テニスボールを使った疲労回復法
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
秋の公式戦が終わってこれからボールが使えなくなるオフシーズンまで実践練習を積み重ねたり、強化練習などで体力レベル・技術レベルの向上に力を入れるチームも多くなってくることと思います。練習量が増えるに従って、体力的な疲労も積み重なってくるので、練習や試合後のセルフコンディショニングはより入念に行うようにしたいものです。今回は腰痛改善や疲労回復のためのセルフコンディショニングとして、テニスボールを使ったエクササイズをご紹介したいと思います。筋疲労からくるケガの予防にもなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
筋疲労からくる腰痛を軽減させる
野球選手の多くが悩まされる腰痛はさまざまな原因が考えられます。腰椎分離症や腰椎椎間板ヘルニアなど、骨や軟部組織、神経などに原因があるものと違って、筋筋膜性の腰痛(いわゆる疲労からくる腰痛)については、硬くなっている筋肉をほぐしたり、弱っている部位の筋力を強化することで改善できるケースもあります。まずは自分の腰痛がどのようなものかを把握し、医療機関を受診した上で、セルフコンディショニングを行うようにしましょう。
(図1)足底においてふくらはぎのストレッチ
【前屈して腰が痛い場合】
腰椎椎間板ヘルニアなどの選手によく見られますが、前屈したときに腰が痛くなるときは、身体の後面(ふくらはぎ、太もも裏=ハムストリングス、臀部、背筋群等)のいずれか、または複数の筋肉が硬くなり、それに伴って前屈しにくくなったり、痛みを伴ったりするようになります。その部位を重点的にストレッチを行うだけでも前屈しやすくなりますが、テニスボールを使うとより簡単に筋肉をほぐし、伸ばすことができます。足底においてストレッチを行うとふくらはぎが伸びますし、椅子に座ったときにお尻部分にテニスボールを置くようにすると、適度な圧がかかって筋肉がほぐれます。痛くない程度の負荷に調節しながら行うようにしましょう。
(図2)太ももの外側にある腸脛靱帯を、テニスボールを使ってほぐす
【後屈して腰が痛い場合】
腰椎分離症やすべり症などの選手によく見られますが、腰を反らせて後屈したときに腰が痛くなるときは、身体の前面(腹筋、腸腰筋、太ももの前側=大腿四頭筋等)のいずれか、または複数の筋肉が硬くなって後屈しにくくなったり、痛みを伴ったりするようになります。これらの筋肉をしっかりとストレッチすると身体を反らせやすくなりますが、テニスボールを使ってこれらの筋肉をほぐすようにすると後屈時の腰痛軽減に効果が期待できます。
※腸脛靱帯(大腿筋膜腸筋)をテニスボールでほぐそう
腰痛の選手は身体の外側にある筋肉が特に硬くなりやすい傾向が見られます。テニスボールを使って太ももの外側にある腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)付近をほぐすようにしてみましょう。最初はかなり痛みがあるかもしれませんが、無理にほぐそうとせず、筋肉が硬くなっていることを確認しながら少しずつ圧を加えていくようにするとよいでしょう。筋疲労からくるの腰痛の場合、この腸脛靱帯をほぐすようにするだけでもずいぶん軽くなることがあります。
足底のアーチを改善させる
(図3)テニスボールを使って疲労のたまりやすい足底をほぐす
■足底のアーチを改善させる
練習量や強度によって筋疲労が蓄積されますが、足底のアーチも筋肉によって支えられているため、疲労がたまると少しずつアーチの高さも落ちてくることが考えられます。特に足底は小さな面積しかないにも関わらず、全体重を支えていますし、ジャンプ動作などによっては体重の数倍もの力がかかることになります。足の機能が低下し、足関節の柔軟性が低下してしまうと、その上にのっている膝や腰などはその影響を大きく受け、筋肉の張りや痛みとなって現れることになります。足底はなかなかストレッチしにくい部位でもありますので、テニスボールを使うと比較的簡単に筋肉をほぐすことが出来ます。裸足になって足裏にテニスボールを置き、適度な圧をかけながら足裏をほぐすようにしましょう。左右ともに行います。
足裏のケアはゴルフボールでもよいのですが、少し硬く感じる人もいると思います。その点、テニスボールは適度な硬さが筋肉を刺激し、使いやすいと思います。スポーツ用品店や100円均一ショップなどでも購入ができ、比較的手軽に行うことができますので、セルフコンディショニングの一つとしてぜひ取り入れてみてくださいね。
(文=西村 典子)
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