第234回 オフシーズン中に見直したい!「肩のゆるみ」や「肩の不安感」2019年11月30日

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【目次】
[1]肩関節を支えるインナーマッスル
[2]肩のインナーマッスルを鍛える


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 オフシーズンになると体づくりのためにトレーニングを行うチームが多いと思います。よりスケールの大きなプレーができるように、基礎体力をつけることはもちろんですが、もう一つ意識してもらいたいこととして、ケガや不安部位の克服が挙げられます。次のシーズンには全力でプレーできるように、この時期にしっかりと状態を改善させることが大切です。さて今回はその中でも「肩のゆるみ」「肩の不安感」に関するコンディショニングについて、お話をしたいと思います。

肩関節を支えるインナーマッスル



腕を振り下ろすたびに、肩後方部には大きな牽引力が加わる

 肩関節の構造を考えてみると、肩関節は球関節といってさまざまな動きを可能にする、比較的動きの自由度が高い関節です。その分、外力からの衝撃に対して容易に外れてしまったり、不安定な状態になりやすくなったりします。肩関節に安定性をもたらしているのは骨の近くにある腱板筋群(いわゆる肩のインナーマッスル)や靱帯などであり、さらにその上に大きな筋肉(大胸筋、三角筋、広背筋など)が肩関節をカバーしています。靱帯は直接強化することができませんが、筋肉であるインナーマッスルは強化することが可能です。肩関節により近い場所に存在するため、これらの筋肉を強化し、その機能を働かせることで肩の安定性が高まります。大きな筋肉群だけ鍛えても、中心部分にあるインナーマッスルが機能しなければ、肩の深層部分で不安定感が増すことになります。

なぜ肩がゆるいと感じるのか


 投球動作は運動連鎖によって地面から足、体幹、上腕、前腕、手指とその力を伝えてボールを投げるのですが、体幹と上腕をつなぐところには肩関節が存在します。投手や捕手は他のポジションに比べて投球動作を繰り返すことが多く、接続部位である肩関節や肘関節などにはより大きな負担がかかりやすいと言えるでしょう。関節部位に負担がかかりにくいフォームを維持することは、投球障害予防に必要不可欠なものですが、投球数が増えてくるにしたがって、筋肉が疲労し正しいフォームを維持できなくなってくることが予想できます。
 特にボールをリリースしてから上腕を振り下ろすときには、腕が大きな力で前方に引っ張られるのですが、その牽引力に抵抗し、必死で腕が肩関節から「抜けない」ように抑えているのが肩後方部の腱板筋群(棘下筋、小円筋など)や上腕三頭筋などになります。これらの筋力が低下したり、何らかの原因で損傷してしまうと、「抑え」が効かず、肩のゆるみや不安感を覚えるようになったり、痛みなどを伴ったりするようになります。

 さらに守備機会においてボールに飛びついて地面と接触するスライディングキャッチやジャンピングキャッチを試みたり、打者走者などでベースに向かってヘッドスライディングをしたりしたときに、肩関節に直接大きな力が加わって関節内部の組織を傷めてしまうことがあります。このような衝撃が加わるとその後から「肩がゆるい」「肩が抜けそう」といった感覚に悩まされることもあります。できる限りこうしたプレーは避けることが賢明であり、特にヘッドスライディングはケガ予防という観点から考えても避けるようことを強くオススメします。

【次のページ】 肩のインナーマッスルを鍛える

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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