東邦を筆頭に愛知県勢がわずかにリードだが常葉大菊川ら静岡勢も注目
東邦・宮國凌空
トーナメント表
・東海大会の組み合わせ
トーナメント表
・愛知県大会の勝ち上がり
・地区予選の勝ち上がり
トーナメント表
・静岡県大会の勝ち上がり
・地区予選の勝ち上がり
トーナメント表
・岐阜県大会の勝ち上がり
トーナメント表
・三重地区予選の勝ち上がり
・県大会の勝ち上がり
■大会の詳細・応援メッセージ
・第75回 秋季東海地区高等学校野球大会
記念大会となる来春の第95回選抜高校野球大会。先日、代表校が例年の32校から4校増加され36校となることが発表された。その増加枠が東海地区にも一つ回ってきたことで、チャンスが増えた。それだけに今秋の東海地区大会は、より一層盛り上がっていきそうだ。
ことに、今年は東海4県の力が接近しており、接戦が予想される。そんな東海地区大会を展望してみた。
東海4県の中は実力接近だが、最も参加校が多く、その戦いを経てきた愛知県勢が、わずかにリードしているといえそうだ。その愛知県大会を制したのが東邦だった。エース・宮國 凌空投手(2年)はコンスタントに140キロを超えるストレートもさることながら、制球もよく安定した投球は定評がある。昨秋の1年生大会でも優勝投手となっており、経験値も高い。また、打線も強力でリードオフマン中村 騎士内野手(2年)、中日・石川 昂内野手の弟で4番で主将を務める石川 瑛貴内野手(2年)らの打撃も注目だ。
その東邦の初戦の相手は静岡2位の常葉大橘と三重3位の三重海星の勝者となる。常葉大橘は図抜けた選手がいるワケではないが、左腕・杉田 洋大投手(2年)が安定している。「安心して試合を任せられる」と、片平恭介監督も絶対的な信頼を置いている。海星は県大会1回戦で津田学園を下して勢いに乗った。機動力も駆使しながら皇學館、宇治山田商といったところに競り勝ってきた。高橋 龍史投手も注目されている。
このゾーンは、4強争いでは三重県1位で夏の三重大会優勝校でもある三重三重が、大垣日大(岐阜2位)、愛工大名電(愛知3位)の勝者と争う。いずれも甲子園での実績もある伝統校で、どこが進出してきてもおかしくはない。夏の甲子園ベスト8の愛工大名電は、新チームのスタートは遅れたが、笹尾 日々喜投手(2年)も投げる度に成長を見せている。3位決定戦となった中京大中京との試合では3安打完封で三塁も踏ませない好投だった。リードする秋葉 奨太も評価が高い。
8年連続の東海大会出場となった三重三重は、甲子園でも中軸を打っていた野田 泰市外野手(2年)、大越 渉内野手(2年)らが残って、打線は力強い。春のセンバツ出場校でもある大垣日大は、県大会準々決勝で県岐阜商を下して力のあるところを示した。経験も豊富な山田 渓太投手(2年)の投球次第では、2年連続準決勝進出もあり得る。
トーナメント表
・東海大会の組み合わせ
トーナメント表
・愛知県大会の勝ち上がり
・地区予選の勝ち上がり
トーナメント表
・静岡県大会の勝ち上がり
・地区予選の勝ち上がり
トーナメント表
・岐阜県大会の勝ち上がり
トーナメント表
・三重地区予選の勝ち上がり
・県大会の勝ち上がり
■大会の詳細・応援メッセージ
・第75回 秋季東海地区高等学校野球大会
常葉大菊川・福住 柚稀
反対のブロックでは開催地静岡県の1位校・常葉大菊川が注目される。夏はコロナ禍によりメンバー総入れ替えで戦わざるを得ない中で、監督も不在で残念な敗戦となってしまった。それだけに、そんな悔しい思いもぶつけながらこの秋の県大会を制した。4番鈴木 叶捕手(2年)がチームを引っ張る。福住 柚稀(2年)はじめ、左腕・久保 綾哉投手(1年)らタイプの異なる4人の投手陣も多彩だ。初戦が津商と市岐阜商の勝者となる。津商は夏の三重大会準優勝。主将でもある4番の樋尾 龍誠捕手(2年)が引っ張るチームは、粘り強さは継承している。エースの松田 空知投手(2年)は経験値も高い。市岐阜商は岐阜県3位での出場だ。3位決定戦では岐阜にサヨナラ勝ちして出場を決めた勝負強さがある。
岐阜1位の中京は、至学館と加藤学園との勝者と当るが、どちらが来ても曲者だ。中京は、岐阜大会ベスト4となった夏のメンバーからほぼ一新されたが、菅澤 宙投手(2年)が成長。打線は、例年ほどの迫力はないものの好機を生かしていくしぶとさはある。唯一の夏からのメンバーである中村 塁(2年)は攻守に評価の高い内野手だ。
至学館は、県大会では終盤に驚異的な粘りを見せて3回戦の豊橋中央、準決勝の中京大中京と終盤に驚異的な粘りを見せて勝ち上がってきた。決勝でも、東邦に3度追いつきながら延長11回までもつれ込んだ。最後は力尽きた感じでもあったが、その粘りは驚異的だ。麻王義之監督は自信を持って、「どことやっても接戦は出来る。今年は、2017年にセンバツに行ったチームと非常に雰囲気が似ている」と、手ごたえを感じている。
加藤学園は、準決勝で常葉大橘にコールド負けするなどやや不安定なところもあるようだが、太田 侑希外野手(2年)を中心とした打線は波に乗ると破壊力はある。左の吉川 慧投手(2年)、大木 漣投手兼内野手(2年)、内藤 大輔投手(2年)に右の長身酒井 翔輝投手(2年)らの投手陣がどこまで抑えられるかというところであろう。
東邦を中心に各県1位校の初戦がどうなるのかというところでもあるが、展開によっては昨年の静岡県同士の決勝に続いて同じ県勢同士の決勝もあり得そうだ。いずれにしても、1枠増えたことで、より興味深い戦いとなっていくことは間違いない。
(文=手束 仁)