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【第97回選手権大会展望】今年の甲子園を盛り上げるのは?注目の好投手をピックアップ!

2015.08.04

 8月6日に開幕する第97回高等学校野球選手権大会。組み合わせが決まった。今回は大会直前特別コラムとして、プロ注目の好投手や、将来、その世代を代表する2年生投手を一挙紹介!また各投手の特徴、チェックポイントも記載したので、観戦時には、あわせてチェックしてほしい。

小笠原、平沼、原など大会トップクラスの投手たち

小笠原 慎之介(東海大相模)

 今年の甲子園の注目投手筆頭は小笠原 慎之介東海大相模)だろう。春季関東大会では最速149キロを計測したが、実戦力という点で物足りなさを感じた。しかし、この夏は、常時145キロ前後・最速150キロまでスピードアップしただけではなく、チェンジアップも習得して、投球の幅を広げ、激戦の神奈川を勝ち抜いた。甲子園でも神奈川大会のような投球を続け、勝利に貢献すれば、ドラフト1位クラスの評価は確かなものになりそうだ。

 また小笠原との2枚看板で注目される吉田 凌も、奪三振、球速に固執せず、リズムが良い投球を披露。140キロ前後の速球、カーブ、スライダー、縦スライダーをコンビネーション良く投げ分ける姿は、投手としての成長を感じさせ、甲子園で調子を上げれば、さらに評価が高まりそうだ。

 選抜優勝投手の平沼 翔太敦賀気比)。インタビューでは150キロを投げたいと語っていた平沼にとって成長した姿を見せる最後の舞台でもある。いきなり明徳義塾と対戦する厳しい戦いとなるが、すべてにおいて成長した姿を見せることができるか。また平沼は打者としても評価が高い。一投一打で注目を浴びそうだ。

 そして、スカウトから高く評価されている原 嵩専大松戸)は投打ともに才能あふれる逸材だ。投げては最速148キロだが、千葉大会での最速は144キロ。展開に応じて力の入れ加減をし、ここぞという場面では140キロ中盤の速球で圧倒。また変化球の精度も上がり、投手としての実戦力もついた。打っては打球の速さ、長打力だけではなく、ランニングホームラン2本を決めた快足ぶりも見逃せない。千葉大会での投球を見ると、投手としてはまだ余力を残しているのではないかと感じる部分があり、甲子園という大舞台が原の潜在能力をさらに引き出してくれることに期待したい。

 最速145キロを誇る高橋 樹也花巻東)は自分の良い形で投げることができるか。良いときは速球、スライダー、チェンジアップともにしっかりとキレているが、調子が悪いと全体的にボールが高めに浮き、失点を重ねやすい。初戦は打力のある専大松戸と対戦するが、マックスの力をここで発揮したい。

 甲子園の活躍で、ドラフト上位候補に名を連ねそうなのが綾部 翔霞ヶ浦)。長身から振り下ろす140キロ前後の速球には角度があり、変化球の精度や投球フォームの完成度も高く、将来性を高く評価されている。甲子園で潜在能力の高さを発揮することができるか。

 最速145キロを誇る小孫 竜二遊学館)も、変化球の精度、コントロールが優れた好投手。石川大会決勝では完封勝ちするなど調子は上がっており、甲子園でもその投球を維持できれば、さらに脚光を浴びる可能性を持っている。

 また佐藤 世那仙台育英2015年インタビューは、140キロ台のストレートと複数のフォークを投げ分けるフォークボーラ―として注目されるが、チェックポイントとして春以上のストレートのスピード、コントロール、投球術が求められるだろう。調子が良い時は意図通りに組み立てることができる投手なだけに、ぜひ進化した姿を見せてほしい。


注目記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
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[page_break:大阪桐蔭を破った光田は全国でも快投を披露できるか]

大阪桐蔭を破った光田は全国でも快投を披露できるか

 この夏の投球次第では評価が浮上しそうな投手たちをピックアップしていくと、白樺学園が誇る、192センチの長身から140キロ台の速球を投げ込む河村 説人と最速144キロ右腕・中野 祐一郎の2枚看板が注目。北海道と関西では気候が大きく変わるので、関西の暑さに適応し、ベストピッチングできる準備をしてほしい。

