第258回 反復練習による疲労骨折を未然に防ぐ2020年11月30日

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【目次】
[1]そもそも疲労骨折とは?
[2]疲労骨折を予防しながら練習をする


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 本格的なオフシーズンに突入する時期となりました。体力強化のためのトレーニングやランニング、技術練習では基礎練習といった地道な反復動作が多くなることも想定できます。さて今回はこうした反復練習やランニング量などが増える時期に多く見られる疲労骨折について、その兆候や予防法、対応などについて特に下肢を中心としてお話をしたいと思います。

そもそも疲労骨折とは?



繰り返される外力だけではなく、身体的な特徴や走り方なども疲労骨折の要因となる

 疲労骨折とはどのような骨折のことを指すのでしょうか。体に疲労がたまったことで起こる骨折という意味ではなく、同じ動作を繰り返すことである特定の部位に外力が加わり、やがて骨の連続性を断つほどにまでに衝撃が加わり続けることで起こる骨折のことを指します。針金を同じところで何度も折り曲げていると、折り曲がった部分で針金が折れてしまうように、疲労骨折は「金属疲労」という言葉に由来しています。たとえばその人の持つ体力レベルを超えて素振りを続けていると、回旋で加わる大きな外力が引き金となって腰椎分離症を起こしたり、硬いアスファルトの上を毎日、長時間走り続けていると脛の骨が疲労骨折を起こしたり…といったことが考えられます。

 疲労骨折は体を支える骨を中心に起こりやすいことが知られています。すねの骨である腓骨(ひこつ)、脛骨(けいこつ)、足の骨である中足骨、膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨(二分膝蓋骨)などは特に成長期の選手に見られるものです。また回旋動作による腰椎分離症や、肋骨の疲労骨折などもありますし、繰り返されるバッティングの衝撃によって手の骨(有鉤骨、舟状骨など)に疲労骨折が見られることもあります。体が成長段階にある皆さんは大人に比べて骨が柔らかいため、繰り返される外力によって疲労骨折を起こしやすい特徴があるということも理解しておきましょう。

「痛くてもプレーができる」は要注意

 疲労骨折は一回の衝撃で骨折するものではなく、繰り返しかかる外力によって骨がダメージを受けるスポーツ障害です。最初のうちは軽い違和感や痛みなどを覚えますが、多少の痛みがあってもプレーを継続することができるため、非常に厄介なケガの一つと言えるでしょう。特に下肢への負担が大きくなるランニング動作やジャンプ動作は、たわみをもつ脛骨や中足骨などに大きな衝撃がかかりやすく、骨に微細損傷をもたらします。この状態でも痛みを感じるはずなのですが、我慢してプレーを続けているとやがて骨にヒビが入り、完全骨折へと移行します。RICEなど痛みに対する基本的なケアを行っても日を追うごとに痛みの度合いが強くなる、運動中や運動後に痛みが強くなる(運動痛)、圧痛(患部を押すと痛みを感じる)がある、痛みの部位が腫れたり、ボコッとしたと小さな隆起が見られたりする場合には運動を中止して、医療機関を受診するようにしましょう。疲労骨折は放置しておくと、競技復帰までに時間がかかってしまうものです。気合いや根性で乗り越えられるものではありませんので、体力レベルにあった練習量と疲労回復にかかる時間を考慮し、疲労骨折を防ぐように心がけましょう。

 また内反捻挫をすると、通常は外側の組織が損傷しますが、ときどき足首の内側も痛くなることがあります。これは、足首を内側に大きくひねることによって、内側にある靭帯などが軟部組織との挟み込みを起こしたり、骨との衝突などによって痛みを生じることなどがその原因として考えられますが、時間の経過とともに軽減していくケースが多いと考えられています。

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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