第237回 自重トレーニングの強度を変える2020年01月15日

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自重トレーニングにほんの少し変化をつける



自重トレーニングは片足でのバランスや踏ん張って力を出す動きなどにも応用できる

●体を支える足幅、手幅などを変える
 体を支える部分の安定性を変化させてみましょう。わかりやすいのが足幅や手幅の変化です。スクワットであれば足幅を広くして行う「ワイドスクワット」は通常の足幅に比べて、太ももの内側にある内転筋群や、お尻の筋肉がより多く動員されます。反対に足幅を狭くして行う「ナロウスクワット」では太ももの前側にある大腿四頭筋により負荷がかかります。膝が内側に入らないように注意しながら行いましょう。プッシュアップ(腕立て伏せ)であれば手幅を広げることでより大胸筋に刺激が加わりますし、手幅を狭くした状態で行うと腕の裏側にある上腕三頭筋がより使われるようになります。また両足ではなく片足で体を支えるようにすると不安定さと強度が増します。

●バランス要素をプラスする
 スクワットであれば両足で行っているものを片足で行うようにすると、両足で行う時に比べて負荷は高くなります。加えて体のバランスを維持しながら行う必要があるので、体幹を安定させなければうまく行うことができなくなります。浮いている足を前で保持するか、後ろで保持するかでも重心位置が変わりますし、バランスボードなど不安定なサーフェス上で行うと、両足であってもかなりむずかしいエクササイズに変化させることができます。体を支える支持基盤(足や手など)を変化させるとバランス能力を高めることにもつながります。

●動く範囲を変える
 エクササイズで動く関節可動域(関節の動く範囲)を変えることも運動強度に変化をもたらします。トレーニング動作の基本は関節可動域をフルに使うことですが、スクワットの場合などは膝(特に半月板)への負担を考慮してフルスクワット(一番下までしゃがみ込む動作)はあまり行いません。太ももが床と並行になるくらいまでしゃがみ込んだら、一度膝や股関節を伸ばして立ち上がるようにしますが、ここで関節を伸ばしきってしまうと下肢の力を使わなくても姿勢を維持できるため、負荷が軽くなります。立ち上がるときに、膝を完全に伸ばしきらずに少し曲げた状態で止め、そこから次の動作へ移るようにすると体力要素の一つである筋持久力の強化につながります。

 いつも行っている自重トレーニングにほんの少し変化をつけるだけで、鍛えられる体力要素や筋肉への刺激が変わってきます。補助的な役割の大きい自重トレーニングですが、工夫次第でさまざまな効果が期待できます。チーム全体での取り組みや自主練習の一つとしてぜひいろいろと試してみてくださいね。

【自重トレーニングの強度を変える】
●自重トレーニングは行いやすい反面、馴れると「過負荷の法則」から外れやすい
●正しいフォームで同じ動作をキチンと反復できる「再現性」を意識しよう
●同じ動作でもスピードを上げることでパワーを高めることができる
●足幅、手幅などに変化をもたらし、違った筋肉を動員する
●両足を片足にといった体を支える支持基盤を変化させるとバランス養成にもつながる
●完全に伸びきらない状態で次の動作につなげると、筋持久力が高まる

(文=西村 典子

次回コラム公開は1月31日を予定しております。

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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