Column

【第97回神奈川大会展望】ノーシードからも強豪続々登場!熾烈を極める神奈川大会!

2015.06.15

 勢力図不変か、それとも勢力図一変か。今年の神奈川は、秋から春を見ても、勢力図が変わっていないのである。
昨秋の神奈川のベスト8以上は以下の通り。
優勝 平塚学園 準優勝 桐光学園
ベスト4 相模原東海大相模
ベスト8 慶應義塾横浜隼人湘南学院日大藤沢

今春のベスト8以上は以下の通り
優勝 東海大相模 準優勝 相模原
ベスト4 神奈川橘、桐光学園
ベスト8 平塚学園慶應義塾日大藤沢横浜隼人

 ベスト8以上に絡んだのは、計9校。これを見ると今年の神奈川は勢力図が1年通して変わっていないのである。これは、ベスト8以上の学校が絶対的な力を示しているとも言えるし、ベスト8に絡んでいない学校がまだ夏へ向けて仕上がっていないとも言える。だがこの勢力図は一気に変わることが予想されるだろう。ノーシードで夏を迎える学校の中にも、実力ある学校が多い。神奈川の今大会を占っていく。

春の4強チームの課題

小笠原 慎之介(東海大相模)

 春季大会優勝東海大相模は、足柄岸根の勝者と対戦。カギはWエース・小笠原 慎之介吉田 凌の二枚看板が夏にピークを持っていく調整ができるか。だが2人でも7試合を投げぬくのは、体力的な負担が大きい。左腕・山田 啓太、右腕・北村 朋也春季大会で経験を積み、実戦でも活躍できる見通しがたったのは大きい。

 また、杉崎 成輝豊田 寛千野 啓二郎長倉 蓮の4人の経験者を中心とした打線は強力。ただ関東大会準決勝では、浦和学院江口 奨理を打ち崩せずに完封負けを喫したように、駆け引きが優れる左腕の対応に課題を残した。各校はそういった対策をとってくると予想されるので、そこに対応できるしぶとさ、粘り強い打撃ができれば、連覇も見えてくるだろう。

 準優勝相模原は開幕戦で登場する相模向陽館百合丘の勝者と対戦。エースの宮崎 晃亮は、140キロ近い速球をコーナーに投げ分ける投球術が光る。また打力もあり、投打で引っ張る存在で破壊力ある打線も魅力。課題となる守備力が身につけば、この夏も、甲子園出場を争う一番手となるだろう。

 ベスト4桐光学園関東学院希望ケ丘の勝者と対戦。桐光学園大工原 壱成松尾 健太中川 颯は一発も打てて勝負強く、できれば勝負を避けていきたいところだが、根本 郁也恩地 偉仁といったしぶとい左打者もおり、破壊力、粘り強さともに、今年の神奈川でもナンバーワン。ただ投手力に不安があり、3年ぶりの甲子園出場を果たすためには、打ち勝つチームを目指していきたいところ。そのためには安定した守備を大会通して貫くことができるか。

 また神奈川橘は、アレセイア湘南霧が丘の勝者との対戦が決まった。パンチ力のあるショート・福田 耕平、好投手相手にも振り負けしない肥後 洋輝を中心とした強打が最大のウリ。強豪校相手にも恐れずに果敢に向かっていく姿勢を貫くことができれば、この夏も躍進が期待できるだろう。課題は内外野の守備の安定感。緊張感のある夏を想定してどこまでレベルアップできるか。

このページのトップへ

第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
[page_break:慶應義塾、平塚学園も十分射程圏内 ノーシードの横浜も戦力の層はトップクラス]

慶應義塾、平塚学園も十分射程圏内 ノーシードの横浜も戦力の層はトップクラス

津留崎 大成(慶應義塾)

 またこの春ベスト8で、この夏で上田 誠監督の退任が決まっている慶應義塾は、逗葉と横浜緑園総合の勝者と対戦。本格派右腕・津留崎 大成と右サイドの高橋 伶介の2枚看板は強力。特に津留崎は県大会3回戦戸塚戦で19奪三振を奪った快投を見せるなど慶應義塾のドクターKだ。
打線では、スラッガー・木村 洋介、巧打者・柳町 達の2人を中心とした破壊力ある打線は県内上位に入る。この春東海大相模に0対4で敗れ(試合レポート)、投打ともにワンランクレベルアップしなければならないと実感したはず。有終の美を飾るためにも隙を無くしていきたい。

 横浜隼人は、県立商工瀬谷の勝者と対戦。なんといっても一発を打てる強打者が揃っているが、相模原戦(試合レポート)で守備が課題となったように、丁寧な試合運びができるようになると、より怖いチームになるだろう。日大藤沢サレジオ学院平塚湘風の勝者と対戦。日大藤沢は強打の捕手・下地 滉太がチームを引っ張るが、投手陣を整備し、夏に備えたい。

 優勝平塚学園横浜栄舞岡の勝者と対戦する。準々決勝で投手陣が打ち込まれ敗れたが、総合力は高い。エース・高田 孝一の140キロ前後のストレートを両サイドに投げ分ける制球力、キレのあるスライダー、ブレーキが効いたカーブをコントロール良く投げ分ける投球は完成度が高く、法政大で活躍する2年前のエース・熊谷 拓也を超える将来性で、夏では進化した姿を見せることができるか注目だ。何より機動力の高さに加え内外野ともに破綻がない守備力も素晴らしい。まさに洗練された好チームで、十分に優勝を狙える戦力があると言っても良い。

