シューズがあわないとケガをする
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
早いもので暑い夏から秋の大会へと季節は変わり、試合で勝ち進んでいるチーム、残念ながら負けてしまったチームとそれぞれにまた課題をもって練習に取り組んでいることと思います。さて今回はスポーツ選手にとって大切な靴の話をしたいと思います。あわない靴を履き続けると、それが原因でケガにつながってしまうことも多いので、ぜひチェックしてみましょう。
ランニングシューズやスパイクは消耗品
シューズは消耗品。摩耗したり、傷みがひどいものはケガの原因にもなりやすい。
まず今使っているランニングシューズやスパイクを見直してみましょう。側方部や前方部分に破れやほつれ、穴あきがないかどうかを確認します。こうしたシューズは毎日練習で使うものなので、一定期間使っているとどうしても傷んでしまい機能的にも不具合が生じるようになります。「ものを大切にすること」はとても大事なことですが、傷んだシューズを使い続けると、自分の足や膝、腰などに影響が及ぶことが考えられます。
練習やトレーニングなどで使用するシューズ類は消耗品であるという意識を持ち、側面や前方部分に破損が見られたり、裏面のソールがすり切れた状態のものについては、新しいものを購入するようにしましょう。特にヒールカウンターと呼ばれるかかと部分がつぶれている場合はすぐに使用をやめ、新しいものを準備するようにしましょう。シューズの保護機能であり、かかとを踏んだまま立ったり、歩いたりするとシューズの機能そのものが失われます。かかとを踏んで歩くようなシューズの履き方は「アスリート失格」です。
シューズの選び方
新しいシューズを準備してもそれが自分の足にあっていなければ、やはりケガを引き起こす原因となります。自分の足にあったシューズを選ぶ際のポイントをまとめておきます。
●なるべく午後の時間帯に購入する
人間の足は朝と夕方でおよそ0.5〜1.0センチほど大きさが変化するといわれています。これは体重をかけて過ごしているうちに足裏のアーチ部分が荷重ストレスによって拡がってしまうことと、下肢に血液や水分などがたまりやすくなるためです。朝と夕方では足のサイズが変わってしまうので、なるべく午後の時間帯に購入したほうがよいということになります。
●かかとをあわせてフィット感をチェックする
シューズは履き方によってもフィット感が違ってきます。靴を履くときはまず靴ひもをゆるめて足を入れ、かかとでトントンと軽く地面に押しつけて、まずかかとを靴に合わせるようにします。かかとの位置が固定されると、ぐらつかず動作も安定します。
●試し履きは両足で。片足荷重も忘れずに
人間の足の大きさは左右対称ではありませんので、必ず試し履きは両足行いましょう。どちらか一方が短く、もう片方が長い場合は、大きいほうの足にサイズをあわせ、小さいほうは靴ひもなどで調節します。また試し履きのときは片足で立って確認することも大切です。片足に全体重をかけると、足裏の接地面積はさらに拡がります。走ったり、跳んだりといった動作ではさらに拡がるため、片足荷重で問題ないかどうかもチェックするようにしましょう。
足にあわないシューズはケガの一因に
結ばないタイプの靴ひもを使うと朝と夕方で変わる足のサイズにも対応しやすい
「ちょっとサイズがあっていないけど、この靴しかないからいいや」といって足にあわないシューズを履いていると、足だけではなく体のいろんな部分に影響が及び、ケガをしてしてしまうことがあります。わかりやすい例でいえば
・足底筋膜炎
・シンスプリント(脛の痛み)
・足の甲部や脛の疲労骨折
・爪のトラブル(巻き爪、爪下血腫(そうかけっしゅ:爪の内出血)、爪が指に当たって出血するなど)
といったものが挙げられます。また足の機能がうまく働いていないとそれをかばおうとして、膝痛や腰痛などになることも珍しくありません。ケガの原因がすべてシューズによるものとは限りませんが、足にあわないシューズはこうしたケガを引き起こしやすいと考えられます。特に成長期の選手にとっては足がどんどん大きくなるため、あらかじめ大きいサイズにしてしまいがちですが、靴ひもで対応できないほど大きなサイズになるとやはりケガをしやすくなると理解しておきましょう。
正しい靴ひもの結び方を覚えておこう
左右の足のサイズ(足長、足幅など)が微妙に違っている場合は大きいほうのサイズにあわせて靴を選ぶようにしますが、靴ひもの結び方によってもフィット感を調節することができます。靴ひもを結ぶときはついつい上にギュッと引っ張り上げたくなりますが、このような靴ひもの結び方は足の甲に負担をかけ、ランニング中の痛みの原因にもなりやすいといわれています。靴ひもを結ぶときは内側にねじるように締めるようにしましょう。
両手を使い、力加減をなるべく均等にしながらねじるように結ぶようにすると、足の甲に負担をかけずにフィットさせることができます。また最近では靴ひもそのものに「こぶ」がついていて、そのこぶで長さを調節するタイプの靴ひももあります。アスリート向けのものなどもあるので、練習場面などに応じて靴ひもをサッとゆるめたり、締めたりしたいときなどには使いやすいかもしれません。
シューズは体を守り、パフォーマンスアップのためにも欠かせない大事な用具の一つです。自分の足にあったものを選び、ケガの予防に努めましょう。
(文=西村 典子)
次回コラム公開は9月30日を予定しております。