目次

[1]心拍数とコンディショニング/およその最大心拍数を知っておこう
[2]ランニングの強度と心拍数


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 休校期間が長くなると運動量が低下するだけではなく、日々の生活が単調になり、活動量が減ってしまうことが懸念されます。人と人との距離をとるソーシャルディスタンスを守って運動量を維持するためには、室内でできるトレーニングや、人の少ないところを選んで行うランニングなどが挙げられます。今回は運動強度の目安となる心拍数とランニングについて考えてみたいと思います。

心拍数とコンディショニング



自分の心拍数を把握して毎日のコンディションチェックに活かそう

 毎日起床時など時間を決めて心拍数をチェックしておくことは、体調管理という点でぜひ行っておきたい習慣の一つです。スマホのカメラ機能や手首の親指側にある橈骨(とうこつ)動脈を、反対側の3本指(人差し指・中指・薬指)で1分間の心拍数を確認するようにしましょう。

 心拍数は個人差もありますが60拍/分以下であれば徐脈、100拍/分以上と頻脈といわれています。見た目は元気でもこの状態が続くようであれば、隠れた病気がないかどうかは調べておく必要があるでしょう。

 起床時の心拍数がいつもよりも多い状態が続くと、疲労回復に時間がかかっていたり、睡眠不足などによってコンディションの低下が見られることもあります。またオーバートレーニング症候群(慢性疲労症候群)は起床時の心拍数が増えるという傾向があります。


およその最大心拍数を知っておこう


 皆さんは自分の最大心拍数がどのぐらいか知っていますか。昔から最大心拍数の簡易的な計算方法として【220−年齢】が用いられていますが、近年ではさまざまな研究から考察された【208−0.7×年齢】という数式も用いられるようになっています※1、2。

 【208−0.7×年齢】の計算式に基づいた年齢別の最大心拍数は15歳で197.5、16歳で196.8、17歳で196.1、18歳で195.4となります(単位は拍/分)。これにはもちろん個人差があり、調査した論文によると各年齢において標準偏差(数値のばらつき)が10拍ほどあるとされています。

 計算では15歳=197.5ですが、約198拍±10、すなわち208〜188拍と幅があり、さらにこの範囲にとどまらない選手も存在しますので、あくまで目安としてとらえるようにしましょう。

 心拍数による運動強度の考え方としては簡易的に最大心拍数をもとに計算する方法もありますが、強度が下がれば下がるほど誤差が生じやすいので、起床時心拍数を用いて算出する方法をご紹介します(カルボーネン法)。

1)最大時心拍数−安静時(起床時)心拍数=予備心拍数
2)目標心拍数=予備心拍数×目標運動強度(%)+安静時心拍数

 年齢16歳、起床時の心拍数が60拍/分の場合、1)予備心拍数は197-60=137となり、2)運動強度を70%と設定すると目標心拍数は137×0.7+60=96+60=156拍/分となります。