手軽にできる夏の暑さ対策
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
梅雨の時期が終わり、暑い夏がやってきました。[stadium]甲子園[/stadium]を目指す地方大会も後半戦となり、勝ち上がって次の試合に臨む選手、そして新チームとなって新しい目標に向かって踏み出した選手とそれぞれの夏を過ごしていることと思います。今回は体の中にこもった暑さを解消する方法について考えてみましょう。
手軽にできる夏の暑さ対策
暑い時期はうちわや扇子を使い、風を利用して体を冷やそう
【風を利用して体を冷やす】
体の中と外の温度差が大きく、体の中に熱がこもってしまう状態が続いてしまうと熱中症のような症状を起こすことがあります。グランドでプレーする場合は日射しを浴びることが多いですが、攻守交代でベンチに戻ってきたり、練習時に休憩をとったりするるときはなるべく日陰で過ごし、日光の影響を受けないようにしましょう。不用意に強い日射しの元で過ごし続けていると、紫外線による疲労を感じるようになります。またウォームアップやクールダウン、トレーニングの時にも必ず帽子は着用し、こまめな水分・ミネラル分補給を行うことも体調管理には必要不可欠です。
体を外から冷却するのに活用したいのが扇風機やうちわ、扇子などといった風をおこすもの。風に当たると皮膚から熱が発散されて体の温度が下がりやすくなります。極端に風に当たっていると今度は体が冷えすぎて体調を崩すこともありますので、体を動かして汗をかいているときは必ず汗を拭いてから風に当たるようにすると良いでしょう。反対に熱中症のような症状のある選手を冷やすためには、霧吹きなどで体全体を湿らせてうちわや扇子などであおぐ方法も用いられます。
【冷たいものを利用する】
氷を入れたビニール袋を用いて首元や頭を冷やしたり、濡れタオルを利用して顔や首元などを濡らしたりすることも暑さ対策としてよく行われます。冷やす部分を後頭部や頸部、脇の下、膝裏など大きな動脈の近くにある部位を中心に冷やすようにすると、汗もひきやすくなります。試合時には事前に氷や濡れタオルを準備しておくと良いですね。
一方で冷たい食べ物に頼りたいという気持ちにもなるのですが、極端に冷たいものを食べすぎると胃腸が冷えてしまって消化・吸収といった働きが鈍くなってしまうことが考えられます。たまのご褒美で食べる分には構いませんが、毎日の習慣として冷たいものを摂り過ぎるのは控えておきましょう。
夏野菜を利用して体内から冷やす
夏野菜は水分を多く含み、体の中から冷やす効果が期待できる
【夏野菜を利用して体内から冷やす】
夏に旬を迎える野菜は、夏の体を整えるために役立ちます。東洋医学を基本とした薬膳の考え方では、食べ物には「体を冷やす食べ物」「体を温める食べ物」「とくに温度変化を伴わない食べ物」の3つに分類され、夏野菜の多くは体を冷やす食べ物に分類されます。きゅうりやトマト、ナスといった代表的な夏野菜や、スイカやキウイ、梨、バナナなども体を冷やす果物とされています。これには水分が多く含まれていることや、体に必要なミネラル分であるカリウムを含むものが多く、カリウムの利尿作用によって、尿を出して体にこもった熱を排出させる働きがあるためです。アイスクリームを始めとする冷たい食べ物は一時的に体内を冷やしますが、胃腸の働きも減退させてしまうため、こうした野菜や果物とは体の中での作用が違ってくると理解しておきましょう。
【お風呂で体を冷やす】
お風呂の温度を調節し、水風呂に近い状態で入るようにすると一気に体を冷やすことができます。温かいお湯との交互浴を行うと全身の血流をうながし、疲労回復効果も期待できます。暑くて体全体に熱がこもっているように感じるときは、入浴のタイミングで体を冷やすこともオススメです。ただし入浴後に寒気を感じ、体調を崩すことのないように配慮が必要です。クーラーなどの冷気に直接当たらないことや、温度設定(外気温との差を5℃以内)を確認し、体を冷やしすぎないように注意しましょう。
体の中に熱がこもってしまうと疲労がたまって体調を崩しやすくなります。暑さ対策として手軽にできるものを挙げてみましたので、出来るものをぜひ行って暑さに負けずに過ごしてくださいね。
【手軽にできる夏の暑さ対策】
●熱中症への対策として体を濡らした状態で風を利用することもある
●氷や濡れタオルなどを使って後頭部や首元などを冷やす
●体を冷やす作用を持つ夏野菜をとる。冷たいものと、体を冷やす作用のあるものは違う。
●水風呂を利用して体全体を冷やす。ただし冷えすぎないように注意すること。
次回コラム公開は7月30日を予定しております。
(文=西村 典子)