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【鹿児島大会展望】「対抗馬」はどこ? 追走する樟南、鹿実、出水中央…

2015.06.08

 今年の夏の鹿児島の優勝候補筆頭は神村学園だろう。昨秋の県大会優勝九州大会ベスト4入りして2年連続でセンバツに出場し、「前哨戦」である5月のNHK旗でも優勝した。6月20日にある組み合わせ抽選会で、各校の投票で決まるシード校では、第1シードに選出されることはほぼ間違いないだろう。

「本命」は神村学園で間違いないが、その「対抗馬」となると樟南鹿児島実出水中央と様々な名前が挙がってくる。神村学園が順当に勝ち上がって3年ぶりの栄冠を手にするのか、それとも別の学校が「番狂わせ」を起こすのか、今年の鹿児島の大きな見どころになりそうだ。

神村学園、勝負強さで頭一つ抜ける

山本 卓弥(神村学園)

 神村学園が県内では勝負強さで頭一つ抜けている印象がある。昨夏の新人戦で鹿児島城西に敗れて以来、県内の公式戦で負けがない。NHK旗決勝では樟南を攻守で圧倒し完封勝ちした。安定感のあるエースの北庄司 恭兵(3年)に加え、2年生右腕の内田 雅輝、3年生の新里 武臣らが実戦で使える目処が立ち、投手陣は層が厚くなった。

 打線は不動の4番・山本 卓弥(3年)の前後を打つ赤坂 泰成(2年)、木戸 恵二(3年)が成長し、長打力があって中軸を打てる力を持つ田中 梅里(2年)を下位で使えるようになり「相手からしたらこれは嫌だと思われる」(小田 大介監督)打線に仕上がりつつある。

 注目の主砲・山本はNHK旗4試合で13打数8安打、1本塁打と4番の仕事をやってのけた。警戒され、四死球も多かった中でこれだけの数字を残せるところに非凡の才を感じる。「警戒されても打って、チームに信頼される打者になる」とセンバツ前に話していたが、言葉通り実践しているのはさすがである。

NHK旗で、まだまだこのままじゃ夏は勝てないと思う部分もたくさん見つかった。あと1カ月、鍛え直して夏は鴨池で思う存分暴れたい」と小田監督。見つめる先には3年ぶりの夏の甲子園と、、屈辱の初戦大敗を味わって果たせなかった「全国制覇」がある。

コラムに登場する高校の野球部訪問は以下から
神村学園高等部(2015年03月17日公開)
尚志館高等学校(2013年01月09日公開)
れいめい高等学校(2011年08月16日公開)

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追う樟南、鹿児島実

浜屋 将太(樟南)

「対抗馬」になりそうな、これまで県大会で4強から8強クラスの実績があるチームは数多くひしめいており、甲乙つけがたい。その中であえて挙げるとすれば樟南鹿児島実だろうか。

 春の県大会NHK旗と連続準優勝だった樟南は、抽選会でも第2シードに挙がってくるだろう。2年生の元気が良い。エースの畠中 優大に加えて、NHK旗では、それまでリリーフが多かった浜屋 将太が先発で使えるほどの信頼を勝ち取った。捕手の前川 大成、打撃センスの良い今田 塊都、中学時代全国優勝の経験がある吉内 匠らが主力を担い、上園 健弥主将や4番・落合 進太郎ら3年生が打の中心となってチームをけん引する。堅実な守備やバントなどもそつなくこなし、伝統的な樟南らしい勝負強さを備えたチームに仕上がりつつある。

 今年で学校創立100周年を迎える鹿児島実もジリジリと調子を上げてきている。看板の強力打線に加えて、春先から右腕・橋本 拓実(3年)が力をつけてきたのは好材料だ。このところ左腕が多かった鹿実では久々の本格派右腕で最速140キロ台の直球が武器。前チームからの経験がある有村 健太(3年)と2枚看板ができれば、夏場の戦いも勝算が見込める。

 NHK旗は有村や注目打者の室屋 太郎(3年)がケガでベンチから外れていたが、接戦を勝ち抜いて4強入り。彼らが戻ってきてベストメンバーが組めれば5年ぶりの夏も見えてくる。

