二松学舎大附vs帝京、日大三vs東海大菅生はともに今夏の再戦!都大会準決勝を徹底展望
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全国各地で行われた秋季高校野球地区大会も、東京の準決勝と決勝戦を残すのみとなった。
11月12日に神宮球場で行われる準決勝は、二松学舎大附ー帝京、東海大菅生ー日大三という東京を代表する4校が対戦する。二松学舎大附ー帝京は、この夏の東東京大会の準決勝、東海大菅生ー日大三はこの夏の西東京大会の決勝戦と同カードで、熱戦が期待される。
キーマンは二松学舎大附が大矢、帝京が高橋か?
高橋蒼人(帝京)、大矢青葉(二松学舎大附)
二松学舎大附と帝京は、ともに強豪であることは間違いないが、総合力では二松学舎大附がやや上回る。
1年生ながら甲子園でも本塁打を放った不動の4番・片井 海斗内野手は、広角に打ち分けるうまさもある。5番を打つ神谷 虎之介外野手(1年)は打率が6割を超えており、片井との勝負を避けるわけにもいかない。9番の中川 龍斗内野手(2年)も1発長打があり、上位から下位まで気が抜けない。
投手陣も投球術にたけ、今大会無失点の重川 創思投手(2年)が安定している。ただ課題となるのは、投打二刀流の大矢 青葉外野手(2年)の出来である。先発登板した2回戦と準々決勝は、初回に失点しており、好不調の波がある。
二松学舎大附は選手層が厚いだけに、外野手でもある大矢が長いイニングを投げれば、五十嵐 将斗内野手(1年)などを外野手で起用し、より攻撃的な打線が組める。また、重川は今大会、完投していないので、先発となると後半のスタミナは未知数だ。その点でも、大矢の先発登板が望ましい。大矢は打撃の方でも本来の力を発揮できていない。大矢の投打の活躍は、二松学舎大附勝利の大きなカギになりそうだ。
帝京が勝つためには、今大会No.1投手ともいうべき高橋 蒼人投手(2年)の好投が不可欠だ。1回戦のころはややバランスを崩し、打たれる場面もあったが、1試合ごとに調子を上げてきている。高橋は昨年と今年の夏の準決勝の二松学舎大附戦に先発して敗れている。それでも高橋は「リベンジとかいうのでなく、新しい帝京として、チーム全体で勝ちたい」と語っている。
攻撃面では、6番・大石 和輝内野手(2年)、7番・野村 亮太外野手(2年)の下位打線が長打力もあり好調。打っては5番の高橋は打撃もよく、この3人が得点源になっている。1番・西崎 桔平内野手(1年)も野球センスの良さを見せている。問題は3番・稲垣 渉外野手(2年)、4番・丹羽 心吾捕手(1年)が当たっていないことだ。彼らに本来の当たりが出れば、二松学舎大附の投手陣にとっても脅威になる。
スケールの大きい両校。日頃の力をどれだけ発揮できるかが、勝負の分かれ目になりそうだ。
[page_break:東海大菅生・日當対試合巧者の日大三打線]東海大菅生・日當対試合巧者の日大三打線
岡村 颯大(日大三)、日當 直喜(東海大菅生)
日大三と東海大菅生は、昨年の秋から3大会連続で対戦し、いずれも日大三が勝っている。東海大菅生の若林弘泰監督は、「意識して戦います。やられっぱなしにはしない」と闘志を見せる。
勝敗のカギを握るのは、190センチと長身の東海大菅生のエース・日當 直喜投手(2年)だ。国士舘戦では変化球を打たれると、直球主体に切り替えるなど、投球の幅が広い。
日大三は甲子園に行ったこの夏のチームに比べるとやや小粒だが、4番の岡村 颯大外野手(2年)もバントで送るなど、しっかりとした野球をする。3回戦の修徳戦では、こうした犠打を交えた攻撃で、好投手の篠崎 国忠投手(2年)を揺さぶり、攻略した。
攻撃の核となるのは、主将の二宮 士内野手(2年)で、修徳戦ではランニング本塁打も放っている。また、2回戦は途中出場で勝ち越し打、初スタメンの準々決勝では延長戦での決勝打を放つなど、ラッキーボーイになっている池内 仁海外野手(2年)も存在感を出している。
問題は1番の森山 太陽内野手(2年)の打撃不振だ。小倉全由監督は、準決勝での打順の組み換えを表明しており、新たな打順でよみがえるか。
投手陣はエースの安田 虎汰郎投手(2年)が安定した投球で、1人で投げている。
対する東海大菅生の打線は、例年に比べるとスケールはやや小さい。それでも延長戦になった準々決勝では、7番の大枡 凌央外野手(2年)が決勝打を放つなど、どこからでも点に絡むことができるのが強みだ。打線のカギを握るのは、1番の沼澤 梁成外野手(2年)、4番の新井 瑛喜内野手(2年)あたりか。
両チームとも守備は鍛えられており、投手陣を含めた守りはしっかりしている。また打線のスケールは例年より小さくても、相手のスキを逃さない野球をする。一つのミスが勝敗に影響を与えるような、緊張感のある試合になりそうだ。
準々決勝と準決勝は約2週間の間がある。高校生が成長するのに、十分な時間だ。今大会不調の選手が本来の調子を取り戻すこともあれば、その逆もある。舞台を神宮球場に移しての準決勝と決勝戦は、新たなラウンドと考えた方がいい。
また、準々決勝と準決勝の間が空く一方で、準決勝の翌日に決勝戦が行われる。それだけに各校とも、2番手以降の投手の出来や、投入のタイミングが問題になる。二松学舎大附は重川と大矢、帝京は高橋に加え、遊撃手の西崎も力のある球を投げる。東海大菅生は日當のほかには、島袋 俐輝投手(2年)か。安田1人が投げている日大三の投手起用も注目だ。
2年前の準決勝で東海大菅生は、公式戦初登板となる外野手の千田 光一郎を終盤の重要な場面で投入している。準決勝や決勝戦では、これまで投げていない投手が、重要な場面で登板し、勝敗を左右する可能性もある。こうしたベンチの選手も含めたチーム全体の力が問われる戦いになりそうだ。
(文=大島 裕史)