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【第97回千葉大会展望】例年以上に熾烈な戦国千葉2015を制するのは?

2015.06.20

 49都道府県の中でも、最も熾烈な戦いが行われ、わずか1季で勢力図があっという間に変わってしまう千葉県。その混戦模様を「戦国千葉」と表現されるが、このフレーズはあっという間に高校野球ファンに定着した。そして今年の千葉県はのベスト8の顔ぶれが全く変わり、昨秋のベスト8が二季連続でベスト8以上に入ったのが、千葉敬愛だけと、いかに今年の千葉県が例年以上に戦国模様なのかが理解いただけるだろう。では、戦国千葉2015を勝ち抜く有力チームを占っていきたい。

専大松戸の課題は甲子園まで完走できる準備ができているか

原 嵩(専大松戸)

 春季大会優勝(
試合レポート)の専大松戸大網浦安南の勝者と対戦することとなった。エースの原嵩、大型遊撃手の渡辺大樹、強肩捕手・河村佳祐、長打力とキレの良い三塁守備を見せる岡本良樹の主力選手が残ったが、まだ秋から出場し始めた選手たちの力量不足が否めず、県大会2回戦で敗退。
しかしこの冬で全体の底上げに成功。特に原を野手に専念させて打力をレベルアップさせ、左腕の角谷幸輝が台頭したのが大きな収穫。あとは原が投手としてどれだけ夏にピークに持っていく調整ができるか。去年は戦力的には素晴らしいものがあったが、過密なスケジュールで決勝(試合レポート)で力尽きたように感じられた。余力を感じられるぐらい勝ち進むことができれば、初の全国が見えてくるはずだ。

 この、ベスト16のCシード・我孫子東は総合力が高まった。投げては岩田 裕生が春先から好投を見せ、実力で背番号1を勝ち取り、県大会でも好投を見せた。130キロ前後だが、ボールの出し入れが絶妙で、コンビネーションで勝負する本格派右腕。そして180センチ100キロの巨漢投手・宮城正規も、調子を上げてきている。打線も、強打の捕手・恩田綾を中心に底上げしてきた。あとは競った場面での試合運びを磨きをかけ、上位進出を狙いたい。その我孫子東は、柏の葉犢橋の勝者と対戦する。他ではしぶとい試合運びをする日大習志野、左の技巧派・篠塚雅樹が注目の東京学館が注目だ。

■専大松戸ブロック

拓大紅陵、千葉英和ブロックはかなり熾烈!

 Bシードの拓大紅陵は食事改革で選手のパワーアップに成功。元プロの田中一徳コーチの指導も加わり、本多正典樫森恒太といった巧打者が成長。また投手陣も鈴木寿希也境優多などバラエティが富んだ投手陣が春季大会で好投を見せ、戦い方に幅が出てきた。
勝ちにこだわり1年間歩んできた昨秋からの成果をこの夏に発揮できるか。初戦の相手が変則左腕・成嶋稜太、パンチ力ある捕手・田中大樹のバッテリーが注目の松戸六実流山南の勝者と対戦することとなった。昨夏のベスト8の原動力となったエースの山本が残る国分も同ブロックとして登場し、こちらも見逃せない。

 Cシードの千葉英和の初戦の相手は、昨秋準優勝(試合レポート)の松戸国際四街道北の勝者と対戦することになった。千葉英和は、スラッガー網谷圭将を中心とした打力は強烈だが、投手陣に不安を感じる。松戸国際は県大会2回戦で専大松戸に敗れたが、総合力の高さは県内随一。エース植谷翔磨の持ち味を好捕手・岡本耕典が発揮。さらに主砲・沢辺太一の長打力はもちろんだがバントを駆使する緻密な攻めも健在。今年で還暦を迎える石井 忠道監督の男のロマンを成就するべく選手たちが意地を見せられるか。

 このブロックは、柏日体も同ブロック。強打者・エドポロ ジョセフ、投打に力ある朏 仁矢の2人がチームを引っ張る。ノーシードでも怖い存在のチームの1つだろう。

■拓大紅陵ブロック

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僕らの熱い夏 2015
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[page_break:ノーシードでも木更津総合の存在感は抜群!/打線に勢いのある沼南には検見川、稲毛など実力校の公立が出揃う]

ノーシードでも木更津総合の存在感は抜群!

