【第97回西東京大会展望】序盤から熱戦が期待できそうな激戦区・西東京の行方は？？
話題性という意味では全国トップクラスの西東京。春季大会では、何より圧倒的な長打力で勝ち上がった日大三、好投手・小玉和樹の活躍で準優勝に輝いた佼成学園、これから東京都に伝説を残していきそうなスラッガー・清宮幸太郎が注目の早稲田実、投打にポテンシャルがあるプレーを見せる勝俣翔貴を中心に能力が高い選手が揃う東海大菅生など好チームが揃う。
組み合わせを見ると各シード校が初戦から厳しい戦いが繰り広げられそうだ。
日大三・東大和ブロックは日大鶴ヶ丘、都立片倉などしぶといチームが登場
田村孝之介（日大三）
日大三は、14日に初戦を迎える。最速147キロ右腕・田村 孝之介は、投手と外野に絞った。これは遠投することが多い外野を守ることで、体を大きく使う意図がある。俊足、一発を打つパンチ力など走攻守のスキルの高さは、全国トップクラス。投打で躍動した姿を見せれば、さらに華のある選手になるだろう。
また、春季大会5本塁打を放った小藤 翼、4番に座る坂倉 将吾、パンチ力ある核弾頭・下小牧 淳也、決勝戦で2本塁打を放った桑村 和哉とまさに一発を打てる選手が揃い、攻撃力はピカイチだ。
対戦する可能性がある都立片倉は好投手・矢ケ崎 光が注目。2年生から140キロ近い速球を投げ込む本格派右腕で、長く好投手を育成してきた宮本 秀樹監督も、素材は歴代の投手の中でも優れていると推す素材だけに、夏へ向けて強豪校を脅かす投手となれるか注目をしていきたい。
さらに夏連覇を目指す日大鶴ヶ丘もこのブロックに入った。春季大会以降、激しい競争を行い、メンバー決めを行っている。さらに意識改革も行い、練習試合の成績が向上している。打力が高さがウリの捕手・西田 賢太、攻守の総合力が高い山岸 哲也など打撃のポテンシャルが高い選手が多い。あとは投手陣の底上げがカギになりそうだ。初戦は都立杉並と対戦。
勝ち進めば4回戦で日大三と対戦する可能性がある。また都立千歳丘のエース・長谷川 壮平も注目。力ある速球を投げ込み、打力もある選手だ。
都立東大和は、エース・藤原 涼を軸に守り勝つ野球を展開。また夏へ向けて力をつけていきそうな都立昭和と、休部したシダックスの最後の監督を務めた田中 善則監督が率いる昭和一学園がいきなり初戦で実現して、注目カードになりそうだ。
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早稲田実業・早大学院ブロックも都立の強豪が出揃う
清宮幸太郎（早稲田実業）
注目の早稲田実は、16日に初戦を迎える。早稲田実は清宮 幸太郎以外にも一本足打法で本塁打を連発する加藤 雅樹、パンチ力ある田口 遼など一発が打てるだけではなく、単打、単打でつなぐしぶとさもあり、打線の破壊力は都内トップクラスだろう。
不安ある投手陣をカバーするためにも打ち勝つ野球が求められそうだ。清宮は1年生とは思えない長打力、技術的な完成度に加え、大観衆が見守る中でも平常心でプレーできる精神力も素晴らしい。この夏はどんな伝説を刻んでいくのか。
面白いのは、都立日野。高校通算30本を超えるスラッガー・神原 祥伍、詰まりながらも長打を打てる杉浦 太一など打線の迫力は私学にも劣らない。安易な攻めをすると、あっという間に大量点をもぎとる攻撃力は、シード校に脅威になるはずだ。
都立東村山と初戦で対戦する明大中野八王子も夏は怖い存在。早大学院は、3人の投手に注目だ。伸びのある直球を武器にする柴田 迅、速球派右腕・嵯峨 悠希、シンカーを武器にする右腕・齊藤 慶と右投手3名に注目。さらに打線を底上げして、夏に臨みたい。このブロックには、都立永山の本格派右腕・中田 勇太、速球派左腕・長谷川 宙輝がチームを引っ張る聖徳学園と力のあるチームと対戦予定だ。
八王子は強打者・西谷 浩成、攻守にバランスが取れた石井 雄也など好選手が揃う。なんといってもエースの横森 拓也は安定感が増して、試合を作れる左腕へ成長。控え選手の底上げも著しく、層が厚いチームへ成長していっている。
八王子と同ブロックなのは、都立翔陽と対戦する都立総合工科。このチームは、140キロ右腕・平井 成幸が注目。170センチと小柄ではあるが、パワー型投手としてみておきたい投手の1人だ。
