第262回 フィジカルコンディションの考え方2021年01月31日

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【目次】
[1]フィジカルコンディションとは
[2]ハイレベル選手のトレーニングを参考にするとき


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 新型コロナウイルスの影響で部活動に制限のあるチームも少なくないと思います。3つの密といわれる「密閉」「密集」「密接」を避ければ、感染のリスクは少なくなると思いますが、自治体からの要請や学校での取り決めなどに従い、今できることをしっかり行っていきましょう。春のセンバツ、都道府県の春季大会が無事に開催されることを願っています。さて今回はフィジカルコンディションの考え方というお話をしたいと思います。自分の体をマネジメントするセルフコンディショニングにもつながるお話です。

フィジカルコンディションとは



コップの水をあふれさせないようにコンディションを整えよう

 フィジカルコンディションとは文字どおりに表現すると「フィジカル」=体、「コンディション」=状態、のこと。体調ととらえることもできます。自分の体を整えることをセルフコンディショニングと言いますが、野球選手にとって自分の体をよりよい状態に保つことは、パフォーマンスを高めるためにも大切なことです(※余談ですが「身体」と表現するときは、体だけではなく心理的な側面も含まれます)。このフィジカルコンディションを常によい状態に保ちながら、プレーできることが理想的ですが、このフィジカルコンディションはさまざまなものによって良くなったり、悪くなったりします。

 野球の練習を行うと当然、体は疲労しますし、その疲労回復が十分になされていない状態でさらに練習を積み重ねると、フィジカルコンディションは下がってしまい、より良いプレーができないだけではなく、ケガや体調不良につながることもあります。皆さんは日頃から疲労をためないようにストレッチを行ったり、十分に睡眠をとったりすると思いますが、こうした日々の積み重ねがフィジカルコンディションをより良い状態に保つ秘訣とも言えます。

人によって体力は違う

 同じ練習を行っていても、疲れて動けなくなる選手がいたり、疲労からケガをしてしまう選手がいたりします。一方で「ケガに強い」と表現されるような大きなケガとは無縁な選手も中にいることでしょう。これは個人個人の体力レベルに違いがあるからです。特に成長期にある高校生では体格や体力面で大きな違いが見られることは不思議なことではありません。

 ここでフィジカルコンディションをコップに見立ててみましょう。コップに注がれる水はさまざまな外的ストレスです。コップの水があふれないようにするためには、外的ストレスを減らすようにする必要があります。ここでいう外的ストレスは主に練習やトレーニングなどによる体力的な疲労ですが、減らすためには例えば十分な睡眠であったり、疲労回復のためのクールダウンや入浴、ストレッチ、そして疲労した体へのエネルギー源、体づくりに必要な栄養素を含む食事などが考えられます。このコップ(体)と水(外的ストレス)の関係が保たれた状態であれば、フィジカルコンディションは一定の状態を維持できると考えられます。

 ところがコップに水がどんどん注がれるのに、それを減らすための行動がなされない状態だとやがてコップの水はあふれてしまいます。コップの水があふれた状態はいわゆる「コンディション不良」であり、ケガに直結する状態ともいえます。睡眠不足やコンディショニング不足、偏った食事などが続いてしまうとコップの水はあふれてしまいます。さらにコップの水は体力的な疲労だけではなく、負担のかかるフォームで投げ続けることや体力レベルを超えたランニング量、足元を支えるシューズの不具合など、さまざまな「水」がコップをあふれさせるのです。

【次のページ】 :ハイレベル選手のトレーニングを参考にするとき

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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