第86回選抜高校野球大会の対戦カード見所を紹介!
全国的に好チームが多い今年の第86回選抜高等学校野球大会。大会初日から見所あるカードが満載だ。
強力打線・履正社、神村学園など打力が高いチームが揃う第1ブロック
中山 翔太(履正社)
開幕戦では打率4割台の打者が5人揃い、さらに2年生の4番・山本 卓弥がいる神村学園、好投手・柳川健大がいる岩国とウリが対照的なチーム同士の対決となった。公式戦の防御率1.29の左腕・石原 丈路擁する福知山成美と上位、下位と勝負強い打者が揃う山梨学院大附の対戦も面白い。
そして注目は履正社と都立初の甲子園出場を果たした都立小山台。中山 翔太、八田 夏と二人のスラッガーを中心に強力打線を形成する履正社打線を都立小山台の好投手・伊藤 優輔は止めることができるか。
2005年以来の選抜出場となった駒大苫小牧は、伊藤 大海、菊地 翔太の二枚看板で勝負。2年連続出場の創成館はチーム防御率、チーム失策の少なさが出場校ナンバーワンの成績。勝負所の守備力に勝敗が分かれそうだ。
神宮大会優勝の沖縄尚学、準優勝の日本文理が集う第2ブロック
山城 大智(沖縄尚学)
徳島池田は好投手・名西 宥人が注目される。1980年代に甲子園を震撼させた強力打線ではなく、足を絡めた攻撃を得意とする。対する和歌山海南はエース岡本 真幸の最速141キロを計測する右の本格派右腕。打者としても主力としてチームを引っ張る。
このブロックには神宮大会優勝の沖縄尚学と準優勝の日本文理が入った。
沖縄尚学は山城大智、久保柊人の二枚看板の投手陣と、1番・赤嶺謙、4番・安里 健を中心とした打線は脅威。対する近畿ベスト4の報徳学園は投手、捕手を兼ねる岸田 行倫がキーマン。出塁率が高い選手が多く、じわりじわりと沖縄尚学投手陣を追い詰めて、勝機を見いだしたい。
日本文理は神宮大会で3本塁打を放った飯塚 悟史を中心に公式戦で8本塁打を放った強力打線が最大のウリ。対する豊川も3本塁打19打点の高桑 平士郎と公式戦30安打の中村 胤哉の二人を中心に打力が高い選手が揃い、140キロ右腕・田中 空良にも注目。投打ともに実力があり、上位進出の期待ができるチーム。白熱した試合展開が予想されそうだ。
白鷗大足利と東陵は選抜初出場同士の対決。白鷗大足利は2年生スラッガー・大下誠一郎がいるが、機動力、守備力で勝負するチーム。東陵は1番を打つ山﨑 誠悟が突破口を切り開き、つないで大量点をたたき出す。昨年の公式戦の平均得点は7.13点と攻撃力が高いチーム。シーソーゲームになるかもしれない。
いきなり明徳と智弁和歌山の対決が実現!好チームが多い第3ブロック
岸 潤一郎(明徳義塾)
第3ブロックの注目は智辯和歌山対明徳義塾。2002年夏の第84回全国高校野球選手権決勝以来の対決となる。明徳義塾のエース・岸潤一郎は昨夏の甲子園で大阪桐蔭相手に完投勝利を挙げているように、強力打線に対しての投球術がウリ。智弁和歌山は2年生スラッガー・山本 龍河を中心に伝統の強力打線で勝負。まさに高校野球ファンにとって見逃せないカードになりそうだ。
今大会注目投手の一人である田嶋 大樹擁する佐野日大は守り型のチームで、最少失点で凌ぐ。打線では上位から下位まで切れ目のなく、小刻みに点を重ねる。対する鎮西は複数の投手陣で勝ち上がってきた。継投のタイミング、打者に的を絞らせない配球、打者の打球傾向を掴んだポジショニングと戦略的な守備で、佐野日大の打撃を凌いでいきたい。
智弁学園は注目される岡本 和真の打棒が注目される。長打率1.579、打率.632、出塁率.733、公式戦4本塁打は出場選手中トップの数字。脇を固める吉岡 郁哉も打率.370、2本塁打、11打点と高い数字を残しており、得点力は出場校の中ではかなり高い。昨夏の甲子園で安樂 智大(済美)から7得点を記録した三重は、経験者を中心に自慢の攻撃力を発揮できるか。
2年ぶり出場の関東一はエース羽毛田 晶啓の復活がカギ。オフは股関節強化に取り組み、投球フォームの改善も行い、昨秋より状態は良くなっている。対する美里工は投打ともに能力が高く、総合力は九州大会を優勝した沖縄尚学と引けを取らない。エース伊波 友和は140キロ台の速球を投げ込む本格派右腕。さらに3番宮城 諒大、4番花城 航は二桁打点を記録している。関東一にとっては我慢の戦いが強いられそうだ。
広島新庄、横浜など左の好投手が揃う第4ブロック
伊藤 将司(横浜)
広島新庄のエース・山岡 就也は最速143キロを誇る本格派左腕で、佐野日大の田嶋 大樹とともに今大会注目左腕の一人。対する東海大三はエース・高井 ジュリアンを中心に守り勝つチーム。打線では練習試合で好調をキープしている1番小林 健二を還せるクリーンアップの活躍が勝利のカギとなりそうだ。
今治西は公式戦防御率1.71と抜群の安定感を誇る左腕・神野 靖大の出来がカギ。打線は越智 樹らで、つないで点を重ね、守りきるのがチームカラー。桐生第一は昨年、エース山田 知輝を含め12人が1年生だったという若いチーム。秋から成長を見せれば、今大会の台風の目になるかもしれない。
21世紀枠出場の鹿児島大島は春夏合わせて70回目出場となる龍谷大平安と対戦。エースの福永翔は三振が奪える左腕。龍谷大平安は俊足巧打の徳本健太朗以外は全員が本塁打を放っており、どこからでも一発を打てる強力打線である。鹿児島大島も鹿児島大会では得点力の高さがある。接戦に持ち込んで、勝機を探りたい。
第4ブロックの最注目カードは横浜対八戸学院光星。横浜のエース・伊藤 将司は球の出所が見難いフォームから繰り出すキレのある直球と、狙い球を絞らせないコンビネーションで、点数を与えない投手だ。高濱祐仁、浅間大基、川口凌など強打者、巧打者が揃った打線も脅威。対する八戸学院光星は北條 裕之などの強打者が、伊藤にどう対するか。
今年は大本命と呼べる学校はなく、実力は拮抗しており、多くの学校に上位進出のチャンスがある。春の寒さを吹き飛ばすような熱い戦いを見せてくれそうだ。
(文=河嶋宗一)