檜村 篤史(木更津総合)

 Bシードの千葉明徳は、パンチ力と脚力を兼ね備えた高橋 海飛、強肩捕手・新野 雄大など野手の能力が高く、つながったときの打線が強力で、守備力も高い。もう1つ投手陣の底上げを期待したいところ。
初戦の相手は千葉東と、沢谷 かおる藤野 翔大郎の二枚看板で勝負する四街道の勝者と気が抜けない相手と対決することとなった。同ブロックには機動力に磨きをかけてきた東葉、伝統校・市立柏と中々厳しいブロック。
Cシードの成田は好左腕・藤澤和輝など投手力は高く、さらに好遊撃手・野口智優を中心につなぎの野球で打ち崩す。また同ブロックには打線に力のある千葉日大一も、勢いに乗れば台風の目になり可能性がある。

 Aシードの市立松戸は試合運びが絶妙な好チームだ。夏へ向けて攻守のレベルアップをしたいところ。津田沼千葉南の勝者と対戦する。また同ブロックには、昨夏4強ながら、今年のチームになってから公式戦未勝利で、下剋上を目指す東海大浦安、好投手・安藤 大賀擁する銚子商、そして木更津総合が同ブロックとなった。

 21世紀以降、最多の夏4度の甲子園出場の木更津総合は、右方向への打撃を磨き上げ、各打者の対応力が向上。さらに五島監督は「潜在能力、将来性は2008年のエース・田中優より上ですね」と評する早川隆久、右サイドの鈴木健矢も新たに変化球を習得しており、投球の幅を広げてきた。さらに強打の1年生・峯村 貴希、またベンチ外だった3年生投手も成長を見せており、しっかりと戦力を整備しており、春よりも層が厚くなっている。
この16強入りのCシードの木更津は、野田中央東葛飾の勝者と対戦する。同ブロックには、チーム力が高い敬愛学園、夏へ向けて戦力を整備する館山総合など戦いにくい学校が揃う。

■千葉明徳ブロック
■市立松戸ブロック

打線に勢いのある沼南には検見川、稲毛など実力校の公立が出揃う

 準優勝でAシードの千葉沼南は、核弾頭・木崎友也など勢いある打者が揃う。やんちゃ坊主が集まったチームだが、打撃のことになると状況に応じて右打ちするなど、意識が高い選手が揃う。そしていつも柔和な表情を見せる橋本 秀哉監督がノビノビとやらせることで、選手の個性を引き出し、強打を見せてきた。エースの黒井翔はしっかりとゲームメイクできる投手で、粘り強い試合運びができる好チームだ。初戦は鎌ヶ谷西大原の勝者と対戦する予定だ。またCシードの学館船橋は、君津商市原八幡の勝者と対戦する。

 このブロックには公立校の伝統校が揃い、強打の二塁手・寺澤圭祐が注目の検見川稲毛のエース・小澤 勇仁は上、下、横を投げ分ける変幻自在な右腕で、相手校からすれば厄介な存在だろう。また昨夏の8強・中央学院も登場。昨年もノーシードから勝ち上がっただけに初戦の戦いぶりから見逃せない。

 一方、春季大会東海大望洋を破った多古試合レポート)は、市原天羽の勝者と対戦する。多古は高校通算25本塁打の角田孝祐は、広い[stadium]ナスパ・スタジアム[/stadium]でも場外本塁打を放った強打者で、飛ばすツボを心得ている選手。この夏は勝負強い姿を見せる。
また坊主禁止にして、自主性が高いチームに育て上げた成田国際も注目。さらに好投手・瑞慶山 良洋擁する東京学館浦安は東総工業と対戦。この対決も見応えある対決になりそうだ。

 習志野を破った柏南試合レポート)は、変則左腕・松野将大、右サイドの北澤京樹の投手リレーがはまりベスト8。守備力も高く、接戦に強い試合運びで、この夏も上位を狙う。初戦は船橋豊富東金商と対戦する。

■沼南ブロック
■柏南ブロック

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[page_break:習志野、東海大望洋、千葉経大附、千葉敬愛など強豪が揃ったブロック]

習志野、東海大望洋、千葉経大附、千葉敬愛など強豪が揃ったブロック

原田 泰成(東海大望洋)

 Bシードの市立銚子は、エース・青野 大悟を中心に粘り強く勝ち上がる好チーム。初戦は銚子と市川南の勝者と、「銚子」対決が実現する可能性が出てきた。
昨秋のベスト8・千葉商大付と強打の千葉経大附が初戦で激突。千葉商大付はエース吉山栄太など2年生のレギュラーが揃うが、夏へ向けてワンランクレベルアップを遂げているか。打力が高い千葉経大附は投手力が課題。投打でレベルアップを果たせば、上位を狙えるチームになりそうだ。

 Cシードの市立船橋は、ショートの及川茂樹など守備力、巧打力が高い選手が多く、野球が実に洗練されており、きっちりと試合運びができれば、上位に勝ち進むチームになるだろう。角度ある速球を投げ込む本格派右腕・望月 大希がどこまで化けるか。初戦の相手は、この春から部員15人が入部し再び強化を始めた暁星国際一宮商の勝者と対戦する。打線は県内上位クラスと評される流通経済大柏と、千葉国際から校名を改めた翔凛と対戦とこちらも好カードだ。

 ベスト4進出でAシードを勝ち取った千葉敬愛は、文理開成小見川と対戦。千葉敬愛は突出した選手はいないが、レギュラー選手の能力が高く、小技、強攻でしっかりと点をもぎ取ることができて、エースの吉野涼がコーナーワークを存分に生かした投球でうまく交わし、最少失点に切り抜けるなど、試合運びが実に上手い。のような試合運びができれば、この夏も上位進出が予想できるチームになるだろう。

 Cシードの習志野はエースの土井大輝柏南戦で2本塁打を放った内山京祐松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)の弟の習志野松井和輝は強肩巧打の外野手など能力的に高い選手が揃い、攻撃力は県内上位。あとは昨秋のエース・尾形康平が復帰に目処が立てば、強力な投手陣が構成できるだろう。
習志野と同ブロックには2年生ながら県内屈指のポテンシャルを誇る川口 廉擁する千葉黎明も登場。昨秋は打撃面に課題が残ったように総合的にレベルアップを目指し、上位進出を狙う。

 またノーシードで迎える東海大望洋は、エース・原田泰成が速球の速さと打ち難さをうまく両立することができる投手となれるか。2年生投手の島孝明が伸びており、原田を刺激する意味でも切磋琢磨しながら伸びてほしい。打線では強打の三塁手・石井祐二郎、好捕手・峯尾京吾などパワーある打者が揃い、再び2年連続の夏の甲子園を目指す。
さらに投打でチームを引っ張る志治 佑眞、好打の遊撃手・星田 嶺央、130キロ中盤の速球を投げ込む橋本 飛翔など能力が高い選手が揃う八千代松陰も注目だ。
また開幕戦で登場する志学館船橋法典と対戦。夏までチーム力を上げ、ノーシードからの反攻を誓う。

 今年の千葉大会は7月11日に開幕。決勝は7月25日と超過密日程の中、熱戦が繰り広げられる。各ブロック、各強豪校が散らばり、勢いに乗れば、多くの学校が甲子園を掴むチャンスはある。しかし5回戦の21日から決勝の25日まで5日間で、4試合と勝ち進むほど、試合間隔がない。それだけに一戦必勝をしながら、7試合戦い抜くことを見据えて、チーム作りができたチームが夏の千葉の頂点に立つだろう。

 序盤・中盤・終盤でそれぞれドラマがある戦国千葉を制するのは、どのチームか。今年も予想外の戦いを繰り広げ、多くの高校野球ファンを熱狂させることを期待したい。

■市立銚子ブロック
■千葉敬愛ブロック

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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