠食はNG
●筋肉の源となるのはたんぱく質。食事からしっかりと摂取すること
●睡眠時間を確保し、成長ホルモンの分泌されている時間帯に就寝することが理想

(文=西村 典子

次回、第33回公開は11月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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