 168センチと小柄だが、キレのある速球と変化球で秋田大会では39回で55奪三振の快投を見せた左腕・成田 翔秋田商)、多彩な変化球をコーナーに出し入れし、終盤になっても140キロ近い速球を投げ込み完成度が高い投球を見せる右腕・森久保 翔也聖光学院)も面白い。中京大中京のエース・上野 翔太郎は140キロ前後の速球、チェンジアップ、スライダーを出し入れする好投手。強力打線にも怯まずに勝負できる度胸の強さも魅力的だ。

光田 悠哉(大阪偕星学園)

 大阪桐蔭を破った大阪偕星学園は2人の投手に注目。大阪桐蔭戦(試合レポート)で完投勝利を挙げた光田 悠哉は、135キロ前後と突出したスピードはないものの、出所が見難く球離れが遅いので打者からすればかなり打ち難く、さらにスライダー、カーブ、スクリューのような落ち方をするチェンジアップと球種は多彩で、投球の幅は広い。甲子園でも完成度の高い投球を披露できるか。そして姫野 優也は183センチの長身を生かした真っ向から振り下ろすオーバーハンドの投手。140キロ前後の速球とスライダーで勝負する。

 富山 凌雅(九州国際大附)は昨年よりも5キロ以上伸びて、140キロ台を計測するまでになった。コントロールも安定するようになり、ストレートとスライダーをコンビネーションにする左腕だ。140キロを超える速球を武器にする橋本 拓実(鹿児島実業)も甲子園で快投を見せたい。


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[page_break:2年生は菊地、加藤などの速球派右腕、比屋根の変則左腕も注目]

2年生は菊地、北村などの速球派右腕、加藤、比屋根などの将来性が高い左腕も注目

菊地 大輝(東海大甲府)

 ここからは2年生の注目投手を紹介していきたい。

 2年生の注目は、菊地 大輝東海大甲府)。140キロ中盤の速球だけではなく、130キロ台の高速スライダーも絶品で、投球のレベルは3年生と比較しても負けておらず、甲子園でもパワフルな投球を見せてくれそうだ。
花巻東はエースの高橋 樹也が注目されるが、左腕・加藤 三範は手足が長く、上半身と下半身のバランスが取れた投球フォームから繰り出すキレのある速球が持ち味。今は高橋が注目されているが、手足の長さや、まだ体が出来合っていないのを見ると、伸びしろは非常に大きい投手なので、甲子園でベストピッチングを期待したい。

 また、最速145キロを計測する北村 朋也東海大相模)が来年のドラフト候補として注目されそうだ。最速143キロのストレートと曲りが大きいカーブを武器とする高橋 昂也花咲徳栄)は、岩井 隆監督が「大物に育てる」と期待を込めながら話すように、順調に成長を遂げている左腕。甲子園では自慢の速球を披露したい。

 春夏連覇を狙う敦賀気比の背番号10・山崎 颯一郎は188センチの長身から振り下ろす140キロ前後の速球と縦割れのカーブを武器にする本格派右腕。そして長野大会を勝ち抜いた草海 光貴上田西)は伸びのある直球で勝負する好右腕。

 選抜ベスト8右腕の村木 文哉静岡)は速球のスピードが146キロまで伸び、さらに落差あるフォークで勝負する。長谷部 銀次中京大中京)は長身から140キロ近い速球を投げ込むが、あとは堂々としたマウンドさばきを見せてほしい。

 友井 寛人(滝川二)は激戦の兵庫を勝ち抜いた好投手で、伸びのある140キロ前後の直球、キレのあるスライダーをコンビネーションに、35.2回を投げて42奪三振、4失点の好投を見せた。

 堀 瑞輝広島新庄)は、左サイドから130キロ台の直球だけではなく、同じ腕の振りでスライダーを投げ分け、打者からすれば厄介な投手。
夏の徳島大会4連覇の鳴門は2年生投手が面白い。140キロに達した実戦派左腕・河野 竜生徳島大会では未登板だったが、140キロ台の速球を投げ込む大型右腕・中山 晶量も甲子園の舞台で快投を見せられるか。

 比屋根 雅也興南)は大きくクロスステップするフォームからキレのある速球、変化球で三振を奪う実戦派左腕。春季大会から安定した投球を披露しており、甲子園でも平常心で力を発揮したい。

 並べてみると多くの好投手がいるのが分かった。また好投手同士の投げ合いが実現するカードもあり、見逃せない戦いが多い。ぜひベストピッチングを誓う選手たちの投球ぶりに注目してほしい。

(文・河嶋 宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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