【第97回岐阜大会展望】県岐阜商、中京、土岐商、大垣日大など有力校ずらり。横一線の岐阜を勝ち抜くのは？
6月20日、岐阜県の組み合わせが決まった。今年は本命不在の大会である。県立岐阜商、中京、土岐商、大垣日大など有力候補がずらり。今年の岐阜県の状況を占っていきたい。
夏を見据える高橋純平と県内最強の中京打線
高橋 純平（県立岐阜商）
選抜出場の県立岐阜商。OBの和田 一浩選手（中日ドラゴンズ）の2000安打達成、ドラフト1位最有力候補の最速152キロ右腕・高橋 純平（県立岐阜商）の存在により全国的な注目度は高まっている。
注目の高橋だが、小川監督は「夏へ向けて日々、計画的に取り組んでおりますので、夏ではピークを持っていてくれるのではないかと思います」と期待を込める。2月の取材時（高橋投手インタビュー【前編】【後編】）で高橋は「夏は勝ちにこだわりたい」と口にしていた。スピードに頼らず、緩いカーブを使い分けてローリスクの投球で少ない球数、最少失点で切り抜けるのは全国の舞台で実証済みだが、あとは真夏の連戦で投げぬく体力、メンタリティがあるか。そこに注目したい。
打線も、選抜は「実力と自信をつける期間」と位置付けていたように、各選手が伸びてきた。高橋が練習試合での登板間隔があいた時は高橋がシート打撃の打撃投手を務めていたため、高橋の速球を捉える選手も多くなり、手応えを掴んでいる。初戦は7月5日、本巣松陽と初戦を迎える。
その県立岐阜商が最も恐れるチームと挙げているのが東海大会出場の中京だ。
小川監督は「中京さんは本当に打撃が良いです。実は秋で戦って、そのときはうちが勝っているのですが、秋に比べるとかなり良いです」と恐れるほどの打力を誇る。その中心にいるのが、177センチ92キロと恵まれた体格から強烈な打撃を見せる2年生スラッガー・今井 順之助。春の公式戦11試合で104得点。1試合平均9.45得点と非常に得点力ある打線である。投手陣では、エース右腕の中村仁（3年）、背番号18の岩本 岳（3年）の2投手が中心だ。
昨夏、軟式野球部が59回全国高校軟式野球選手権大会準決勝で崇徳と延長50回の名勝負を繰り広げ、見事に勝利し、2年ぶりの優勝を決めたことで、俄然と「硬式も頑張らないと！」と気合いが入っているようだ。その中京の初戦は武義と対戦する。県立岐阜商と中京。両校が勝ち進めば、準々決勝で対戦する可能性がある。
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有力候補の土岐商のブロックに岐阜総合、岐阜城北、帝京大可児など強豪が集結
勝野 昌慶（土岐商）
また県立岐阜商、中京とともに注目されているのが、土岐商である。エースの勝野 昌慶は今春の東海大会で最速146キロを計測。上半身、背筋の強さを生かして投げ込む速球に加え、切れ味鋭いスライダーのコンビネーションは簡単に打ち崩せない。投手陣は勝野以外でも東海大会で登板した右下手の竹内 大輔など控え投手は多くいる。
打線も強力で、春季県大会準々決勝では美濃加茂に9対2、県大会準決勝では14対0で勝利しており、非常に打線が活発だ。2010年以来の夏の甲子園出場へ投打ともに仕上がりを見せており、有力候補に挙がる存在だろう。初戦は岐阜聖徳学園と対戦する。
同ブロックには強豪が非常に多い。まず昨秋優勝（試合レポート）で、好投手・西脇 達也擁する岐阜総合学園、強打の遊撃手・米田 虎太郎がチームを引っ張る帝京大可児、さらにベスト8の岐山と岐阜城北が初戦で激突。どこが勝ち上がってもおかしくないブロックなのだ。
20日に準々決勝が行われるが、勝ち上がった学校の対決はかなり見応えあるものになりそうだ。
岐阜工・麗澤瑞浪ブロック
このブロックも有力校が出揃い、伝統校・市立岐阜商がいきなり開幕戦（4日 12：00 [stadium]長良川球場[/stadium]）に登場することとなった。対戦相手は瑞浪。岐阜県を代表する伝統校の登場に、岐阜の高校野球ファンにとっては見逃せないカードになりそうだ。また今春のベスト4の岐阜工は益田清風と対戦。今年の岐阜工の注目は、強打の捕手・堤 悠一郎。攻守でチームをけん引する。その岐阜工と同ブロックなのが本格派右腕・相馬 成陽擁する多治見。この対決も面白い。
両投げ投手・赤塚 瑞樹、エースの吉田純平の2枚看板で勝ち上がった麗澤瑞浪も注目だ。
2年連続の夏の甲子園を狙う大垣日大、好投手・伊藤がいる海津海誠が注目
3年連続の夏の甲子園を狙う大垣日大は、春季大会で優勝した中京に準決勝で12対5と敗れたが、3位決定戦では9対7と岐阜工との打撃戦を制するなど、まさにオフェンス型のチーム。大垣日大は1年生を積極的に使っていくチームであり、新戦力の台頭も十分に考えられそうだ。また好投手・伊藤 健太擁する海津明誠は岐阜高専と対戦。今春ベスト8の美濃加茂は、飛騨高山と対戦する。
今回は、強豪が散らばった大会。高橋純平という目玉投手はいるものの、本命不在の大会で、混戦が予想されそうだ。特に盛り上がる20日の準々決勝以降も非常に楽しみである。
（文＝河嶋 宗一）
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