 渡辺 元智監督のラストイヤーを迎える横浜はノーシードで登場。どのブロックに入るか注目を浴びたが、相模原ブロックに入ることとなった。初戦は光明相模原と対戦する。2010年にノーシードから決勝まで勝ち上がった例があるが、その時よりも戦力の厚みはずっと上。

 まず投手陣は完成度の高さで勝負する石川 達也、長身からリーチの長さを生かし、出所が見難いフォームからキレのある130キロ前半の速球を投げ込む春日井 静斗、140キロ前後の速球を投げ込む相川 天河。さらにこの夏、復活を期待したい140キロ右腕・藤平 尚真。石川、春日井、相川の3投手の成長と藤平の復活。この構想が実現すれば、過去5年間でトップクラスの充実度があると言えるだろう。

 打線では、攻守のキーマン・相川 天河、やや荒削りな三塁守備が玉に瑕だが、一発ある長打力を誇る公家 響、同じく一発長打がある三河 聖央、さらに昨年、15U代表の増田 珠など戦力層は県内上位校と比較してもかなり厚い。ここまで勝ち進んでいないのが逆に不気味であり、上手く試合運びができれば、そのまま優勝争いに加わっていく可能性は十分にある。

このページのトップへ

第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
[page_break:各ブロックの有力校]

各ブロックの有力校

田村 海人(桐蔭学園)

 横浜のほかに相模原ブロックの有力校は、好投手・石井 翔擁する三浦学苑、強打の藤沢翔陵、毎年、健闘を見せる川崎工科

 横浜隼人ブロックでは、この夏限りの退任を発表した金沢 哲男監督が率いる横浜商大高向上と対戦する好カード。勝利すれば、伝統校・横浜商と対戦する予定で、見逃せない戦いが続く。さらにこのブロックには、Cシードの鎌倉学園この春横浜隼人と接戦を演じた(試合レポート橘学苑、そして関野 大哉菅野 魁人の2枚看板で勝負する湘南学院と実力校が揃う。

 桐光学園ブロックの有力校は、最速145キロ右腕・田村 海人を中心に守り勝つ野球を展開する桐蔭学園、好投手・仲島 大雅擁する法政二、経験豊富な投手を揃える日大高、ポテンシャルが高い選手を揃える戸塚と、なかなか熾烈なブロック。

 神奈川橘ブロックは、好投手・神谷 翼で再び上位を目指す、好打者揃いの湘南立花学園山手学院といった実力校が揃い、どの学校がベスト8に勝ち進んでもおかしくない。

 東海大相模ブロックは、藤嶺藤沢が注目。同校OBで、西武で活躍した石井 貴氏が投手コーチに就任。着々と投手力強化を図っている。また酒田南で10度の甲子園に導いた西原 忠善氏が監督に就任した武相も、どんな野球を浸透させているのか注目だ。その他好左腕・齊藤 航汰で勝負する相洋など、見応えあるブロックとなっている。

 慶應義塾ブロックは、二季連続ベスト16の綾瀬が私学の強豪に対抗できる実力を夏までに身に付けていけるか注目だ。

 日大藤沢ブロックでは、春ベスト16の慶應藤沢や、昨秋の16強の鶴嶺川崎北、好投手・佐々木塁擁する大師など力のある県立校が出揃う。

 平塚学園ブロックには、横浜創学館が登場。最速148キロ右腕・望月 惇志投手に注目だ。188センチ84キロのサイズは見応えがあり、手足の長さや、角度ある速球など、素材としては東海大相模吉田凌小笠原 慎之介を凌ぐものを持っている。あとは強豪校を抑える投球術を身に付けていけるかがカギとなるだろう。

 夏の神奈川は、春、秋に比べて勝ち上がるのは至難。特にベスト16が出揃う5回戦以降が熾烈な戦いになる。順調にいけば、5回戦は7月22日から。[stadium]相模原球場[/stadium]、[stadium]保土ヶ谷球場[/stadium]、[stadium]大和スタジアム[/stadium]、[stadium]平塚球場[/stadium]の4会場で行われ、準々決勝から[stadium]横浜スタジアム[/stadium]で行われる。

熾烈を極める神奈川大会を制するのは、どの学校か。開幕が実に待ち遠しい。

■コラムに登場する学校の野球部訪問はこちらから!
県立相模原高等学校(2015年06月07日公開)
横浜市立南高等学校(2014年06月23日公開)
向上高等学校(2014年05月20日公開)
向上高等学校(2012年01月28日公開)
藤嶺学園藤沢高等学校(2013年05月13日公開)
橘学苑高等学校(2012年08月21日公開)
■この夏にかける熱い思いを伺いました!
県立旭高等学校(2015年06月09日公開)

このページのトップへ

第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.12

【東京】ベスト8をかけ激突!関東一、帝京、早稲田実業などが登場<春季都大会>

2024.04.12

春季県大会を制した長崎日大の監督は「まだまだチームは未熟」、14年ぶりの夏甲子園へのカギは化学変化

2024.04.12

【茨城】明秀日立、霞ヶ浦などが県大会進出<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.07

法政大が新入生全30名を公開!一般組では楽天・三木肇二軍監督の長男・翔太郎(法政二)も入部!

2024.04.09

慶大が全新入生を公開! 甲子園優勝メンバー14人、智辯和歌山・報徳学園からも有力選手獲得!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.02

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?