注目の北薩勢

 昨夏鹿屋中央の初出場で大隅地区、鹿児島大島の昨春センバツ初出場で大島地区と、このところ鹿児島市外の地方勢の躍進が著しい。今年は北薩地区が活気づいている。その筆頭に挙げられるのがれいめい出水中央だ。

 れいめいはリードオフマンの火ノ浦 明正主将(3年)が大会4本塁打でチームを引っ張り、20年ぶりに県大会を制した。投手では杉安 浩(3年)、河北 光生(3年)の両右腕が競い合って成長し、大きな柱になった。春は故障でベンチから外れていた太田 龍(2年)が戻ってきたことで打線の厚みも増した。

 昨秋8強NHK旗4強出水中央も今年は安定した実績を残している。力投派の右横手投げのエース溝口 凌平(3年)を中心に堅実な守りと機動力を生かした攻撃で接戦を勝ち抜いてきた。NHK旗準決勝では神村学園を相手に序盤の6点差を跳ね返し、勝利目前までいったほどの潜在力を発揮した。打線に力がついてくれば、上位を十分狙えるチーム力がある。

 昨秋ベスト4出水同ベスト8の鹿児島川内、昨夏ベスト8川内商工など、北薩地区は実力校がそろっており、80年の川内実(現れいめい)以来35年ぶりの甲子園なるか、今年の鹿児島の話題の一つになりそうだ。

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ダークホースはどこか?

前山 優樹(大島)

 南薩の雄・鹿児島城西も虎視眈々と初の甲子園の座をうかがう。この代の1年生大会優勝、昨秋準優勝チームであり、昨夏の南薩大会では神村学園に唯一黒星をつけた実績もある。飛び抜けたスター選手はいないが、投打にまとまりがある。投手陣を豊富に擁する中で、核になるエースが出てくることが夏の戦いのカギを握りそうだ。

 春4強NHK旗8強の鹿児島大島は投手を中心にした堅守が特徴。21世紀枠で昨春のセンバツ初出場を果たしたチームとは真逆のカラーだが、春以降安定した戦いぶりが際立っている。最速130キロ台の直球を持つエース前山 優樹(3年)は注目選手の1人だ。

 姶良・伊佐地区では加治木工国分中央が注目校に挙げられる。加治木工は2年生の好投手・長野 良太を擁し、打線も力強い。ここ数年、夏は上位に勝ち上がる国分中央も、機動力を生かした攻撃や、打者、投球によって大胆に守備位置を変える緻密な野球は今年も健在だ。昨秋4強の加治木も巻き返しを図る。

 鹿児島市内勢では鹿児島鹿児島工鶴丸が面白い存在だ。鹿児島は大黒柱のエース瀬戸口 達哉(3年)、リードオフマン川口 信(3年)らがチームをけん引する。左腕・竹ノ下 僚(2年)を擁する鹿児島工は9年ぶりの夏を狙い、チームの底上げを図っている。個々の選手の力では鶴丸も上位チームにそん色ないものを秘める。山田 拓人(3年)、武隈 光希(3年)、福山 匠(3年)は今大会注目の左打者に挙げられる。

 強豪ぞろいの南薩地区は、加世田川辺伊集院枕崎なども力がある。右腕・上塩入健斗(3年)、左腕・神薗康太(3年)の経験豊富な両腕を擁する薩南工はダークホースの雰囲気を存分に漂わせている。

 昨夏甲子園出場鹿屋中央はノーシードから2年連続の甲子園を狙う。尚志館一昨年のセンバツで大隅初の甲子園に憧れて入学した3年生が主力であり、志は高い。大隅地区では、春16強入りで4年ぶり2回目となるNHK旗出場を果たした鹿屋農も好左腕を擁し、力をつけてきている。

 離島勢では種子島徳之島が、打力があり勢いに乗せたら怖い存在。名門校・鹿児島商、昨年のメンバーが残る鹿児島玉龍、好投手を擁する鹿児島情報などの奮起も期待したい。

(文=政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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