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トレーニングと休養・栄養のバランス

2011.01.30

第13回 トレーニングと休養・栄養のバランス2011年01月30日

超回復の概念図(図1)

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

新しい年も早1ヶ月が過ぎ、春のシーズンに向けて各チームではさまざまな練習やトレーニングが行われていることと思います。今回は知っているのと知らないのとではトレーニング効果がかなり変わってくる、休養と栄養のバランスについてご紹介したいと思います。

ケガをしないために、そして野球の技術が向上するためにトレーニングを行うのですが、土台作りに大切な筋肉には適切な休養が必要となります。

トレーニングやスポーツ動作を行うと、筋疲労などから一時的に細かな筋線維が壊れてしまいます(これが筋肉痛の原因の一つ)。その後、筋肉は損傷を受けた負荷に対して「負けないように」強い筋線維を作ろうとするのですが、このときに適切な休養と栄養(筋肉の源=たんぱく質)が伴うと、トレーニングを行う前よりもより強い筋肉が形成されます。この現象を超回復とよびます。

超回復の概念図(図1)

筋肉がダメージを受けてから回復し、さらに強い筋線維を作るには、トレーニングの強度にもよりますが、24~48時間程度(中1日~2日程度)の休養が必要であるといわれています。大きな力を発揮する大筋群(胸や背中、太ももの筋肉など)は回復に時間がかかり、小さな筋肉(肩のインナーマッスルや指の筋肉など)や腹筋群は比較的早く回復するといわれています。


超回復(図2・図3)

休養を適切にとった場合はトレーニング効果が右肩上がりとなって現れます(図2)が、休養が不十分であった場合は逆に右肩下がりとなってしまい(図3)、せっかくトレーニングを積み重ねてもどんどん筋力が落ちてしまうということになってしまいます。

さらにひどい場合ではパフォーマンスが低下し、慢性疲労状態であるオーバートレーニング症候群におちいってしまうこともあるので注意が必要です。

もう一つ大事なことはトレーニングと栄養の関係です。トレーニング前やトレーニングの後、皆さんは何を食べていますか?

せっかくトレーニングを行ってもしっかりと栄養をとらないと、筋肉が疲労するばかりで超回復には結びつきません。筋肉の源はたんぱく質ですが、エネルギー源として重要なのがご飯やパンなどに代表される炭水化物です。タイミング良く食べることで疲労を回復し、筋力をアップさせることができますよ。

トレーニングの時の食事のポイントをまとめておきます。

・トレーニングの前にエネルギー源となるもの(おにぎり・パン・バナナなどの軽食でOK)をとり、空腹の状態(特に食事後4時間以上何も食べない状態)でトレーニングを行わないこと。

・トレーニング終了後、30分が「ゴールデンタイム」=成長ホルモンが一番分泌される時間帯、といわれていますが30分にこだわらず、トレーニング後2時間以内を目安にしっかりとした食事をとるようにする。

・たんぱく質はまとめて食べるのではなく、三食+トレーニング前後を中心にこまめにとること(たんぱく質はまとめて消化することが出来ないため)。

・一日体重1㎏あたり2gのたんぱく質摂取が目安。取り過ぎは内臓を痛める原因となるので注意しよう(70㎏の選手であれば一日140gの摂取を三食+トレーニング前後で分けて食べるようにする)
・トレーニング中は十分な水分補給を心がける

適切な休養と栄養は疲労回復に役立つだけでなく、しっかりとした土台作りのための身体を作ります。普段から取り組めるものばかりですので、ぜひチームで実践してみてくださいね!

(文=西村 典子

次回、第14回公開は02月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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