目次

[1]脊柱が持つ3つの役割
[2]脊柱の構造を知っておこう
[3]腰の回旋動作は胸椎が担う
[4]腰椎の前弯が強くなると腰椎分離症のリスクも

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 暑さによる気候の急変で雷雲が発生したり、台風が近づいたりする気候となりました。屋外で活動する皆さんは日頃から天気予報などで情報収集をしていると思いますが、見上げた空の状態がいつもと違って暗くなっていたり、冷たいひんやりした風が吹く時は要注意です。天気の急変を見逃さず、安全第一で練習に励んでくださいね。さて今回は野球選手によく見られる腰痛について、体を支える脊柱の構造や働きとともに考えてみましょう。

脊柱が持つ3つの役割


 脊柱には大きな役割が3つあります。1つ目は体を支える柱としての役割、2つ目は体を前後左右に動かしたり、回旋動作を可能にしたりする運動機能としての役割、3つ目は脊柱管という管の中にある脊髄を保護する役割です。スポーツが持つダイナミックな動きを支えているのは脊柱の働きが大きいと言えるでしょう。

脊柱の構造を知っておこう


 背中側に位置する脊柱(背骨)は椎骨という骨が積み重なって一本の柱を構成しています。この椎骨は首部分に7個、胸部に12個、腰部に5個あり、それぞれを頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)と呼びます。腰椎よりも下には仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)という骨が存在します。椎骨と椎骨の間には椎間板という軟骨組織があり、荷重による物理的ストレスを和らげるクッション的な役割を果たしています(図253_1)。

 正面からみると脊柱は一本の柱のようにまっすぐ見えますが、横から見ると緩やかなS字カーブ(専門用語ではアライメント=配列のこと)を持っています。このカーブが乱れてしまうと腰痛を引き起こしやすくなります。頸椎と腰椎はやや前方にカーブを持ち、胸椎はやや後方にカーブを持ちます。たとえば頸椎のカーブが少なくなるとストレートネックと呼ばれるような状態となり、頸部痛や頭痛などの要因ともなります。腰椎のカーブが少なくなると骨盤が後傾しお尻が落ちて、猫背になりやすく、パフォーマンスにも影響を及ぼすようになります。逆にカーブの傾斜がきつくなると「反り腰」のような状態となり、腰椎に負担がかかって痛みを引き起こすことがあります。

 野球に限らずスポーツは体を大きく曲げたり、反ったり、ひねったりという動作を伴います。この時に背骨が本来持つ動きをスムーズに行うことができれば良いのですが、背骨に付着している筋肉が硬い状態だったり、背骨が持つカーブそのものが乱れていたりすると、強い外力に耐えられずに痛みを引き起こす場合があると考えられます。