目次

[1]大きな力を生み出すパワーを身につける
[2]肩を強くするために肩を鍛えるとどうなる?


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 10月も中旬を過ぎましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。部活動の制限が少しずつ緩和されているところも多いと思いますが、チームとしての集団行動が感染症のリスクとなることはよく知っていることと思います。いつもどおり練習できることに感謝しながら、引き続き個人個人で体調管理を行うようにしてくださいね。さて今回は上半身のトレーニングについて考えてみたいと思います。皆さんが日頃取り組んでいるトレーニングんの内容を振り返って、思い当たることがないか、どうすればプレーに活かせるトレーニングになるかを考えてみましょう。

投球動作を繰り返すと肩関節の位置が変わる?


 上半身のトレーニングといって真っ先に思いつくのがベンチプレスではないでしょうか。下半身のトレーニングは気乗りしなくても、ベンチプレスだけはやりたいという選手も少なくないと思います(中にはサマーボディーに向けてやる気満々になっている選手も…!)。体全体の筋肉量を増やし、バランス良く鍛えるという点では上半身のトレーニング、特にベンチプレスもさほど問題にはなりませんが、気になるのは筋バランスです。ベンチプレスばかり行って、拮抗筋(きっこうきん:主動筋に対して反対の動きを担う筋肉)にあたる背筋のトレーニングはあまり意識したことがない…ということはありませんか?

 投球動作は腕を後ろから前に振り下ろす動作を繰り返します。この時に前面にある大胸筋は収縮し、後面にある広背筋や上腕三頭筋などは腕が抜けないようにブレーキをかける役割(伸張性収縮)を持っています。このような動作を毎回繰り返していると大胸筋は収縮を繰り返して、肩関節を前方へと引っ張るようになってきます。大胸筋が強ければ強いほどその傾向は顕著になり、肩が丸まって前方に移動するといったことも起こります。すると肩甲骨を引き寄せて大胸筋をストレッチさせる動きが窮屈になり、肩が十分に上がらないまま投球動作を行うため、肩の前方が痛くなったり、肘を傷めてしまったりといったことが見られるようになります。

 このようなことを防ぐためにはベンチプレスなどで「押す」動作とともに、背筋を使って「引く」動作を意識したダンベル(バーベル)ローイングなどのエクササイズを取り入れるようにしましょう。ざっくり言うと背筋を収縮させることは大胸筋をストレッチすることにもつながります。また肩が上がりにくいと感じる時は肩の前方にある大胸筋や小胸筋の付け根部分を自分の手でほぐすだけでも驚くほど肩が上がるようになります。