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第93回全国高校野球選手権香川大会展望

2011.07.11

第93回全国高校野球選手権香川大会展望2011年07月11日

 6月18日に開幕した沖縄大会を皮切りに各地で球音が響く「第93回全国高等学校野球選手権・地方大会」。四国4県でも7月9日開幕の徳島大会をスタートに、11日開幕の香川大会、14日開幕の愛媛大会、そして16日開幕の高知大会の計4大会において160試合の熱戦が繰り広げられることになっている。

 そこで、「高校野球情報.com」では今回4県ごとの直前展望を紹介。このサイトでしか見られないマル秘チーム、選手情報も交えつつ、組み合わせ抽選によってはっきり見えてきた勢力図を提示していきたい。

香川県 成績データ

香川県
参加40校 7月11日(月)~7月25日(月) レクザムスタジアム

成績データ
<昨年大会優勝校>
英明(初優勝)甲子園1回戦敗退
<センバツ出場校>
香川西(初出場)甲子園1回戦敗退
<昨秋県大会>
優勝:藤井学園寒川(2年連続3回目)
準優勝:香川西
3位:丸亀城西
<昨秋四国大会成績>
藤井学園寒川(2年連続3度目):2回戦(初戦)2回戦(初戦)敗退
香川西(3年ぶり4度目):準優勝
丸亀城西(4年ぶり19度目):1回戦敗退
<昨秋1年生大会>
優勝:尽誠学園
準優勝:寒川
ベスト4:高松商業、丸亀
<今春県大会>
優勝:藤井学園寒川(3年連続3回目)
準優勝:丸亀城西
3位:坂出
<今春四国大会成績>
香川西(3年ぶり3回目):優勝(初)
藤井学園寒川(3年連続3回目):1回戦敗退


ブロック別展望

第93回全国高校野球選手権香川大会展望 | 高校野球ドットコム

“ベスト4の本命は香川西”

シード1位:香川西ブロック

 ベスト4の本命は香川西。センバツでは開幕戦で日本文理(新潟)の前に見せ場なく終わったものの、秋は四国準V、春は初の四国制覇と、今シーズンは四国の雄・明徳義塾(高知)に匹敵する成績を残している。

 投手陣は4月からは主将となった責任を胸に四国大会で自己最速144キロを計測し、センバツでの汚名を払拭した宇都宮健太、長く課題を抱えていた制球力に克服の兆しを見せる岡田孝の両3年生右腕は上昇一途。場合によっては工藤公康(プロ野球選手)と同じ大きなカープとフォークが持ち味の小谷純喜(2年)などの左腕投手も交えて夏を戦うことになる。

 打線も、小南憲吾(3年・中堅手→三塁手)、小林正和(3年・三塁手→遊撃手)のセンバツ後コンバート組に、昨年の大けがでセンバツを棒に振った大林頸太(3年・中堅手)も復帰したことで厚みも増した。

 これにセンバツ以来チーム一丸となって取り組む「全力を出し切る」野球を展開できれば、5年ぶり3度目の香川の夏王者、そして春夏連続甲子園出場は自ずと手の中へ転がってくることだろう。

 一方、その香川西が「去年負けたのでリベンジしていきたい」(宇都宮)と強く意識しているのが、昨年のチャンピオン・英明である。193センチ・最速145キロ左腕のエース・松本竜也(3年)、高校通算本塁打53本の4番・中内大登(3年)は投打の柱、かつドラフト指名が確実視される2人。超攻撃的リードオフマン・西岡勇魚(3年)をはじめ、昨年甲子園を経験している選手が主力の大半を占めるのも彼らの強みだ。

好右腕・久保武大(3年)擁する香川中央篠原仁一朗(二塁手)、笹田仁(一塁手)、川西涼太(捕手)の2年生クリーンナップで勝負をかける古豪・高松商なども侮れない存在だが、このブロックはやはり2校が頭ひとつ抜けた存在。両者勝ち上がれば7月19日に開催予定の香川西英明の一戦は、グラウンド上に火花散る激戦となること確実だ。


ブロック別展望

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“シードの坂出がやや有利か”

坂出ブロック

 シードの坂出がやや有利か。投手陣では春季大会3位、夏シード権獲得の原動力となった石井俊成(3年)に、腰痛で春季大会登録外に終わった森岡健太(3年)が加わったことで球速130キロ台後半をマークする豪華2枚看板が完成。

