「2015年の高校野球を占う」【南北海道編】 選抜出場の東海大四を中心に強豪揃いの南北海道
駒大苫小牧、東海大四など全国大会でも実績を残す学校が多い南北海道。今年の南北海道の状況を追う。
センバツ出場の東海大四が南北海道をリード
大澤 志意也 (東海大四)
今春のセンバツ甲子園に出場する東海大四を中心に、私立強豪校がしのぎを削る激戦になりそうだ。
一歩リードしているのは、昨秋の北海道大会を14年ぶりに制した東海大四。秋季大会開幕まで時間が少なく、夏秋連続優勝は難しいと言われる中、1試合毎にチーム力をつけて頂点を勝ち取った。昨夏甲子園出場時のベンチ入りメンバーは4人だけ。「個々の能力は前のチームが上です。チームプレーで上を目指したい」と宮崎 隼斗主将(2年)が言うように、突出した選手はいないものの、どこからでもチャンスメイクできる打線がウリだ。
超スローボールで甲子園を沸かせた西嶋 亮太投手の後を受けてエース番号を背負った右腕・大澤 志意也(2年)は、粘り強い投球を信条とする。174センチ、64キロと細身だった体はひと冬越えて、体重70キロの大台に乗せた。MAX139キロの直球に加え、縦と横のスライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットと球種も豊富。昨秋の明治神宮大会では、宇部鴻城に1失点完投勝ちした後(試合レポート)、浦和学院に10失点コールド負け(試合レポート)と天国と地獄を味わった。この後のセンバツも含め、全国での経験をこの春と夏にどう生かすか。エースの成長が連覇の鍵を握る。
東海大四の強力なライバルとなるのは、札幌日大、北海の札幌勢と駒大苫小牧だろう。昨秋の北海道大会で前評判の一番手は、札幌日大だった。エースの山本 龍之介(2年)は身長182センチの本格派右腕。打線も核弾頭の片岡 奨人中堅手(2年)ら強打者が揃う。個々の能力の高さが光ったが、準決勝の北海戦では終盤守りのミスで失点し、1点差で敗れた。選抜選考委員である北海道野球協議会の柳 俊之理事長は「力のあるチーム。試合運びに若さがあったが、経験を積めば面白い。一つ壁を越えると、一気にいく可能性がある」と高く評価している。
この札幌日大を破った北海は、伝統の守りが健在だ。背番号1の渡辺 幹理(2年)と背番号8の北海山本 樹(2年)、右の2枚看板を中心に固い守りと試合巧者ぶりで決勝まで勝ち上がった。決勝は東海大四に2対3と惜敗。あと一歩でセンバツ出場を逃したものの、夏の甲子園出場争いに絡んでくることは間違いない。
駒大苫小牧も総合力の高いチームだ。中でも、投手陣の顔ぶれは心強い。エースの岡崎 遼太朗(2年)、背番号7の桑田 大輔(1年)、背番号8の伊藤 大海(2年)と3本柱を誇る。岡崎は昨秋の室蘭支部予選代表決定戦で鵡川を相手に7回参考ながら無安打無得点の快投。伊藤は、昨年のセンバツ1回戦の創成館戦で3安打完封勝利を挙げた。桑田は身長184センチ、期待の大型右腕だ。昨秋の北海道大会準決勝では、守りのミスから崩れて東海大四にまさかのコールド負けしたが、実力差はそれほど大きくない。
4支部の強豪校をピックアップ
川端 翔(北照)
ここまで札幌支部と室蘭支部の強豪校を取り上げてきたが、ここからは支部毎に情勢を見ていこう。
【札幌支部】
昨秋の北海道大会で4強入りした東海大四、札幌日大、北海のほかには、札幌第一も甲子園を狙える位置にある。北海道大会1回戦では劣勢を跳ね返すことができなかったが、投打ともに能力の高い選手が多い。
98年創部の札幌龍谷、09年創部の札幌大谷ら新興私学勢も着実に力をつけている。札幌大谷は、一昨年秋の北海道大会準Vメンバーが残っており、2年ぶりの快進撃に期待がかかる。また、札幌支部は毎年公立校のダークホースが出てきており、強豪校といえども、予選突破は容易ではない。
【函館支部】
中心となるのは、昨秋支部予選を勝ち上がった函館大有斗と函館工(函館大有斗試合レポート・函館工試合レポート)。いずれも北海道大会では2回戦敗退と物足りない結果に終わった。
2校に続くのは、知内、函館大柏稜。函館支部は97年夏に函館大有斗が出場して以来、甲子園出場校を輩出していないだけに、意地を見せて欲しい。
【室蘭支部】
駒大苫小牧に続くのは、北海道栄だ。昨秋の北海道大会では緒戦で北海に6対10で敗れたが、支部では駒大苫小牧とともに頭一つ抜けている。この2校に、苫小牧中央、鵡川、静内、苫小牧工あたりがどこまで食い下がるか。支部のレベルが高いだけに、支部予選を突破すれば、北海道大会でも勝ち進む可能性が高い。
【小樽支部】
過去5年間で春夏合わせて5度甲子園に出場している北照が圧倒的な力を誇る。昨秋の北海道大会では準々決勝で北海に2対5で敗れたものの、安定感が光った。そこに、小樽潮陵、双葉が続く。
南北海道は札幌地区を中心に強豪校が多く、まさに北海道を牽引しているともいっていいだろう。他の3地区も強豪校が多く、見所が多い。この春、夏ともに激戦が展開されることになりそうだ。次は北北海道の状況を占っていく。
(文・石川 加奈子)
今回のコラムに登場した高校の野球部訪問はこちらから!
北照高等学校(2011年02月14日公開)
鵡川高等学校(2011年02月10日公開)