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瞬発力を鍛えるプライオメトリクス・トレーニングとは

2018.02.15

瞬発力を鍛えるプライオメトリクス・トレーニングとは | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 まだまだ寒さ厳しい季節が続きますが、そろそろ本格的な野球シーズンに向けて、選手の皆さんは日々練習に励んでいることと思います。オフシーズンの地道なトレーニングの成果が現れるまであともう一踏ん張り!ですね。さて今回はトレーニングを続ける中で、「瞬発力をつけたい」という選手も多いと思います。瞬発力とは何か、どのようにすればそれが鍛えられるのかについてお話をしたいと思います。

瞬発力を鍛えるために必要なもの

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メディシンボールを使って行うサイドスローもプライオメトリクス・トレーニングの一つ

 トレーニングを行っているとよくいわれるのが「瞬発力をつけたい」というもの。野球の動作における瞬発力はもともとの基礎筋力があり、そこにスピードが加わることによって一瞬の動作(短時間)で爆発的な力を発揮することを指します。軽い動作でスピードを追い求めること=瞬発力と勘違いしてしまうこともありますが、基礎筋力が低い状態でいくらスピード強化を行っても、一瞬で大きな力を発揮することにはつながりません。まずは自分の体重をプレーの中で自在に操れるだけの筋力を強化すること。自重トレーニングでバランスが崩れてしまう状態であれば、瞬発力強化の前にまずは基礎筋力を高めることが必要になってきます。

自分の身体を使って行うプライオメトリクス

 プライオメトリクス・トレーニング(以下プライオメトリクス)という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは自分の体重を使って行う瞬発力を高めるためのトレーニング方法の一つで、伸張反射という生理現象を利用し、短時間で筋肉を収縮させるようにするものです。筋肉は大きな力で引き伸ばされると、危険を察知して素早く収縮する反射作用が備わっており、これを利用すると脳からの指令をまたずに筋肉を収縮させることができるため、反応時間を短縮して素早い動きにつながるとトリクスについても、今持っている筋肉の力を最大限発揮させるためのトレーニングになるので、もともとの筋力が少ないと大きなパワーを生み出すことはむずかしいと考えられます。また高強度のトレーニングとなるため、通常のトレーニングに比べ、ケガをするリスクも高くなります。

[page_break:取り組みやすいプライオメトリクスのエクササイズを紹介!]

取り組みやすいプライオメトリクスのエクササイズを紹介!

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バウンディングは身体全体を使い、腕を大きく振ると足のスイングも大きくなる

 取り組みやすいプライオメトリクスのエクササイズについていくつかご紹介しましょう。

●段差でジャンプ(ボックスジャンプ)
 トレーニング用の箱型を使って行うボックスジャンプはプライオメトリクスの代表的なエクササイズですが、グランドに適切な箱型を準備することはむずかしいかもしれません。そういうときは適当な段差のあるところでジャンプを行います。このとき一度軽くしゃがんで飛び上がるようにするのですが、その時間をなるべく短くすること、また身体全体を使ってジャンプを行うことで大きな力を発揮することが出来ます。段差に飛び乗ったところで地面に着地しますが、このとき地面と足の接地時間をなるべく短くしてテンポよく次の動作にうつることがポイントです。足首をロックさせて行うとランニングドリルとしても効果的です。

●タックジャンプ(抱え込みジャンプ)
 両足を同時に上げて膝を抱え込むようにして行うジャンプ動作です。こちらも地面に足がついたと同時に次の動作にうつるよう、接地時間をなるべく短くすることが伸張反射を活かすことにつながります。両膝をあげるという意識よりも、かかとをお尻につけるというイメージを持って姿勢良くジャンプしましょう。ジャンプ動作は運動強度が高く心拍数はすぐに上がってきますので、ウォームアップ時に用いるとより身体が温まりやすくなります。

●バウンディング
 三段跳び、五段跳びといった陸上種目のように、片脚ずつ大きく前にステップを繰り返す動作です。大きく足を開脚しながらなるべく短い歩数で遠くまで進むことを目的としたり(前方への意識)、一歩でできるだけ高く上にジャンプしながら進んだり(上方への意識)といった方法があります。これも素早い動作を基本とし、接地時間を短くしてテンポよく行うことが大切です。

 こうしたプライオメトリクスは運動強度が高いため、練習の終盤に行うのではなく出来ればウォームアップの段階など、身体がフレッシュな状態を選んで行うことが大切です。また筋力レベルが低い選手にとっては大きな負荷になりやすく、ジャンプ動作によってシンスプリントを発症したり、腰痛を引き起こしたりということも考えられますので、体力レベルにあった種目・頻度・回数を考慮して行うようにしましょう。

(文=西村 典子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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