第199回 素振りと腰のケガについて考える2018年08月15日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]何を課題として取り組むのか
[2]腰への負担の対策


 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 まだまだ暑い日が続き、甲子園では夏の大会が行われている真っ最中ですが、多くのチームでは秋の大会に向けた練習を積み重ねていることと思います。気がつけば夏休みも終盤となりましたね。今回は練習量を積み重ねることとケガ予防について、アスレティックトレーナーの立場から特に素振り練習と腰のケガについて考えてみたいと思います。

何を課題として取り組むのか


バッティングのパフォーマンスアップに素振りを行うことがある

反復練習は必要だけれども

 投げこみ」「走りこみ」といった練習量に重点を置くものは、その練習における課題が明確であったり、体力レベルに則したものであったりすることが重要になってきます。基本的なことを繰り返し行うことができるようにするためには、反復して練習することも時には必要となります。それにはただ何となくやっている、言われたからやっているというのではなく、何を課題として取り組んでいるのかを選手自身が理解していることが大切です。
 逆に選手からすると「きついからやりたくない」と思うかもしれませんが、練習の意図を理解し、体力レベルにあったものであれば続けて取り組むことがパフォーマンスの向上にもつながります。一番考えなければならないのは「体力レベルにあったものかどうか」「オーバーワークになっていないかどうか」ということ。練習量が多く、疲労困憊の状態でさらに反復練習を繰り返すことは、選手がもともと持っている筋力、筋持久力などの体力レベルが落ちた状態で行うことになります。全体の練習量、選手の疲労具合、持っている体力レベルを考慮して、特定部位に過度な負担がかからないようにすることがケガ予防の観点からも求められます。

腰椎分離症に悩む選手が多い

 高校野球選手の多くが小学校時代から野球をしていることが多く、プレーのキャリアが長い分、不安部位を抱えたまま過ごしている選手も少なくありません。成長期のときに膝が痛くなったり、腰が痛くなったりした経験もあると思いますが、特に腰では腰椎の疲労骨折である腰椎分離症と診断された選手が、その痛みや不安を抱えたまま高校でもプレーしているケースがあります。
 ジュニア時代に腰の痛みを感じながらもプレーを続けてしまうと、やがて腰椎の疲労骨折につながってしまうのですが、特に腰を反らせたときに痛みが強く出る傾向がみられます(参考コラム「腰椎分離症ってどんなケガ?」)。こうした不安部位を抱えたまま高校でもプレーする場合は、不安部位はもちろん、体全体の筋力をトレーニングで強化したり、柔軟性を高めて特定の部位に負荷がかかりすぎないようにコンディションを整えることが大切ですが、プレーできるからといってそのままにしておくと、反復練習などの負荷に耐えられず、弱い部分を中心にケガをしてしまうことにもつながります。

【次のページ】 腰への負担の対策

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第205回 現状を把握するための体力測定【セルフコンディショニングのススメ】
第204回 肘の痛みと肘の靱帯手術であるトミー・ジョン手術【セルフコンディショニングのススメ】
第203回 ケガを長引かせないようにする【セルフコンディショニングのススメ】
第202回 筋挫傷と長引くケガ【セルフコンディショニングのススメ】
第201回 シューズがあわないとケガをする【セルフコンディショニングのススメ】

コメントを投稿する

プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
  • 講演依頼はこちら
    講演・セミナー依頼受付中
  • 部室に一枚!!RICEポスターを無料配布中!!ダウンロードはこちらからDownload


ケガに強くなる!セルフコンディショニングのススメ
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム