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腰痛と体幹トレーニング

2019.11.15

腰痛と体幹トレーニング | 高校野球ドットコム

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 野球を続けていると中には腰痛に悩まされる選手もいるのではないでしょうか。四足歩行から二足歩行へと進化した人間にとって、腰痛は宿命ともいうべきものですが、激しい運動を行うアスリートにとっては大きな問題です。今回はアスリートを悩ませる腰痛と体幹トレーニングについて考えてみたいと思います。

腰痛の原因はどこにある?

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腰痛予防や改善を目的とする体幹トレーニングは腹横筋など深層筋群を意識しよう

 腰痛はどうして起こるのでしょう。整形外科的な問題から内科的な問題、さらには精神的な問題までその原因はさまざまです。まずはその原因が何かを突きとめることが腰痛改善への第一歩です。痛みがどんどん強くなる、なかなか改善しない、プレーに支障が出るという場合はまず専門家に相談したり、医療機関を受診したりして適切な対応をとることが大切です。「腰痛に効く」というストレッチやトレーニングは、その人の症状にあっていればいいのですが、異なる理由の場合は逆効果になることもあるので注意が必要です。

 アスリートによく見られる腰痛としては、「腰椎分離症・すべり症」「腰椎椎間板ヘルニア」「急性腰痛症(ぎっくり腰)」「筋筋膜性腰痛(腰痛症)」など。また肉体的な疲労によって腰に痛みが出る場合もあります。いずれにしてもその多くは手術療法ではなく、運動指導を中心とした保存療法です。痛みを我慢しながらプレーするではなく、まずは適切な休養をとったり、リハビリテーションの指示を受けて実施したりするようにしましょう。

原因がはっきりわからない腰痛

 一方で検査などを行っても「骨や筋肉に異常がなく、はっきりとした原因がわからない」といわれるケースもあります。このような場合でも改善につながるようなストレッチやトレーニングなどを指示されると思いますので、まずは指示されたものを続けて行うようにしましょう。筋肉の柔軟性が低下することによって、腰椎などに負担がかかることも十分に考えられます。体の硬さは腰痛のリスクを高めます。

 さらに背骨を支える筋肉が衰えていることも腰痛の一因として挙げられます。背骨はゆるやかなS字カーブをもつのですが、腰椎部分はゆるやかに体の前方へとカーブしています。構造上、後方の背筋が強く張っていたり、前方の腹筋が弱くなっていたりすると、カーブの曲がりがきつくなって腰痛を起こしやすくなると考えられています。ここでいう腹筋は腹直筋などの大きな筋肉ではなく、より背骨に近いところに位置する腹横筋などを指します。腰痛改善のための体幹トレーニングとは、腹横筋をはじめとする背骨に近い深層筋(インナーマッスル)を鍛えることが中心となります。

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基本の体幹トレーニング〜ドローイン〜

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体幹トレーニングの基本ドローインをマスターしよう

  ドローインというエクササイズはお腹を凹ませたまま呼吸を行うもので、腹部の深層筋群を鍛えることができます。まずは仰向けに寝転がって行う方法を覚えましょう。寝る前や起床時など、布団の上でも行うことのできるエクササイズです。

1)仰向けに寝て膝を立て、手を骨盤のところに置く。
2)息を吸うときにお腹をふくらませ、吐くときにはお腹を凹ませて背中とお腹がくっつくようなイメージで腹部を薄くする。吐くときはストローから息を吐くように「細く・長く」行い、最後に強く吐き出す。
3)この姿勢を維持しながら呼吸を繰り返す。息を吸うときはお腹をふくらまさず肋骨を拡げるように、吐くときは肋骨を内側に締めるように意識しながら行うとより効果的。ゆっくりとした呼吸を5回ほど繰り返し行う。

 この基本エクササイズを習得した後に、さまざまな体幹トレーニングを行うとより腹部の深層筋群を使えるようになり、腰椎を安定させた状態を保つことができます。

四つんばいでの片足挙げ

 腹部の深層筋を意識できるようになったら、今度は四つんばいの姿勢で体をチェックしてみましょう。四つんばいの状態から片方の足を挙げ、横から見て体と一直線になるようにします。この状態を5秒ほどキープしたら、反対側も同じようにやってみましょう。このときに骨盤の位置が変わらないままできるかどうかを確認します。骨盤が斜めになっていると腹横筋などの深層筋がうまく使えていないため、骨盤の位置を変えることによってバランスを取ろうとしているからです。

 腰痛改善を目的とした体幹トレーニングは大きな筋力を発揮するものよりも、より背骨に近く体を支持するために働く深層筋群を刺激して鍛えていくことが大切です。専門家の指示のもとに適切なエクササイズを続けていき、腰痛の緩和に役立ててくださいね。

(文=西村 典子

次回コラム公開は11月30日を予定しております。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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