駒大苫小牧、東海大四など全国大会でも実績を残す学校が多い南北海道。今年の南北海道の状況を追う。
センバツ出場の東海大四が南北海道をリード

大澤 志意也 (東海大四)
今春のセンバツ甲子園に出場する東海大四を中心に、私立強豪校がしのぎを削る激戦になりそうだ。
一歩リードしているのは、昨秋の北海道大会を14年ぶりに制した東海大四。秋季大会開幕まで時間が少なく、夏秋連続優勝は難しいと言われる中、1試合毎にチーム力をつけて頂点を勝ち取った。昨夏甲子園出場時のベンチ入りメンバーは4人だけ。「個々の能力は前のチームが上です。チームプレーで上を目指したい」と宮崎 隼斗主将(2年)が言うように、突出した選手はいないものの、どこからでもチャンスメイクできる打線がウリだ。
超スローボールで甲子園を沸かせた西嶋 亮太投手の後を受けてエース番号を背負った右腕・大澤 志意也(2年)は、粘り強い投球を信条とする。174センチ、64キロと細身だった体はひと冬越えて、体重70キロの大台に乗せた。MAX139キロの直球に加え、縦と横のスライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットと球種も豊富。昨秋の明治神宮大会では、宇部鴻城に1失点完投勝ちした後(試合レポート)、浦和学院に10失点コールド負け(試合レポート)と天国と地獄を味わった。この後のセンバツも含め、全国での経験をこの春と夏にどう生かすか。エースの成長が連覇の鍵を握る。
東海大四の強力なライバルとなるのは、札幌日大、北海の札幌勢と駒大苫小牧だろう。昨秋の北海道大会で前評判の一番手は、札幌日大だった。エースの山本 龍之介(2年)は身長182センチの本格派右腕。打線も核弾頭の片岡 奨人中堅手(2年)ら強打者が揃う。個々の能力の高さが光ったが、準決勝の北海戦では終盤守りのミスで失点し、1点差で敗れた。選抜選考委員である北海道野球協議会の柳 俊之理事長は「力のあるチーム。試合運びに若さがあったが、経験を積めば面白い。一つ壁を越えると、一気にいく可能性がある」と高く評価している。
この札幌日大を破った北海は、伝統の守りが健在だ。背番号1の渡辺 幹理(2年)と背番号8の山本 樹(2年)、右の2枚看板を中心に固い守りと試合巧者ぶりで決勝まで勝ち上がった。決勝は東海大四に2対3と惜敗。あと一歩でセンバツ出場を逃したものの、夏の甲子園出場争いに絡んでくることは間違いない。
駒大苫小牧も総合力の高いチームだ。中でも、投手陣の顔ぶれは心強い。エースの岡崎 遼太朗(2年)、背番号7の桑田 大輔(1年)、背番号8の伊藤 大海(2年)と3本柱を誇る。岡崎は昨秋の室蘭支部予選代表決定戦で鵡川を相手に7回参考ながら無安打無得点の快投。伊藤は、昨年のセンバツ1回戦の創成館戦で3安打完封勝利を挙げた。桑田は身長184センチ、期待の大型右腕だ。昨秋の北海道大会準決勝では、守りのミスから崩れて東海大四にまさかのコールド負けしたが、実力差はそれほど大きくない。