第214回 受動握力と指の力を鍛える2019年01月31日

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【目次】
[1]握力には2種類ある
[2]指先の把持力を鍛えるエクササイズ


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。野球はバットやボールなどさまざまな用具を使ってプレーをしますが、用具を保持する握力や指先の把持力(はじりょく:物をもつ、握る力)は野球のパフォーマンスに大きく影響すると考えられます。今回は握力、指先の把持力がもつ役割とそのトレーニング方法などについてお話をしたいと思います。

握力には2種類ある



何かを握って離さない力もまた握力の一つ

 握力というと一般的には物を握る能力であり、握力計を使った測定によってその力を数値化することが可能です。一方スポーツにおいては握った物を離さない力もまた握力ととらえられており、前者を「能動握力」、後者を「受動握力」と呼んで区別することもあります。
 受動握力は自分の意志によって物を握る「能動的な」動作ではなく、握った物を外力など別の「受動的な」力が加わることによって物を離してしまわないように抵抗するものです。
 野球の動作で考えてみると投球動作ではボールを強く握る(能動握力)というよりも、ボールをより長く持った状態を保ち、ボールに力を伝えることがスピードアップやボールに回転を与えることにつながるため、指先でボールをコントロールする力や遠心力に負けない保持力(受動握力)もまた高めたい力であるといえるでしょう。プレーにおいて大きな力を発揮するためには下半身、体幹の筋力が不可欠ですが、動作の終盤において巧みな動きをコントロールしたり、同じ動作を繰り返すことができる=プレーの再現性を高めたりするところに握力が関係します。

受動握力を鍛えるエクササイズ


 握力を鍛えるエクササイズとしては、ダンベルやバーベルを使って手首を曲げ伸ばしするリストカール、リストエクステンションなど前腕筋群を鍛えるものが一般的ですが、受動握力を鍛える場合は何かにつかまってその状態を保持するエクササイズを選択するようにします。手軽に取り組めるものとしては鉄棒や懸垂などが挙げられます。
 懸垂では上腕や背中の筋肉を使って体を持ち上げますが、そこまでの筋力が備わっていなかったり、体重が比較的重い選手などはただぶら下がっているだけでも受動握力のトレーニングになります。また綱を使ったトレーニングでは綱をしっかり握る力と同時に、握った綱を離さない力も鍛えることができるので、綱引きや綱登りといったエクササイズも握力強化として適しています。他競技であれば壁にある突起物をつかんで壁を登るボルダリングなどは、受動握力を鍛えるためによいスポーツであるといえるでしょう。

【次のページ】  指先の把持力を鍛えるエクササイズ

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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