Column

酷暑の中での初戦対策

2016.07.01

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 いよいよ暑い夏が近づいてきました。三年生にとっては最後の公式戦。今まで積みかさねてきたことがしっかりと活かせるように、心身ともに準備をしっかり行っていきたいものです。今回は暑い夏の初戦を迎えるにあたってのフィジカル面での準備や、試合の時に心がけたいことなどについてお話をしたいと思います。

フィジカル面での準備

坂道ダッシュや短い距離のランニングを多めに行う

 

 試合に向けて身体のコンディションを整えるためには、ランニングやトレーニングなども今までやってきたことから少し変化させる必要があります。ランニングでは長距離やインターバル走から、短いダッシュを繰り返したり、坂道を駆け上がったりすることで身体のキレをつくっていくようにします。初戦まで日数がある場合は、毎日短い距離ではなくても構いません。

 ロングや中間走などをうまく取り入れながら、ダッシュを行うようにしましょう。トレーニングについては今まで行ってきたものを維持し、翌日にひどい筋肉痛を起こさない程度の負荷を行うようにします。専門家の指導やアドバイスなどを受けられる場合には、高負荷で回数を少なくし、爆発的なパワーを意識したトレーニングを行うようにしましょう。

栄養と休養をしっかりと

 普段から栄養バランスを考えた食事を心がけていることと思いますが、試合前は特に意識したいところです。いつもであれば筋肉の元となるタンパク質をしっかりとっていると思いますが、試合前はこれに加えて直接のエネルギー源となる炭水化物もしっかりとりましょう。試合前日であれば胃腸に負担のあるものは避け(脂っこいもの、食物繊維が多く含まれるもの、生もの、普段食べ慣れていないものなど)、炭水化物を中心に栄養バランスを考えた食事をとるようにします。

 また休養も大事なコンディショニングの一つです。睡眠不足のまま試合に臨むようなことがあると、集中力が低下するばかりか、熱中症のリスクも高まります。試合開始時間や集合時間から逆算して、いつもどおりの睡眠がとれるように時間を確保しましょう。寝つきが悪い、緊張で眠れない…というときには、お風呂で身体を温めたり、牛乳を飲んだりしてからベッドに入るようにしましょう。身体が温かい状態から冷えてくるときに眠気を誘発し、牛乳に含まれる必須アミノ酸である「トリプトファン」はザワザワした心をリラックスさせる効果が期待できます。

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[page_break:ウォームアップは入念に / 試合中にもエネルギー源を確保 / 暑さを和らげるひと工夫]

ウォームアップは入念に

 試合当日は気温や時間帯などを考慮し、入念にウォームアップを行うようにしましょう。体力を温存したいから、といってウォームアップが不足すると身体が思うように動かなかったり、ケガの原因ともなったりします。ヘトヘトになって動けなくなるほどのウォームアップは必要ありませんが、いつもどおりしっかりと身体を動かして汗をかき、筋温を上げるようにしましょう。そのときはこまめな水分補給を忘れずに。お腹がチャポチャポになるほど水分をとると、身体が重くなって動きづらくなりますので、試合時の水分補給は「こまめに」「喉が渇く前に」に行いましょう。

試合中にもエネルギー源を確保

炎天下での試合ではスタミナ切れを起こさないよう対策を

 

 試合が始まった後にも出来ればエネルギー源となる食べ物をとるようにしましょう。バナナや小さめのおにぎり、パンなど、小腹を満たす程度にとどめながらも適量をとるようにするとよいでしょう。

 ハチミツの糖分は分子が小さい状態で吸収されるため、すぐにエネルギー源として活用されるメリットがあります。疲労回復とあわせて「ハチミツレモン」などを準備するのもよいですね。

暑さを和らげるひと工夫

 試合中は日なたでプレーすることが多いため、攻守交代はパッと行い、出来るだけベンチで涼をとるようにしましょう。大動脈の走行にあたる首や脇の下などを氷や冷たいタオルなどで冷やすと、より身体がヒートアップするのを防ぐことが出来ます。またウチワやタオルなどを使って直接風にあたり、皮膚の表面から熱を逃がすことも一つの方法です。自分のチームが攻撃している時間を有効活用し、こまめな水分補給・ミネラル分補給とともにエネルギー源も補給し、試合終盤でも身体がバテないようにしましょう。

 今までの練習がしっかり活かされるためにも、身体のコンディションというのは重要です。「試合前から試合は始まっている」ということを念頭に、出来ることから取り組んでみてくださいね。

ランニングは徐々に短いダッシュの割合を多めにする
●トレーニングはひどい筋肉痛を残さない程度の負荷で行う
●栄養面ではエネルギー源となる炭水化物をしっかりとる
●集中力不足や熱中症にならないためにも睡眠時間はしっかり確保する
●途中でスタミナ切れなどを起こさないためにもこまめに水分・ミネラル分・エネルギー源の補給を
●暑さ対策には首や脇の下など大動脈に近い部分を冷やすとよい

(文=西村 典子

次回コラム公開は7月15日を予定しております。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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