目次

[1]ケガを誘発しないための「有効限界」と「安全限界」
[2]ケガ予防を考慮したランニングのプログラムデザイン

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 秋の公式戦が一段落し、多くのチームでは来シーズンに向けたトレーニング期に入っていることと思います。トレーニング期では体づくりはもちろん、スタミナ強化や走力のレベルアップを狙ったランニングも行っているのではないでしょうか。さて今回はランニングによるケガを予防するための考え方や、プログラムデザイン、セルフコンディショニングなどについてお話をしてみたいと思います。

ケガを誘発しないための「有効限界」と「安全限界」



 ランニングの量や強度が高くなると、疲労もたまりやすく、この状態が続くとスポーツ障害につながってしまうことがあります。一方でケガのリスクがほとんどないレベルの運動強度では、体力・走力のレベルアップが見込めないこともあり「ケガをしないギリギリのレベル(安全限界)で、かつ体力レベルが強化できる(有効限界)」プログラムを行う必要があります。プログラムの作成にあたっては運動の「強度」「時間」「頻度」という3要素と「種目」があり、これらの要素が全体的な運動量を判断する目安となります。

 安全限界とは「このレベルを超えたらケガをしてしまいますよ」という限界値であり、これは個人個人によって違いがあります。全体的な運動量が安全限界を超えてしまうと、特に体力的に弱い部分からケガをしやすくなります。例えばランニングにおける肉離れは、練習量や強度が選手の持つ筋力、柔軟性、筋持久力などを超えたときに起こりやすくなります。技術練習の時間が長く、そこからさらに強度の高いランニングを行うと、ケガをしやすくなるというのは想像できるのではないでしょうか。

 一方、有効限界はトレーニング効果が得られる最低ラインの運動量を指します。トレーニングには過負荷の法則というものがあり、ある一定上の負荷で運動しなければ体力向上が見込めないというものです。いつも同負荷のトレーニングを続けていると、体が負荷に適応してしまいトレーニング効果が薄くなってしまいます。体力レベルを上げたい、野球に活かせる体づくりをしたいという場合は、やはりある程度の負荷をかけてトレーニングやランニングなどを行う必要があります。