目次

[1]オーバートレーニング症候群とは/練習は優先順位をつけよう
[2]オーバートレーニング症候群の特徴/コンディションを記録し続けよう


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 秋の公式戦も一段落し、実践練習とともに体力づくりのためのトレーニングを行っているチームも増えてきていることと思います。それぞれの課題を克服し、春のシーズンには一回り成長した姿でプレーできるようにがんばっていきましょうね。さて今回は野球選手にもしばしば見られるオーバートレーニング症候群(慢性疲労症候群)について考えてみたいと思います。練習には「質より量」という面と「量より質」という面があります。どのようにコンディションを整えていけば良いでしょうか。

オーバートレーニング症候群とは



オーバートレーニングと超回復の概念図

 オーバートレーニング症候群とは「練習やトレーニングなどによって生じる生理的な疲労が、十分に回復しないまま積み重なって起こる慢性疲労状態のこと」を指します。トレーニングでは「少しずつ負荷を上げていくことでより強化される」過負荷の法則があり、体力レベルを上げるためには運動強度を上げる必要があります。こうした強い負荷を体に与えた場合は、疲労回復のために十分な栄養と休養をとることが鉄則ですが、このバランスが崩れて体が回復する前にさらに強い負荷がかかる状態が続いてしまうと、練習やトレーニングの積み重ねが逆にパフォーマンスやコンディションを低下させてしまうことになります。

 オーバートレーニング症候群と見分けのつきにくいものに「うつ症状」が挙げられます。どちらも強いストレスが引き金になることが多いのですが、オーバートレーニング症候群は主に体力的なストレス(疲労)が要因である一方で、うつ症状は精神的ストレスが大きく関与すると言われています。ただし、ストレスは体力的なものだけ、精神的なものだけということはなくどちらもその影響を考慮する必要があります。疲労の蓄積とともに競技におけるプレッシャーなどを感じていると、体調に異変を起こしやすくなることは容易に想像できるでしょう。この他にも風邪の症状や貧血などとも見分けがつきにくいことがその特徴として挙げられます。

練習は優先順位をつけよう

 練習には反復練習によって身につける「練習量」を積むものと、量よりも質を求めて体がフレッシュな状態の時に集中して行うようなものがあります。さらに技術を高める練習とともに体力的な要素を鍛えるためのトレーニングなどもあわせて行う必要があります。高校野球という短い期間の中で、時間的な制約があるとどうしても「あれもこれも」と詰め込んでしまいがちですが、毎日すべてをやり切ろうとすると体力的な限界を越えて疲労困憊になってしまいます。たとえば技術練習をめいいっぱい行った後に、体力強化のためのランニングを行い、その後は自主練習としてウエイトトレーニングを行うようなケースでは、もはやウエイトトレーニングをやり切るだけの体力は残されていないのではないでしょうか。もし行えたとしてもパフォーマンスアップにつながるものとは言いがたく、ケガのリスクが高まってしまうことさえ考えられます。練習では優先順位をつけることを心がけ、ウエイトトレーニングを行うときには技術練習の強度を考慮するといった配慮が必要でしょう。