第245回 野球選手らしい体つき2020年05月15日

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【目次】
[1]心拍数とコンディショニング/およその最大心拍数を知っておこう
[2]肩関節の可動域に変化が見られる

肩関節の可動域に変化が見られる



図1 立位での肩関節内旋・外旋の測定(2nd ポジション。一般的には外旋90°、内旋70°)

 お尻の大きさとともに野球選手に見られる特徴的な体の変化として、肩関節可動域(関節の動く範囲)が挙げられます。肩関節可動域の内旋・外旋を測定するための方法は3つ(1st ポジション、2nd ポジション、3rd ポジション)ありますが、一般的な人と比べ、野球選手は肩関節の内旋可動域が低く、外旋可動域が大きくなる(いわゆる腕がしなる状態)傾向があります(図1)。これは投球動作を繰り返すことによって、腕を常に前に振り出す動作を繰り返すため、肩の後方部にあるローテーターカフ(棘下筋、小円筋など)や関節包などの柔軟性が低下することがその一因として挙げられます。

 また投球動作によって上腕の骨頭部が肩の前方に位置する大胸筋や小胸筋などによって引っ張られ、その牽引ストレスによってやや前方に移動してしまうといった変化も見られることがあります。野球の動作を繰り返す中で適応した体の変化ともいえますが、このままの状態で投球を続けると肩の傷害につながることもあるので注意が必要です。



腕のしなりを意識しすぎず、まずは肩関節の内旋可動域を改善させよう

 肩関節の可動域を改善させるためには、練習後、入浴後など体の温まっているタイミングでストレッチを入念に行うようにしましょう。特に内旋可動域を改善させるように意識します。ときどき「腕を大きくしならせたい」と外旋可動域を意識してパートナーストレッチを行う選手がいますが、外旋可動域を意識しすぎると上腕骨頭が前方へとシフトし、投球動作のバイオメカニクス(フォームなど)に影響を及ぼすことがあります。内旋可動域が改善してくると、自然と外旋可動域も広がっていきますので内旋可動域の改善から始めていきましょう。

 このように野球での反復練習やトレーニングによって、野球選手はその動作が行いやすい体へと変化していきます。中には「お尻が大きくなってジーンズが履けなくなった」という選手もいましたが、今までできなかったプレーができるようになったり、パフォーマンスアップにつながったりするものであるとポジティブにとらえることが大切です。

【野球選手らしい体つき】
●野球選手は「お尻が大きい」と言われることが多い
●地面に足を着いた動作、片足でのバランス維持、低い姿勢での構えなどでお尻の筋肉が発達する
●技術練習の繰り返しやトレーニングによっても筋肉は太く大きくなる
●投球動作によって肩関節の内旋可動域が低下しやすい(外旋は大きくなりやすい)
●腕をしならせるための外旋可動域よりも内旋可動域を優先的に改善しよう
●野球を行うことによって野球選手らしい体つきへと変化する

(文=西村 典子

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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