北陸・友廣陸

 球速は130キロ後半と、さほどでもない。それでも、22年秋季北信越大会で優勝した北陸(福井)のエース・友廣 陸投手(2年)には、なんとも大物感がある。身長185センチと大型でありながら、3位になった福井県大会では27回を投げてわずか1四球と、制球も二重丸。日本航空石川(石川)との準々決勝は5安打1四球で完封し、北信越4試合で24.1回で防御率1.11を記録している。登板しないときは遊撃手を無難にこなすなど、おそらく身体能力もかなり高い。まだ細身で、一冬越えて体ができれば大化けの可能性もあるのではないか。打っても主軸で、県大会では.474、北信越でも.385の高アベレージを残した。

 決勝のタイブレークでその友廣に抑えられた敦賀気比(福井)だが、センバツはほぼ当確。最も貢献したのは、エースの辻 晶太投手(2年)だ。準決勝は、松商学園(長野)が相手。優勝した長野県大会のチーム打率が.434、北信越でも2試合12点という強力打線に8安打されたが、決定打を許さずに完封した。これには「味方のミスもあったなか、しっかり抑えてくれた」と東 哲平監督も合格点だ。直球にキレがあり、福井県大会では16回1失点、北陸との決勝でも7回途中までを1失点と、安定感がある。

 大会No.1投手は、30年ぶりに富山を制した氷見の青野 拓海投手(2年)だろう。この夏も背番号1を背負い、チームを準優勝に導いた。最速143キロ。得意のSSFと組み合わせ、遊学館(石川)との初戦は延長12回で11安打されながら、8三振で完封する熱投を見せた。中学までは捕手。二塁送球が2秒を切るという強肩で、富山県大会ではマスクをかぶる場面も。「考えながらリードするのは、投球にも役立っている」という。ほかに昨年秋、1年生で北信越大会で登板した松商学園の齋藤 新太投手(2年)は、140キロ超のサウスポーだが、夏の長野大会で左脚を骨折し、復帰途上なのが惜しまれる。

 野手で光ったのが、福井商の三塁手・松宮 諒治内野手、遊撃手・前川 竜我内野手という1年生三遊間コンビだ。松宮は福井県大会.538、前川竜は.471と、いずれも高打率を記録しており、1番を打つ前川竜は北信越でも躍動した。福井クラブ時代はリトルシニアの日本代表歴があり、進学後「春の大会から使ったら、いきなり5割」(川村 忠義監督)という高い適応力を見せている。夏の福井大会は、コロナ下に入学してきた3年生中心で臨んだため出番はなかったが、この北信越大会では佐久長聖(長野)との初戦に2安打4打点。ほかの3打席も四死球で出塁と、申し分のない斬り込み隊長役を果たした。遊撃手を守れば広い守備範囲で確実にアウトを取り、小柄ながら走攻守がそろっている。

 濵野 孝政外野手(2年)、友田 泰成外野手(2年)、高見澤 郁魅内野手(2年)の甲子園組がそろっていまひとつだった敦賀気比打線だが、「(1回戦の不振で)死に物狂いでやれ、とだいぶ怒られた」という高見澤が発奮し、中越(新潟)との準々決勝は3安打、松商学園との準決勝は2安打1打点と、本来の力を発揮した。松商学園では、3番の山岸 建斗内野手(2年)が11打数6安打の打率.545。15打数10安打だった県大会からの好調を維持した。

 センバツ出場がほぼ確定の北陸、敦賀気比以外でも、来年が楽しみなチームは多い。たとえば氷見。氷見市は干場 崇永(元ロッテ)、巨人・山田 龍聖投手と2人のプロ投手を生んでいるが、いずれも高岡商に進学しており、好投手・青野が初めての夏をたぐり寄せるか。また、1年生三遊間コンビを中心に、10年ぶりの夏を狙う福井商。秋の北信越では6年ぶりの初戦敗退となった星稜(石川)は、星稜中で全国優勝し、夏の甲子園も経験した1年生左腕・佐宗 翼投手が、県大会14回を2失点と結果を残しており、初戦敗退も、ときおり切れ味鋭い球を見せている。打線でも、4番に座った専徒 大和外野手(1年)はやはり星稜中出身で、U-12の侍ジャパン経験もある。石川県大会では打率.333、1本塁打。投打のカギを握りそうなコンビだ。

(文=楊 順行)