シーズンに合わせた練習計画
第11回 シーズンに合わせた練習計画2010年12月31日
時期に応じてトレーニングなどの種目や強度を変化させよう
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
オフシーズンになると野球の練習もさることながら、体力強化のトレーニングや、走り込みなどランニングの量が増えたりすると思いますが、「なぜこの時期に行うのだろう?」「長い距離を走ることが野球にどう活かされるのだろう?」と思ったことはありませんか。
これにはこの時期に行うべききちんとした理由があるのです。今回は体力トレーニングやランニングを考えるときに欠かせない、ピリオダイゼーション(期分け)についてお話をしたいと思います。
ピリオダイゼーションとはシーズンや試合に合わせて、その時期に一番いい状態に身体を近づけるためのトレーニング計画のことを言います。身体は数カ月かけて環境に適応するのですが、一度適応してしまうと変化が起こらなくなると言われています(いわゆる頭打ち状態)。これを避けるために、数か月ごとに違ったトレーニングのパターンを導入することが必要なのです。
毎回同じトレーニング内容では飽きてしまいますよね?これは脳だけではなく身体も同じように感じているということなのです。
これを野球選手に置き換えてみましょう。
オフシーズンはもともと野球の試合を組むことができません(毎年12月1日~翌年3月7日まで)。
これは寒い地域に配慮したものであるのと、もう一つ大事なことは寒い時期での実践練習によってのケガを予防するためとされています(財団法人日本高等学校野球連盟)。
しばらく練習のないこの時期は、真夏の連戦などを想定した体力ベースを向上させるランニング(ロング走、心肺機能を強化するミドル走など)や、ケガをしない身体づくりと筋力アップのための基本的なトレーニング(特に下半身の強化)を行います。
時期に応じてランニングなどの種目や強度を変化させよう
その次の段階では、実践的な動きが出来るように走り方の改善や、ダッシュを含めたスプリントドリル、トレーニングではより野球の動きに近い種目を取り入れ、パワーを高めるために前回よりも高重量で回数を減らしたトレーニングへと移行します。
この時期には紅白戦や練習試合などの実践形式なども行うようになります。試合期に入ると野球の練習がメインとなり、体力トレーニングに費やす時間が少なくなりますので、今まで鍛えた筋力を維持するためのトレーニング(高負荷・低回数)を短時間で行います。週に一度のトレーニングでもまったく行わない状態よりははるかに筋力は維持されます。
試合期が終わった直後には、疲労回復とリラクゼーションも含めて、レクリエーション的な運動などを積極的に取り入れます。オフシーズンにプロ野球選手が野球とは違った種目を行っている光景をテレビや新聞などで目にしたことがあるかと思いますが、自分の専門種目以外のトレーニングを行うことをクロストレーニングと呼び、オフシーズンの始めなどに行われます。そしてまた体力強化をメインとした時期を迎えます。
このように時期に応じてトレーニングやランニングの種目や強度を変化させていく、これがピリオダイゼーションの考え方です。
年間の試合計画、部活予定をもとにその時期ごとに行うことを変化させていき、ここ一番の大勝負時に最高の状態で試合に臨めることが理想ですが、なかなか計画通りにいかないことも多いと思います。そういった場合でも少しずつ修正を加えながら、出来るだけ良い状態に近づけるよう、トレーニングやランニングを工夫してみてくださいね。
7月からはじめたこのコラムをお読みいただきありがとうございます。2011年も皆さんにとって少しでも役立つ情報をお伝えしていきたいと思いますのでどうぞご期待ください!
(文=西村 典子)
次回、第12回公開は01月15日を予定しております。
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