病院を受診するときに確認すること
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
新入生の皆さんは高校野球生活になじんできた頃でしょうか?5月に入るとスポーツ整形外科を受診する件数が増えるといわれています。これは部活動が本格的になり、実践練習などによってケガをするケースが多くなることが挙げられるようです。また慣れてきたところでの気のゆるみなども気をつけなければなりませんね。さて今回は練習や試合などでケガをしてしまい、病院を受診するときにあらかじめ確認しておきたいことなどをお話したいと思います。
病院に向かう前にチェック
避けられないアクシデントはどうしても存在する。もしケガをしたら早めに医療機関を受診しよう。
●病院を受診するとき
部活の練習中に起こったケガや体調不良などであれば、学校から近い病院に行くことが多いと思います。ケガの場合であれば、通常は整形外科を受診することが一般的ですが、できれば近隣でスポーツに詳しいドクターのいる整形外科を受診すると良いでしょう。急なアクシデントに備えて、グランドからすぐに受診できる病院のリスト(診察日、診察時間、電話番号等)をあらかじめ作っておき、ベンチや部室など目につく場所に掲示しておくといざという時に安心です。
また多少遠くても大きな病院の方がいいかなと思いがちですが、高度先進医療の認定を受けている病院の場合(大学病院や総合病院など)、直接受診を希望すると「特定療養費」といって別途費用がかかる場合があります。病院では規模や特性などに応じてあらかじめ機能分担がされており、高度医療を専門とする病院の場合は、近隣の病院からの紹介状を持って受診することが勧められているからです。体の状態を確認し、緊急性の高いもの以外は、まずは近隣病院を受診するようにしましょう。
●病院に行くときに持参したいもの
病院には「健康保険証」「診察券」を忘れずに持参しましょう。健康保険証は月ごとに病院で提示を求められます。また初診以外であれば診察券も持参します。また診察を受ける際には服装にも注意しましょう。急なケガの場合は致し方ありませんが、野球のユニフォームは脱ぎ着がしにくく、診察の際に時間がかかってしまいます。患部(=ケガの部位)はできるだけ露出しやすいように工夫しましょう。肩や肘を診てもらう場合は半袖もしくは腕まくりをしやすいものにする、膝などの下肢の場合は短パンなどをあらかじめ用意しておくといったことを心がけると診察がスムーズになります。足首を捻挫した場合などは履いている靴とは別にサンダルなどを準備しておくと良いでしょう。
病院についてからすべきこと
聞きたいこと、言われたことを忘れないためにも診察時はメモを持参しよう。
●医師に確認したいこと
病院を受診するときは少なからず緊張してしまうものですが、言われたことを忘れないようにメモを持参しておくと安心です。特にスポーツ医学用語などは聞き取りにくかったり、わかりにくいものがあったりするかもしれません。そのような時は遠慮なく尋ねるようにしましょう。またケガの程度やリハビリ期間、その内容など聞いておきたいことをあらかじめメモに書いておくと忘れずに確認することができます。
医師から診断名や今後の治療方針、リハビリテーションなどの話があると思いますが、その際には今の状態で「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を確認しておきましょう。たとえば体重をかけてもいいかどうかとか、ランニングはダメでもジョギングならいいといった具合に、ケガをしていても他にできることが明確になるからです。ケガをした部位以外は動かしてもいいかどうかなども確認しておくと、患部外トレーニングを行うことができます。もし診察時間内に質問できなかったことやその後に疑問が出た場合は、看護師や技師など医師以外のスタッフにも尋ねてみましょう。
●精密検査が必要となるとき
レントゲン検査では主に骨の状態をチェックすることができますが、軟骨や靱帯の損傷などはその程度がレントゲンでは確認しにくいため、後日MRI検査やCT検査などの精密検査を受けることをがあるかもしれません。そのときは、検査結果が当日にわかるのか、後日であればいつになるのか、今日検査が必要でなくても次回必要なのかといった今後の診察のスケジュールなどについても、医師と話をしておくとこれからの治療方針などもわかりやすいでしょう。
ケガからの復帰にはまず患部がどのような状態であるかを医師に診断してもらうことから始まります。病院というとどうしても緊張しやすいかもしれませんが、あらかじめ準備しておくだけで余裕をもって話をしたり、相談をしたりすることができると思います。自分でできること(=セルフコンディショニング)の確認にもなりますので、医師と上手にコミュニケーションをとり、ケガからの競技復帰をサポートしてもらいましょう。
【病院を受診するときに確認すること】
●近隣病院のリストをあらかじめ作成しておこう
●健康保険証と診察券は忘れずに持参しよう
●受診時はTシャツ、短パン、サンダル等、ケガをした部位を露出しやすい服装で
●あらかじめ聞いておきたいことなどをメモに書いておこう
●「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を確認する
●精密検査を受ける場合は今後の診察スケジュールも確認する
(文=西村 典子)
次回コラム公開は5月15日を予定しております。