2015年の高校野球を占う【高知編】 6年ぶり県勢センバツ出場なしからの反抗誓う
2009年以来、6年ぶりにセンバツ出場のない春を迎える高知県高校野球。昨秋は県大会優勝の明徳義塾、準優勝の高知が共に四国大会ベスト4に進みながら、明徳義塾は、今治西(愛媛)に対し自滅に近い形で逆転負け(試合レポート)。高知は英明(香川)に力の違いを見せつけられる完敗(試合レポート)。3月8日(土)に抽選会が開かれる春の県大会は、四国のみならず全国トップレベルでの戦いを近年繰り広げてきた、高知県勢のプライドを再構築、反抗を誓う場ともなる。
明徳義塾に必須の「タフさ」と「戦力底上げ」
國光 瑛人(明徳義塾)
やはり最初はこの学校から。4季連続甲子園出場を逃した明徳義塾。初制覇を果たした「長崎がんばらんば国体」ではオール3年生で臨むなど、体力温存に万全の体制を整えながら最後の扉を開け損ねた彼らはこの冬、「タフさ」を追究する基礎練習に着手してきた。
3年生では甲子園経験豊富な中堅手の真田 一斗、高い身体能力で右翼手と投手を兼任する佐田 涼介。2年生では制球力の中野 恭聖、重い球質の國光 瑛人、身体のバランスが整い急成長中の左腕・平石 好伸や、守備力には定評のある遊撃手・高村 和志など依然としてタレントの質量は四国内でも屈指。ただ、例年に比べ「全国レベル」という部分で物足りなさを感じることも事実だ。
となると課題は明確。2年ぶり出場となる春の県大会に加え、1998~2004年に同校が記録した7年連続甲子園出場以来となる6年連続甲子園出場がかかる夏の高知大会までに、新入生含めた戦力がいかに底上げできるかが、全国で勝てるチーム作りへのカギとなりそうだ。
今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
明徳義塾高等学校(2014年03月27日公開)
対抗馬候補の高知、高知中央
鶴井 拓人(高知)
明徳義塾の対抗馬は昨秋四国大会で全体の底上げが見られた高知が一番手。最速137キロ左腕の鶴井 拓人(3年)や164センチ65キロの小兵ながら勝負強さは天下一品の4番・岡田 悠吾(3年・三塁手)など、島田 達二監督が絶対的信頼を託せる選手も生まれてきている。4年連続夏の大会の決勝戦で明徳義塾の前に、しかも全て1点差で敗れている「薄くて硬い」壁を打ち破る準備過程としては、例年以上に順調といってよい。
その一方で、昨秋は8月末の県新人戦大会初優勝の勢いを継続できず、準決勝・3位決定戦と痛恨の2連敗で四国大会出場を逃した高知中央。最速138キロ右腕の楠瀬 駿克(3年)や、四国を代表する左バッターの1人に数えられる麻生 涼(3年・三塁手)など、今季は明徳義塾・高知と互角以上に戦える布陣を有しているものの、勝敗を決める場面での徹底事項の甘さが命取りとなった。
重兼 知之監督が冬のテーマとした「心を鍛える」部分の浸透度を見せる春の県大会における試合内容が、初の甲子園出場を勝ち取る上でのターニングポイントとなるだろう。
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明徳義塾高等学校(2014年03月27日公開)
投手力充実の高知県、高知商4本柱に、進学校の好右腕も
福宮 大樹(高知商)
昨秋の3位決定戦では高知中央に対し9回裏に2点差を覆すサヨナラ勝ちで四国大会出場を決めた伝統校・高知商の強みは豊富な投手陣。右腕の福宮 大樹(3年)に、左腕の清岡 龍弥(3年)、松下 海太(3年)、髙橋大(2年)はいずれも最速130キロ以上をマークする。4番にはパンチ力のある中堅手・橋本 隆(3年)が座る打線がいっそう奮起すれば、新人戦準決勝で明徳義塾を破ったような爆発力を出せるはず。彼らも9年ぶり23度目の甲子園出場を射程内に捉えている。
この昨秋べスト4校に続くのは昨秋準々決勝で高知をあとアウト1つにまで追い込んだ岡豊と、高知商を同じくあとアウト1つにまで追い込んだ土佐。岡豊には左打者としても卓越したセンスがある横田 優輝(3年)、土佐には林 龍矢(3年)といずれも制球力に優れる右腕が控える。これに打線の援護がどれだけできるかが、4強以上を狙う上での必須事項となりそうだ。
好投手は他にも。梼原の沖田 惇(3年)は183センチ80キロの堂々たる体格。自然あふれる梼原町の環境を存分に使った冬トレーニングでどのような成長を見せているかが楽しみな右腕だ。
そして硬式野球部創部4年目の土佐塾からは田淵 悠大(3年)。まだ細かい投球術には課題が残るが、常時130キロ台中盤をマークするストレートは魅力十分。進学私立校エースの活躍次第では、「4強2中」の構図に一気に風穴が空く可能性もある。
なお、春季県大会は先に触れたように3月8日(日)に抽選会。予定では3月21日(土)から4月3日(金)まで、[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]、[stadium]高知市営球場(高知市総合運動場 野球場)[/stadium]、[stadium]高知市東部総合運動場野球場(高知市東部野球場)[/stadium]の3会場を使用。そして優勝校と準優勝校は5月2日(土)から3連戦で[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]において開催される春季四国大会に出場する。
夏のシード権争いは5月の県総体まで続くものの、秋に続き連続で県4強に入れば、ほぼシード権を手中に収めることになる。昨年は高知高岡・窪川・中村高校西土佐分校・高知城山のいわゆる「4校連合」(高岡・窪川・中村高校西土佐分校・城山連合チーム)のベスト4進出(*今大会は部員がいない高知城山を除く3校連合で参加予定)で大いに沸いた同大会。33校・31チームがそれぞれ定めた目標の中で、どのような達成度を示すかを、しかと見守りたい。
(文・寺下友徳)
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明徳義塾高等学校(2014年03月27日公開)