 俊足巧打の多木裕介(2年)を1番におく打線の弱さと守備力の低さにはやや不安を残すが、春季大会初戦で英明相手に粘り勝った自信を夏にもつなげていきたい。

 ただしこのブロックは坂出商高松といった古豪、身体能力の高い佐治健太(3年・三塁手)が4番に座る三木といった新鋭校も控える。さらに次世代の香川県を代表する投手として評判の高い181センチ右腕・上野翼(2年)擁する坂出工、さらにチームの結束力では他の追随を許さない小豆島なども名を連ねており、坂出のベスト4進出も一筋縄ではいきそうにない状況だ。


ブロック別展望

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“最激戦ブロック”

シード2位:藤井学園寒川ブロック

 秋春連続県大会制覇で堂々シード2位に入った藤井学園寒川の他にも、観音寺中央尽誠学園丸亀が入った最激戦ブロック。どのゲームも一瞬のすきが勝敗を分ける展開になるだろう。

 藤井学園寒川のエース・五十嵐友樹(3年)は打っても絶対的4番を張る正に大黒柱的存在。1番・遊撃手で先発した春季四国大会で2安打と鮮烈なデビューを飾った松田陸(1年)、ヒットゾーンへ飛ばす能力に長ける富田一志(3年)、春季県大会優勝をサヨナラアーチで決めた老平匡秀(2年)などの打順は極めて流動的だが、宮武学監督の期待も大きい彼のポジションが動くことはないはず。

 大会では厳しいマークを受けるに違いない五十嵐をいかに走・攻・守でサポートできるかが、2年ぶり甲子園出場への必須事項となる。

 観音寺中央は全力疾走に代表されるチームのつながりがストロングポイントである。土井裕介監督が仕掛ける継投策、彼らをリードし、かつ2年生4番を張る中西順也、そして県内屈指の好打者である西野宇宙(3年)を中心に、昨秋は四国大会出場、今春はシード権獲得をあと一歩のところで逃した悔しさを最高の結果で晴らしたい。

 尽誠学園は昨秋1年生大会制覇の原動力となったエース・香川知正などの2年生たちを柱に、長打力のある安岡宏太小椋将裕といった3年生がサポートする体制が整いつつある。昨秋、今春と県大会での結果は残せていないが、2回戦での対戦が予想される観音寺中央、3回戦での対戦が予想される藤井学園寒川にとって、極めて警戒すべき相手であることは間違いない。

 トーナメント表の逆側に目を転じてもベスト8の予測は難しい。丸亀は投ではシンカー系変化球を武器にマウンド上での表情も引き締まりを見せている右腕・田所知哉(3年)、ボールの勢いは田所をしのぐ左腕・大西孝明などの3枚がほぼ同レベル。打でも絶対的4番の北村祐樹(3年)に加え、右打者にもかかわらず1塁までの駆け抜けタイムが4秒を切る高木翔平(3年)、ツボにはまった際の長打力には目を見張るものがある近藤勇貴(2年)が代打の切り札と、実力的にはシード校と互角以上に戦える存在であろう。

 ただし丸亀の初戦はチーム一丸となって戦える土庄が相手。また、将来有望な1年生も多数入学し、着々と戦力を整えつつある野球部復活2年目の大手前高松も虎視眈々と「打倒丸亀」を狙っている。


ブロック別展望

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“確かな自信を手に6年ぶりの甲子園を”

シード:丸亀城西ブロック

 昨秋は187センチの長身エース・宮武大地(3年)と強肩キャプテン・大川拓馬(3年)の見事な共同作業で四国大会に進出した丸亀城西。2人をけがや病気で欠く場面も多かった春季県大会でも166センチ右腕・菅将貴香川周平の3年生バッテリーが台頭し準優勝と選手層の底上げを果たした彼らは、確かな自信を手に6年ぶりの甲子園を見据えている。

 ただし彼らの初戦は曲者の志度が相手。春県大会では、上池和樹(3年)のクレバーなリードによって高松北を破りベスト8に入った彼らが仕掛ける「相手を観察する」スタイルは、名将・橋野純監督が最も警戒すべき存在だろう。

 また、このブロックには高松北も。左では畑本賢吾(3年)、佐々木亮馬(2年)、右にも佐立侑哉(3年)、浦一輝(2年)という多彩な投手陣と、補欠から1番・中堅手の座を勝ち取った樋口達哉(3年)が固めるセンターラインが試合で全ての力を出し切ることができれば、昨夏のベスト8以上も十分狙える。

 その他にも投手兼任から中堅手に集中する態勢が整ったことで巧打に磨きがかかった田中大貴(3年)が1番に座る観音寺第一、開会式で選手宣誓を努める土橋祐一主将が4番に座る高松西なども注目のチームだ。

(文=寺下 友徳 )

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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