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投打の総合力は都内トップクラスの東海大菅生。創価、国士舘も怖い存在
勝俣翔貴（東海大菅生）
東海大菅生は、投手・勝俣 翔貴に頼らない投手作りに励んできた。そこで伸びてきたのは、羽生 優太。九州国際大附との招待試合では、2失点完投勝利。強打の九州国際大附相手にも試合を作れるのだから、やはりキーマンになるといえる。
打線では勝負強い伊藤 壮汰、軽快な守備に加え、一発を打つパンチ力が持ち味の遊撃手・江藤 勇治、長打力のある小磯 和貴、同じく本塁打を打つパンチ力ある本橋 実生など打線の力強さは都内随一。招待試合では、春にベンチ入りしていなかった選手の起用も見られ、かなり激しい競争が行われている。
あとは勝俣が打撃面では技術的な狂いを修正し、投手としても上手く調整を図り、昨秋のような投球ができれば、この夏も十分に勝ち上がるチームになっていくのは間違いない。
このブロックの有力校は、ノーシードの日大二、都立小平。日大二の135キロ右腕・村田 匠はゲームメイクできる好投手で、強肩捕手・林健太のコンビネーションは抜群。また林は強打でチームを引っ張る存在だ。
都立小平は破たんの無い守備力が持ち味。巧打堅守の遊撃手・新宅 亮太、遠投100メートル以上を誇る強肩外野手・長嶋 恭兵と野手陣の能力が高い。また都立小平は先を見据えてのチーム作りが上手いので、この夏、怖い存在になることは間違いない。
シード校の国士舘は、下級生の時からスラッガーを務めてきた中尾 将が春の本大会では2試合連続本塁打を放ち、本領を発揮しつつある。投手陣の底上げに成功し、上位争いに絡んでいきたい。
同じくシード校になった創価は、投手陣の層が厚い。網野 輝、本格派右腕・谷井 怜央、晝間 龍之介（ひるま）の3投手のレベルは高く、また打線も大型打者・伊藤駿を中心に長打力ある打者が揃い、投打に総合力が高く、躍進が期待できそうだ。創価ブロックに、縦に大きく割れるカーブが持ち味の清水 祐希擁する明大明治、長打、犠打を駆使する世田谷学園などしぶとい学校も見逃せない存在だ。
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最も熾烈な佼成学園ブロック
小玉和樹（佼成学園）
佼成学園は、エースの小玉 和樹が意識改革で急成長。速球も関東大会で141キロを計測（試合レポート）。何が凄いかといえば、強打者に対して臆せずに勝負ができるところだ。左打者に内角へズバッと140キロ台の速球で押して詰まらせながら、緩い変化球で交わすところが良い。
あとは右打者への攻めが若干甘いので、さらに突き詰めていけば、より打ち難い投手になるだろう。打線も、各打者がパワーアップし、機動力を絡めることができる攻撃も見事だ。
総合力が高いチームだが、厳しい戦いが続きそうだ。同ブロックでは強打者・一柳 大我がチームの大黒柱の日本学園、140キロ近い速球を投げ込む栗田 海人擁する八王子実践、130キロ後半の速球を投げ込む植田 雄大と強肩捕手・了海 航のバッテリーが面白い國學院久我山、春季大会に敗れノーシードから始まり捲土重来を期する法政大高も同ブロックだ。
いきなりエネルギーを使う試合が続きそうで、勝ち進んだ学校はここ一番での気力も問われていきそうだ。
また秋打てずに負けたことで徹底的に打撃強化した聖パウロ学園は、春季大会でサイクル安打（東農大一戦：試合レポート）を達成し、3本塁打を放った強打の捕手・菅野 岳史を中心に破壊力ある打線が光る。
聖パウロ学園ブロックでは、威力ある速球を投げ込む阿曽 裕樹擁する都立清瀬に注目。ブロック予選で日大鶴ヶ丘に敗れたが、日大鶴ヶ丘の萩生田監督は、「ボールが走っていて、なかなか良い投手」と評価していた選手である。
こうしてみると各ブロックに強豪校が散らばっており、なかなか気が抜けない戦いが続きそうだ。それは5日から開幕する1回戦から見所があるということ。注目度の高い選手も多いが、それに加えて多くの好ゲームが予想され、見応えある大会になっていくのは間違いない。
（文＝河嶋 宗一）
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