目次

[1]肩甲骨の構造や動きを理解しよう
[2]胸椎の伸展動作を高めよう


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 朝晩はすっかり寒くなり、秋の深まりを感じるようになりました。選手の皆さんは、実践練習とともに来春を見据えて体づくりにも取り組んでいるのではないでしょうか。さて今回は、肩甲骨の動きを妨げる様々な部位について考えてみたいと思います。肩甲骨は複雑な動きをしますが、その動きを妨げる部位へのアプローチも合わせて行うようにしましょう。

肩甲骨の構造や動きを理解しよう


 肩甲骨は背中の上部に位置し、左右に羽のようについている骨です。腕を動かすときは肩甲骨も連動して動くのですが、この肩甲骨の動きが悪くなると投球動作に支障を及ぼすようになります。肩甲骨は鎖骨や上腕骨とは骨同士が連結していますが、脊柱とは直接つながっておらず、宙に浮いたような状態になっています。宙に浮いた状態でもいつも同じように背中の上部に肩甲骨が位置しているのは、肩甲骨周辺部の筋肉が支えているからなのです。

 肩甲骨は主に6方向に動きます(図1)。肩をすくめるシュラッグ動作で肩甲骨は上にあがり(挙上)、力を抜いて腕をだらんと下げると肩甲骨も下がります(下制:かせい)。また胸を反らせて背中で肩甲骨を引き寄せるように動かすと肩甲骨は内側に寄り(内転)、背中を丸めるようにすると肩甲骨は外側に開きます(外転)。投球動作時に腕を上げるようにすると肩甲骨は連動して上方に移動し(上方回旋)、腕を下げるときは腕の動きとともに元の位置に戻ろうとします(下方回旋)。

首の張りは代償運動につながる


 肩甲骨の動きを妨げるものとしてまずチェックしたいのが首周りの筋肉です。ここが硬くなっていると肩甲骨が最初から少し挙がった状態となり、投球動作に必要な上方回旋の動きが十分に行えなくなります。

 肩甲骨と上腕骨は連動して動くため、肩甲骨の動きが不十分だと上腕骨も上がりきらず、これを補うためにさらに首をすくめたり、上体を傾けるなどして代償運動を伴うようになります。代償運動を伴う不自然なフォームで繰り返し投げていると、肩や肘などに過度な負担がかかって傷めるリスクが高まります。普段から肩周りとともに首を支える僧帽筋の上部や板状筋(ばんじょうきん)、肩甲挙筋など、首周辺部のストレッチを行うようにしましょう。