内野手を中心に好選手が集まる第87回選抜大会【注目野手編】

平沢 大河（仙台育英）

　今年は好遊撃手が多い。その中でも、トップクラスの評価を受けているのが平沢 大河（仙台育英）だ。ボールを手元までギリギリ引きつけて打ち返す強烈な打撃、俊敏さが見えるフィールディング、颯爽と駆け抜けるベースランニングと、走攻守すべて揃った選手。一冬超えて、すべてにおいて高次元なパフォーマンスを披露すれば、ドラフト上位候補に名を連ねる可能性を持っている。

　 また昨夏、全国制覇した大阪桐蔭のショート・福田 光輝は俊敏な動きを見せる。打撃は右、左に打ち分けるシュアな打撃が光るが、なかなか安定して結果を残せないのが課題。選抜では走攻守全てにアピールが出来るか。

　強打の遊撃手として注目したいのが、安本 竜二（静岡）。公式戦では4本塁打を放ち、思い切って巻き込む打撃スタイルで、強烈な打球を飛ばす。強肩をウリとした遊撃守備も長所で、あとは守備ではスピードを求めていきたい。ドラフト候補に浮上するには重要な大会となりそうだ。

　1年夏からベンチ入りし、前チームから不動のレギュラーとして活躍する津田 翔希（浦和学院）。打撃では広角に打ち分け、ヒットを量産。また球際に強い守備も魅力である。関東地区では、1年夏から甲子園を経験している檜村 篤史（木更津総合）も注目だが、1年生時代に魅せた二塁打、三塁打の連発がなく、シングルヒットが中心。まだムラがあり、攻守において他の遊撃手にはないレベルの高いプレーを求めていきたい。

　その他、長打力とバットコントロールを兼ね備えた貞光 広登（天理）、好打者・冨田 勇輝(東海大四）はコンスタントに芯で捉える技術の高さがあるのが長所。選抜に向けて守備の安定感を高めていきたい。またミートセンスのある遊撃手ならば森山 海暉（英明）も面白い存在だ。

　二季連続甲子園出場を果たし、攻守ともにバランスが取れた遊撃手・足立 悠哉（八戸学院光星）、そして前年から経験のある池間 誉人（糸満）はキレの良い動きとバットコントロールの良さが光る。また強打の遊撃手・仲矢 惇平（近江）は攻守ともに存在感を示すことができるか。

青柳 昂樹（大阪桐蔭）

　遊撃手以外のドラフト候補を見ていくと、坂口 漠弥（天理）が面白い存在だ。昨夏の奈良大会で4本塁打。ツボにはまった時は圧巻の飛距離を見せ、昨年、巨人ドラフト1位で入団した岡本和真（智弁学園）（インタビュー：2014年3月公開　2014年8月公開）にひけを取らない長打力を秘めている。一塁手は、スカウトから敬遠されやすいポジションだが、あくまで自慢の長打力と勝負強さを発揮することを考えてほしい選手。

　そして打者としてドラフト候補に挙がりそうなのが勝俣 翔貴（東海大菅生）だ。最速143キロの速球に加え、鋭いスライダーを投げ込む投手だが、投手よりも魅力なのが、打撃である。公式戦では2本塁打を放ち、どれも圧巻の本塁打。スイングの強さ、速さ、選球眼の良さ、粘り強さはどれもハイレベルで、体格も恵まれており、選抜では才能をさらに開花させる可能性を持っている。

　同じく打者としてドラフト候補に挙がりそうなのが山本 卓弥（神村学園）。昨年の選抜・岩国戦（試合レポート）で本塁打を放ったが、あくまで持ち味はバットコントロール。好投手相手でも第1打席で、自分のタイミングで、打ち返すことが出来る対応力の高さは魅力的。あとは長打のこだわりと、走塁、守備のアピールが、プロ入りへの道となるだろう。

　舩曳 海（天理）は身体能力が素晴らしく、打撃では左中間スタンドへ打ち込む長打力、塁間タイム3.9秒で駆け抜ける俊足、強肩が光る。だが確実性を欠く打撃が課題で、打率.262とあまり高くない。評価を上げるには、コンスタントに快打を見せていくしかないだろう。

　捕手では安定したキャッチング、勝負強い打撃が光る郡司 裕也（仙台育英）。そして昨夏から5番キャッチャーとして出場している柘植 世那（健大高崎）は、安定したスローイング、投手の持ち味を引き出すインサイドワーク、確実性の高い打撃が魅力。しぶとい打撃でチームに貢献している。
また観察力に優れ、リードが大きい走者を見逃さず、自慢の強肩で二塁走者を次々と刺した西野 真也（浦和学院）も玄人好みの捕手だ。

　強肩で、パンチ力のある打撃に加え、巧みなリードが光る堀内 謙伍（静岡）も一冬超えて成長を期待したい選手だ。下位に座ることが多いが、神宮大会では左中間に打ち込んだ中原 力也（九州学院）も注目だ。

松下 且興（九州学院）

　内野手では勝負強い打撃と長打力が光る山崎 滉太（浦和学院）、安定した守備、状況判断に長けた打撃を得意とする北本 一樹（二松学舎大付）、昨年からレギュラーで、俊足ぶりが注目されている183センチの大型セカンド・宇草 孔基（常総学院）、パンチ力のあるセカンド・友田 晃聡（九州学院）も注目選手だ。

　また、公式戦では2本塁打を放ち、また俊足でもある奈良大附池田 陵太（奈良大付）は185センチの大型一塁手。今年に入ってから、センターの練習も行っており、もし走攻守で存在感を示せば、大型外野手としてドラフト候補に浮上する可能性もあるかもしれない。バットコントロールが良く、高打率が期待できる都甲 将央（神村学園）、昨年から主力で、右、左と打ち分ける打撃技術が光る篠原 涼（敦賀気比）も注目だ。

　外野手では、強肩で、センター返しが中心の打撃で安打を量産する山本 皓大（敦賀気比）、24年ぶりの出場となった松商学園では、2番打者の百瀬 雅也が攻守のカギを握る存在。浦和学院は関東大会準決勝でサイクル安打を記録し、攻守ともにバランスが取れた荒木 裕也、下位だが一発長打がある浦和学院高橋 司、大阪桐蔭からは昨夏の優勝メンバーで、パワフルな打撃と強肩が持ち味の強打の外野手の青柳 昴樹、常にフルスイングで、鋭い打球を連発する藤井 健平に注目したい。

　強肩強打の外野手・徳田 夕希也（岡山理大附）、初出場の大曲工の投打の柱・武田 龍成も見逃せない。また、スカウトから注目されている大城 龍生（糸満）は182センチ85キロの大型外野手だ。

　新2年生の逸材も紹介したい。10年ぶり出場の二松学舎大付は1年夏から正捕手の座を獲得し、攻守ともに核となる今村 大輝、小柄だが、センス溢れる打撃が光る三口 英斗、キレの良い動き遊撃守備と広角に打ち分ける打撃が魅力の林中 勇輝（敦賀気比）、パワフルな打撃と強肩が光る遊撃守備が持ち味の松下 且興（九州学院）、静岡からは1球目から走れる盗塁技術の高さが光る静岡鈴木 将平、そして鈴木 嘉基は小柄ながら公式戦3本塁打を記録した長打力が脅威だ。

　今年は遊撃手を中心に好選手が多いが、捕手、外野手も、ポテンシャルが高い選手が多く、選抜の活躍によってはドラフト指名候補に浮上する可能性を持っているだろう。ぜひ全国の舞台で、自分のパフォーマンスを最大限に発揮することを期待したい。